馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

十勝獣医師会 子牛の骨折内固定実習

2017-12-07 | 講習会

先日は、十勝獣医師会に呼ばれて子牛の骨折内固定実習。

十勝では昨年プレート固定のデモを観ていただいたので、今年は本格的な実習を計画した。

講義はできるだけ短くして、実習に時間を割いた。

6人ずつ、テーブル4つに分かれて、

プラスチックボーンでラグスクリューの体験。

脛骨骨折の整復と骨鉗子での仮固定。

ラグスクリューでの仮止め。

DCP内固定。

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午後、

橈骨横骨折のDCP固定。

上腕骨と大腿骨へのアプローチのデモと体験。

そこらで予定の終了時間。

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DepuySynthes社に協力していただき器材を4セット貸していただいた。

インストラクター付き。

Cannon のDRもデモを兼ねて使わせていただいた。

その場でX線画像が見れるので、実習にはとても良いし、もちろん手術室でも往診先でも役立つ。

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プレート固定をして”術中”x線画像も撮った。

どれも良くできていた。<<たいへんよくできました・花丸>>

「これなら治るよね」という声も聞けた。

あとは機材を準備して、勉強と練習をすれば対応できる。

麻酔が課題か・・・・・それも気管チューブをはじめとした機材や薬剤を準備してやるしかない。

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去年できなかったことを、今年できるようになる、のは楽しいよ。

今まで治せなかった骨折子牛を治せるようになる、のは嬉しいよ。

他の人がやろうともしなかったことを自分ができたら、誇らしいよ。

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これで、あちこち飛び回った今年の子牛プレート固定の講習・実習は終了。

子牛可愛いでしょ。

骨折れてたら治してやりたいと思うでしょ?

という説得が通じることに安心した。

 

 

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旭山動物園 坂東園長の講演

2017-12-07 | 講習会

地元で、旭山動物園の園長、坂東先生の講演があったので聴いてきた。

もう10年以上ブームが続いている旭川市旭山動物園。

私はとくに強い興味はなく、子供が小さいときに一度行ったきりだし、

TVのルポやドラマも観たことがない。

が、動物園での行動展示や、スズメやカラスについての解説や、シカ撃ちもする坂東園長の活動はユニークだな~と思っていた。

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いじめられっ子で、昆虫少年だった小中学校時代。

セキセイインコ飼育で、獣医さんの対応に残念な思いをした小樽での高校時代。

牛の獣医学を教わった酪農学園時代。

そして、さほど熱意がなかった動物園への就職。

「数年後にはかなりの確率でなくなるよ」と言われていたそうだ。

そして、

オラウータンの繁殖の話。

カバがプールの底で跳ぶ話。

逃げたフラミンゴの話。

冬のホッキョクグマの様子。

ペンギンの散歩と水中の様子。

などなど。

楽しい話だった。

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動物への敬意を強く感じた。その敬意が、

その動物がその動物らしく生きていけるということがだいじなことなんじゃないか。

動物に本来の暮らしをさせてやれば、とても高い能力を持っているし、美しいし、それを観る人にも楽しいんじゃないか。

という行動展示へつながっていったのだろうなと感じた。

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オラウータンの繁殖の話で、

雄と雌はぜんぜんちがいます。男と女が同じことをするのではなく、男はおとこらしく、女は女らしく働いて、同じように認められる。それが本当の平等なんでしょうね。

という主旨のことをおっしゃっていた(録音していたわけではないので私の印象と記憶だよりです)

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動物はきれいな目のまま死んでいきます。誰をも恨んだりしないし、最後まで生きようとします。

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動物の中で、人間だけが、本来の生き方から離れて生きようとする。だけど、野生動物は自分を変えようとしません。人も一種のサルにすぎないんですけど。

などなど、私が馬医者として暮らしてきた中で考えてきたこと、感じてきたことと共通する部分があって、とても興味深かった。

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わざとだろう。動物園に居る時の作業服を着て講演しておられた。

これも私も大学に講義に呼ばれたときなど診療着を着て話そうかと考える。

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また機会があれば、詳しく話を聴いてみたいと思った講演会だった。

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明日は出張という日の夕方。

肢を運んで来て、ひとりで関節鏡手術の練習をする。

膝関節の尾側関節腔。

テキストにも”狭い”と書いてある。難しい。

思い出せば、初心者の頃は、飛節だって腕節だって難しかった。

初心に帰れ、自分;笑 

 

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オホーツク青年獣医師会 子牛の骨折内固定講習

2017-11-20 | 講習会

オホーツク青年獣医師会に呼んでもらって、北見へ子牛の骨折プレート固定の講師に行って来た。

夜中から激しい雨と風。

元山岳部員としては認めたくないのだが、最近わたしはすっかり雨男。

休みでも出張でも、でかけようとすると天気が荒れる;涙

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菱形をした北海道を斜め横断するので、北見まで300km。

講習会だけかと思っていたら、午前中は症例検討会も開かれていた。

途中からしか聴けなかったが、腰椎が化膿した症例で神経学的な検査をきちんとしていたり、

門脈シャントの子牛を生前診断していたり、

4胃穿孔を腹腔洗浄してかなりを助けていたり、

心雑音がない心内膜炎を超音波診断していたり、

とてもレベルが高く、感心した。

また、どれも個体診療の発表だったので、外科手技の講習をしに来た者としてはちょっと安心した。

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午後が私の受け持ちで、子牛の骨折をプレート固定で治す方法を説明した。

キャスト固定ではうまく治らない症例があるのは皆さん経験済みのはず。

どうしてプレート固定なのか?

骨折治療の理念、原則とは?

そして、それを実現するための具体的な方法は?

それに必要な器具・器材は?

実際の症例はどんな風か?

を2時間ほど説明した。

そして、あとの1時間半は、解剖体でプレート固定のデモと体験をしていただいた。

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会場はオホーツクNOSAIの本部で、手術室も完備されている。

私はドリル本体を忘れていく大失敗をしたのだが、ドリルを借りることができて救われた;笑

オホーツクNOSAIが合併した10年前に新築されたそうで、立派な建物であり手術室だった。

あちこちで”青年獣医師会”が活動している。

地域によって活動の仕方はいろいろで、獣医師会やNOSAIとは一線を隔しているところもある。

オホーツクはNOSAIそのものが全面的にパックアップしているようだった。

「青年」獣医師会なので、どこでも年齢制限している。

オホーツクは35歳までだそうだ。

40歳にしているところもあるし、年齢制限をあげても「3名しかいない」と聞いた地区もある。

オホーツクは若い獣医さんが多いのだ。

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青年たちだけが集まって活動しよう、というのには理由がある。

日ごろ年配者たちから”指導”してもらっていても、それはありがたいことばかりではないのだろう。

若い人たちの方が、純粋で、革新的で、活力があるのは、どの業界でも同じことだ。

年齢制限するのは「逆差別だ」と言った獣医さんも居たが、

それなら獣医師会を作って「経験を積まないと入れてやらない」って集まって勉強すればいいんだ;笑

シニア獣医会は高齢獣医さんの集まり?

それじゃあ、壮年獣医師会とか、プレミア獣医師会でどうだ!?

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さて、今回の講習会の成果は?

オホーツクから、骨折した牛がプレート固定で治った、という話が聞こえてくるのを楽しみに待ちたい。

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お泊りは温泉旅館だった。

こんな部屋に泊まるのは久しぶり。

ビジネスホテルより良いかも。

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翌日は、私は移動日で休み扱い。

水族館好きとして、「山の水族館」は前からぜひ訪ねてみたかった。

渓流魚を中心に、自然を再現しながらの展示がされていた。

川で釣りの対象にしている魚が多く、説明文が手書きで親しめた。

ミツヅノコノハガエルは、水槽の周りを回ってどこに隠れているのか探していたら、

小さい男の子が、「あそこに居るよ」と教えてくれた。

「お~!よく見つけたね!」とほめたら、得意げな嬉しそうな顔。

カエル好きがまた増えたな。

牛臨床家に整形外科好きを増やすためのヒントかもしれない;笑

 

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上川獣医師会新技術講習会

2017-11-10 | 講習会

上川獣医師会に呼んでいただいて、講師の子牛の骨折プレート固定について講演とデモンストレーションをやってきた。

2015年の札幌での麻酔外科学会以来、子牛骨折のプレート固定はすっかり持ちネタになった;笑

去年、宮崎大学へ呼んでいただいて実習した

今年は、上川、オホーツク、十勝へ行く。

牛の臨床へ私が残していける何かひとつのこと、だと思っている。

北海道のNOSAIに身をおいてきた者としても、各地の牛の獣医さんと交流して、その地域の事情やあれこれを聞けるのはとても楽しい。

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プレート固定は特殊な手術なので、基本知識を知っておくことはとても大切。

ほとんどの皆さんがプレート固定の経験もなく、症例について本や文献で読んだこともないので、実際の症例について知ることも大切。

そして、何よりどんな風にやるのか実際を観て、できれば手技を体験してみれば、どういうものなのか実感できるはず。

と思ってやった3時間半だった。

声枯れたゼ;笑

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「できそうな気がしました」

「ぜひやってみたいです」

という感想が聞けた。

上川は若い獣医さんも多く、講習会も活気があった。そのあとの懇親会も;笑

講習会の最初に断っておいた。

「何かひとつ覚えて帰ってもらえればという内容ではありません。

この地区で1頭でも、「骨折した牛がプレート固定で治った」、という声が聞こえてこなければ、今日わたしが話すことには何の意味もありません。」

一粒の種は蒔いた。

育つ土壌だったか、水やりをしてもらえるか、日当りはどうか、楽しみに待ちたい。

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講習前のわずかな時間。

あいにくの季節に、あいにくの天候だったけど散歩した。

巨木が見られて楽しかった。

美術館の展示もなかなかだった。

 

 

 

 

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AED救急蘇生講習会・馬の循環器病の診断・治療 2

2017-11-03 | 講習会

講習会、昼は北海道獣医師会の菅野先生が鹿児島大での講習会の参加報告と、ご自身の重輓馬の診療の経験を話してくださった。

出身地のNOSAIで長く産業動物獣医師として働かれ、参事まで務められ、それでもまだ臨床に愛情をもっておられるのが伝わってきた。

                                    -

午後は、部屋を移して、SHCの鈴木吏先生の馬の循環器病の診断・治療の講演。

馬の心臓の位置から、

聴診方法、心雑音から、

超音波画像診断、

心電図、

そしていろいろな症例紹介まで、

とても勉強になった。

                                    -

多くの馬臨床家は、「心奇形なんて当たったことがない」とか、

「心臓に異常があったり、止まってしまったら、もう治療対象じゃない」、と思っているかもしれない。

しかし、心臓の異常は実はわれわれが思っているよりはるかに多い。

                                    -

鎮静剤を注射する前に、聴診して不整脈や病的な心雑音がないかチェックしているだろうか?

年間、数百頭を聴診していると、年に数頭は異常に気づく。

もし、聴診で異常を判断できなかったとしても、

聴診もせずに、循環器系に大きな影響を与える薬を投与し、馬が死んだり死にかけてから「聴診もしてませんでした」というのと、

「聴診したけど気づけませんでした」というのは、違うことだ。

私は、鎮静剤を投与する前には必ず心音を聴診して、不整脈や病的な心雑音がないかチェックすべきだと思う。

                                     -

保険の加入審査でも心音の聴診は重要だ。

家畜共済でも、民間の競走馬保険でも、「心奇形でした」となると保険金は支払われない。

しかし、掛け金は返してもらえない。

そもそも加入させるべきではなかった、ということなのだろう。

加入時の健康診断で見逃したら、それは診断した獣医師の責任なのかもしれない。

そういう事例は何度も経験してきた。

心して聴診すべきだろう。

さて、第1音、第2音、さらに第3音に第4音。それぞれの意味を聴き取りながら聴診できるだろうか?

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私たちが、もっと注意深く心音を聴診すれば、馬の心疾患はもっと見つかるだろうと思う。

                                   ///////////

今日は、1歳馬の細菌性関節炎の関節鏡手術。

当歳馬の腰痿のX線撮影。

午後は、1歳馬の鼻出血の喉嚢内視鏡検査。真菌症ではなかった。

月初めの事務処理。たまったカルテのコード記入。

今日は暖かかった。

 

 

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