馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

舌裂傷 ほとんど切断・・・・

2020-12-29 | 歯科・口腔外科

年末の日曜日。

午前中はTiebackを2ヶ月前にやった馬の披裂軟骨切除。

Tiebackをやる前から披裂軟骨炎であることはわかっていた。

それでもTiebackをやってみたが、手術時には披裂軟骨を外転させることはできなかった。

もう披裂軟骨の形状がおかしくなり、関節が動かなくなっていたのだろう。

披裂軟骨切除は、Tieback後の方が結果が良い、という報告もある。

披裂軟骨切除しても筋突起は残すので、いくらかでも外転させるテンションが残っていた方が良い、あるいは良い症例が含まれる、ということかもしれない。

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披裂軟骨切除が終わる頃、放馬してチフニーで舌を切ってしまった1歳馬が来院。

立位で縫おうと思ったが、ひどく奥で切れていて、おまけに切れ方がひどい。

包帯で舌を縛って引っ張り出して縫うのだが、包帯が滑って切れ目を引張ると完全に千切れてしまうだろう。

切断部より先は色調も紫がかっている。

全身麻酔することにした。

腹側にある血管は露出しているが、かろうじて2本とも残っている。

すごい奥でしょ。

1 monocryl によるステントを用いた垂直マットレス縫合に、

0 monocryl による十字縫合を加えてある。

腹側へもぐるりと切れていた。

朝、ウォーキングマシンから出すときに雪で滑って放馬したのだそうだ。

4日間乗れていなかったので元気があまっていた。

夕方まで水も与えないよう指示した。

翌日の夜まで餌はなし。

舌を失わずに済むかどうか、年明けまでわからない。

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こいつらは生まれたばかりの子牛の舌を齧ることがあるらしい。

馬でも、放牧地で産んだ、なんて話しを聴くが、新生子馬が襲われたとは聞いたことがない。

母馬が守るのかもしれない。

 

 



2 コメント

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Unknown (はとぽっけ)
2020-12-29 06:08:16
 痛恨の放牧。縫合テクニックを駆使した治療で順調し回復しますように。
 乳牛ってあまり子牛に執着しないのだろうと思うことで日々牛乳をおいしくいただいています。昨日は牛タンも食べたけど。
 野生のゾウやウマの映像を見ると、子供はとても繊細に、ときには勇猛に母親や群れが守っている様子。牡馬やキツネより強そうな敵も多いし。
 キツネといっしょに写っている球体はおんまさんのおもちゃでしょか?小さいので遊んでるのは見たことあります。
>はとぽっけさん (hig)
2020-12-29 19:49:28
この舌の裂傷は立位では厳しいと思いました。くっついてくれると良いのですが。

球体は漁につかうウキです。浜で拾って来ました。硬いです。上に乗るとバランスの練習になります。

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