まほろば自然博物館

つれづれに、瀬戸のまほろばから自然の様子や民俗・歴史や見聞きしたおはなしをしたいと思います。

新春特別付録>無線電信と「沈黙時間」

2011年01月15日 | 歴史

 この・・島の家のリビングにこんな時計がある・・・。

 

 少し前の船舶通信の世界には沈黙時間:SP(Silent Period)というのがあった。だから・・・アマチュア無線でも「電波法」という法律は必須条件だった・・。アマチュア無線でも二級アマチュアになると、この無線電信の実技試験があって、キーを叩いてモールス信号を送受信する試験が課された・・・。

 そのほかに特殊無線技士とか電話級無線通信士などの免許も持っていたもので、電波法は全くの憲法みたいなものだった・・・。

 

 この・・「沈黙時間」というのは、毎時15分から三分間と45分から3分間には、 全ての船舶と海岸局は500kHz付近の電波の発射が禁止されており、この間500kcを聴く(Watchする)ことが国際的に義務付けられていた。この時に電波が発射される場合は遭難信号(S・O・S)のみで、それを聞きやすくするために船舶が沈黙する「無言時間」であった。

 

 500kHz(キロ・ヘルツ)は平常時には呼出、応答に使用するが遭難通信(SOS)や緊急通信などに使用される周波数である。船舶や海岸局の時計の文字盤にはこの3分間が赤く塗られていた。

 

 当然、時計はGMT(世界標準時)にセットされていた。この毎時の15分から三分間、45分からの三分間を「沈黙時間」とか「第一沈黙時間」といった・・・。

 

 

 旧電波法の定めでは、

 第六十四条  海岸局及び船舶局は、中央標準時による毎時の十五分過ぎから十八分過ぎまで 及び四十五分過ぎから四十八分過ぎまで(「第一沈黙時間」という。以下同じ。)は、四百八十五キロサイクルから五百十五キロサイクルまでの周波数の電波を発射してはならない。
 但し、遭難通信若しくは緊急通信を行う場合 又は第一沈黙時間の最後の二十秒間に安全信号を送信する場合は、この限りでない。

 

 2 海岸局及び船舶局は、毎時六分をこえない範囲内で電波監理委員会規則で定める時間(「第二沈黙時間」という。以下同じ。)は、前項の周波数以外の電波であつて電波監理委員会規則で定めるものを発射してはならない。 と定められていた。

 

 この電波法は・・昭和25年、旧無線電信法に代わり制定された最初の電波法の条文であった。昭和50年に我が家を新築したが、そのときに「通信室」を作り、アマチュア無線局を新しく整備した。

 

 こういう・・本物の船舶通信室を真似して・・・それらしく風な通信席を作ったのだが、この「沈黙時間」の入った時計なんぞ一般のお店には売っていなかった・・・。そこで会社近くにあった時計屋さんで丸い時計を選んで買って帰り、赤い「第一沈黙時間」と緑の「第二沈黙時間」を自分で書き込んで作ったものだった・・・。

 その後、パソコンの世界にのめりこんで・・・アマチュア無線から撤退して、パソコン通信の世界に入り、いくつものパソコン通信センターを立ち上げたが、やがて、WWWが構築され、WEBの世界が広まると・・・通信室もパソコンが並ぶ部屋になった・・・。

 現在、その電波法の第64条は削除されたし、各地の無線電報局が相次いで廃止されて、船舶通信室から無線電信も廃止された・・・。

  

 この時計も・・・自分で改造した時計で、この家ができた時に、ニフティーサーブのオフ会の会場になった時のものだ・・・。

じゃぁ、また、あとで・・・。



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