馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

縫合した舌裂傷の治り方

2022-04-20 | 歯科・口腔外科

3週間ほど前に、舌裂傷を縫合した2歳馬。

飛節にOCDが見つかり、関節鏡手術に来院した。

手術台に乗せてから、

ステントを使った縫合をしたし、抜糸の必要があるかと舌を引っ張り出して観察した。

背側は裂けていたところがへこんでいる。

上皮が欠損している部分もある。

しかし、全体には良好。

とても奥で切れていて、縫いづらかった症例。

忙しい日で、ほとんど私ひとりで対応した。

鎮静し、下顎神経ブロックし、傷の奥で包帯で縛って引っ張り出し、

ステントを使った垂直マットレスでしっかり縫合し、

辺縁は十字縫合した。

裏側も裂けていて、縫合した。

全体にとても良好に治癒した。

これならなんの問題も残らないだろう。

            -

この馬、転倒して球節も削れるように裂傷していた。

傷は肉芽が増勢しつつあった。

過剰な肉芽を切除し、

上皮化が加速することを期待して、皮膚の辺縁にPRPを注入した。

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舌はだいじだよね~

キミはハミはつけられないけど、体温を下げるのにつかってたんだよね~



6 コメント

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Unknown (zebra)
2022-04-20 05:49:31
ステント何処へ。
綺麗に治るものなのですね。さすがです。

やばい笑くらい可愛いですね。
そろそろ四十九日ですか。
Unknown (はとぽっけ)
2022-04-20 06:37:40
 もげそうな舌を縫っちゃってるけどくっつくってほんと?というのが初めて見た時の感想です。治癒過程がみたいと常々思っていました。この再生力、応用したら、、、、。
 オラ君、おはよー。舌がないと暑くて大変なんだね。
 舌斑は子犬の時はないのだと知った衝撃画像だった。そしてゴールデンはラブラドールとは別で、あの性格からは想像しがたいけど、より狼よりなのだとおべんきょしたのだった。
 おもちゃやボール選びもいろいろ試行錯誤な日々でしたね。
>zebraさん (hig)
2022-04-20 19:57:20
ステントが食い込んでいるかと思ったのですが、はじき出されたか、糸が溶けて外れたか。締め方が良かったので、食い込まなかったのでしょう。

初七日、月命日、四十九日、しきたりは人の心にそったものでうまくできているんでしょうね。
>はとぽっけさん (hig)
2022-04-20 19:59:43
この馬も切れ方はひどかったです。包帯がずれたら千切れてしまうだろうと気をつけましたから。

相棒は、最初なかったのに舌斑ができて、歳いったら消えました。
そんなこんなも楽しい10年でした。
Unknown (東吾)
2022-04-20 23:36:18
落ち着いた性格で生涯一度も怪我をしない馬もいれば、
チャカチャカ動き回ってしょっちゅう怪我をする馬もいますね。
競走馬としてはどちらが勝ち組なんでしょうか。
ヒトの場合はそそっかしいと失敗が多く、苦労している場合が多いです。
>東吾さん (hig)
2022-04-21 00:53:53
サラブレッドは気性も激しいものを残してきたのだと思います。
往々にして怪我をするのは、活発な先頭を走る馬です。仲間に対しても強くて噛みにいく馬が蹴られます。
群の中でも、なんでこの馬が、という高価値の馬が怪我することが多いかもしれません。
もちろん、普段は落ち着いていて、走るべきときには走る馬が優れた気性の競走馬なんですが、それは人の馴致の賜物かもしれません。

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