細越麟太郎 MOVIE DIARY

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●『バックコーラスの歌姫たち』の果てしなき至近距離。

2013年10月10日 | Weblog

10月7日(月)13-00 六本木<シネマートB-1試写室>

M-126『バック・コーラスの歌姫たち』20 Feet from Stardom (2013) radius TWC / tremolo productions

監督・モーガン・ネヴィル 出演・ダーレン・ラヴ <90分> 配給・コムストック・グループ ★★★☆☆

歌手のブルース・スプリングスティーンが、この映画のタイトルを語る。「スターとの距離はたったの20フィートなんだ。」

つまり、バック・コーラスというのは、いつもスターと同じ脚光の中で、同じように歌い、同じように拍手を浴びる。

しかしギャラはそのスターの何十倍も低く、人気はなく、次のスケジュールもない。たった5メートルくらいの距離なのに。

この映画は、60年代頃から90年代にかけて、多くのタレントたちの舞台を飾っていた女声コーラスのドキュメント。

歌はうまくて、声量もあり、歌唱力抜群。しかしソロのスターにはなれない。それは何なのだろうか。・・と問う。

当然、スター性の問題だろう。器量はいいが特徴がない。見た目がポピュラーじゃない。際立った個性が乏しい・・・などなど。

つまり飛び抜けたキャラがないのだろうか。しかしソロとしてのチャンスはあった。でもそれは、ただのワン・チャンス。

ほとんどのバック・コーラス・ガールは、スター以上の才能を持ちながら、結局は、あだ花として散る運命なのか。

しかしリンダ・ロンシュタットだって、リタ・クーリッジだって、もともとはバック・コーラスだったじゃないか。

この映画では、あのマイケル・ジャクソンのバックだったジュディス・ヒルにもスポットを当てて、「スターへの壁」を叩く。

視点の結果は判っているのに、でもそこには見えない<壁>が存在しているのも、見えたようだ。

バッティング投手は、コントロールはいいが、マウンドには立てないのだ。

 

■サードの左を抜けたゴロだが、ギリギリでベースの上を抜けたヒット。

●12月、渋谷Bunkamuraル・シネマ他でロードショー