馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

全身麻酔での陰部縫合

2017-06-28 | 繁殖学・産科学

疝痛続きで忙しい日に、

「今日か明日、陰部縫合してくれませんか?」

もう3年不受胎の繁殖雌馬。

おもいっきり蹴る馬で、立位ではとても陰部縫合できない、とのこと。

覚醒室で尻尾を吊って起立介助するのも危ない、とのことなので、屋外で草の上で全身麻酔することになった。

プロポフォールを使った静脈麻酔なので、良好な覚醒が期待できる。

陰部を奥まで切開し、3層に連続縫合した。

名血でも、いつまでも不受胎では置いてもらえないだろう。

馬も、命がけだ。

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しばらく雨降ってない。

 

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交配による膣穿孔

2017-05-15 | 繁殖学・産科学

きょうは、準急患で、交配による膣穿孔。

たいていは膣円蓋と呼ばれる子宮頚管の背側が破れる。

この馬は子宮頚管の右側が穿孔し、左側も傷んでいたが貫通はしていなかった。

目視下で縫えた。

立位、枠場保定、尾椎硬膜外麻酔。

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これは日曜日。

曇りのち雨の天気予報だったが、とても好い天気だった。

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緊急帝王切開

2017-04-14 | 繁殖学・産科学

妊娠末期に、母馬がひどい状態に陥ることがある。

致命的な骨折とか、消化管破裂とか、子宮動脈破裂とか、etc.

そういうときに、帝王切開して仔馬だけでも助けられないかやってみることがある。

ただし、分娩徴候がまったくないときに帝王切開しても子馬が助かる可能性はほとんどない。

馬では仔馬が出生して呼吸する準備は分娩前の24時間ほどに急速に進むことが研究で知られていて、

それ以前に帝王切開しても仔馬は呼吸できずに死んでしまう。

人で未熟児が助かるようになったのは、肺サーファクタントを使えるようになったことが大きいのだが、

馬ではまだそのHow toがない。

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先週、膀胱破裂からひどい腹膜炎になった繁殖雌馬から緊急帝王切開で仔馬を取り出した。

その仔馬は元気になって、次の日、乳母に付けられた。

強い胎動で膀胱破裂したくらいだから仔馬が生まれる準備ができていたのかもしれない。

腹膜炎はひどかったが、消化管破裂による腹膜炎とちがい、猛毒であるエンドトキシンにやられていなかったのだろう。

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今週、盲腸破裂で緊急帝王切開して取り出した仔馬は数時間後に死んでしまった。

剖検したら肺の1/3ほどしか空気を含んでいなかったそうだ。

その母馬は、7年前、子宮捻転と膀胱破裂で2回開腹手術して助かった馬だった。

その後もお産していたが、3年前に子宮動脈破裂をして生死をさまよった。

その後は受胎しても妊娠維持できなかった。

今年はもう分娩予定日を過ぎていた。

しかし、疝痛を起こし、開腹手術したら癒着疝だった。3年前の動脈破裂で癒着を起こしたのだろう。

癒着を剥がし、小腸の閉塞を解除した。

翌朝は順調で、元気で食欲もあったのだが、昼前に状態が悪くなった。

消化管破裂だと判断して、再開腹し、盲腸破裂を確認した。

仔馬も一度は乳を飲めそうなくらいだったが・・・・・死んでしまった。

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今朝、「ゆうべから産気づいているが出てこない」と連絡。

来院してみると口粘膜チアノーゼでショック状態。

白血球数は2000と激減。PCVは50%超。

急いで緊急帝王切開した。

仔馬の口粘膜もひどいチアノーゼ。

お母さんの胎盤から酸素をもらっているのに、お母さんがチアノーゼなんだから仕方がない。

お母さんにオキシトシンを投与して、臍帯の臍動脈を鉗圧して胎盤の血が仔馬に戻る時間だけ待って臍帯を切る。

仔馬の気道を吸引して羊水を吸出し、気管挿管してデマンドバルブで酸素吸入する。

30分ほどの間に仔馬の口粘膜の色は改善した。

目つきもしっかりし、体を起こすようになった。

大きな牡仔馬だ。

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母馬は盲腸破裂だった。

助ける方法はない。

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ンニョウ ニャニャ ニョニョ とネコのような、海鳥のような鳴き声がすると思ったら、道沿いの水溜りでカエルが出産中だった。

どの生き物も、産むというのは命がけだ。

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すごい量だ。

魚卵が好きな日本人も食べないのは、味がないのかね。

そういうと悪食のカラスも食べない。

 

 

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斜・傍正中切開による顆粒膜細胞腫卵巣摘出

2017-03-21 | 繁殖学・産科学

顆粒膜細胞腫GTCTと化した卵巣の摘出手術。

例によって仰臥位で、膝ヒダの内側を乳房へ向けて切開する。

「斜・傍正中切開」というらしい。

まあ、今日のは最大級というわけではなかった。

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ボールをくわえてくるのはオラにまかせろ

 

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切胎2例

2017-03-15 | 繁殖学・産科学

土曜日の午後、「後肢が産道に入って来ている難産で、胸で切胎したが出せない」との依頼の連絡。

そうなると、出せなければ帝王切開しなければならない。

到着したら、すぐに全身麻酔した。

私は、自分で難産を処置するのは今シーズン初めてじゃないだろうか?

子宮弛緩剤を投与する。

片方の後肢は産道に入って来ているので、簡単に繋にチェーンをかけることができた。

それを引張ってもらうと、残りの片方の蹄にも手が届いたので、チェーンをかけた。

トロトロの潤滑剤をストマックポンプで入れる。

引張ると、下半身が下胎向で産道に来たので、捻って反転させて引っ張り出した。

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月曜の夜中、というか火曜日になったばかりの時刻。

「初産予定まで2週間の馬で、両前肢の腕節が屈曲していて出せない」との依頼。

すぐ全身麻酔した。

私は、麻酔係を担当していたのだが、30分経っても失位整復が進まないので、長袖の直検エプロンを着けて、直検手袋を着けて、手術用の手袋を着けた。

羊水にアレルギーがあるので、完全装備でやらないと後で皮膚が痒くてひどいことになる。

手を入れると、後肢も産道へ入って来ている。帝王切開するつもりがあるか、飼い主に訊く。

屈曲している腕節にしか届かないので、まず中手骨にチェーンをかける。

それを引張ってもらうと、球節に手が届くので、繋に別のチェーンをかける。それを引張って、とりあえず両前肢と頭は産道へ来た。

潤滑剤を入れて、両前肢と頚をひっぱってもらう。仔馬はとうに死んでいる。おそらく死産だったので、失位のまま押し出されてきて難産になったのだ。

産道に入って来ている後肢がはずれないか仔馬を捻ってみる。

やはり引き出せないので、胸椎部で切胎した。

産道に入ってきていた後肢の繋にチェーンをかける。

しかし、残りの後肢は膝しか触れない。

どちらが脛でどちらが大腿かもわからない・・・・・が、なんとか中足骨を触れて、そのうち蹄に手が届いた。

繋にチェーンをかけて、あとは引張り出すだけ。

トータルで1時間ほどの処置になった。

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近所の牧場だったので、来院前に準備をしておく時間がなくて、診療室から準備室まで血と羊水と胎便でひどく汚れた。

実習生が4人居たので、麻酔に、難産牽引に、掃除に大活躍してくれた。

次の日、「獣医繁殖学・産科学」を見せて説明する。

分娩にまつわる事故はとても多く、産科学はとても大切。

しかし、大学ではほとんど産科を教えない。

今の獣医繁殖学の教科書にも産科の記述は少ない。

残念なことだ。

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君は安産だったのかね。

 

 

 

 

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