馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

逃げるな新人外科医

2020-10-30 | 図書室

エアコンも稼動するようになり、通常業務に戻った。

午前中は、大腿骨滑車OCDの関節鏡手術。

昼から、肢軸異常のscrew remove 。

続いて、ロド腹腔内膿瘍の剖検。

そして、大腿骨骨嚢胞 Subchondral Cystic Lesion のscrew固定。

PRP 多血小板血漿も作成して病巣内注入した。

PRPの血小板数は、採血時26万、調整時189万だった。良い出来だろう。

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逃げるな新人外科医。 

泣くな研修医の続編。

相変わらずの研修医生活だが、進歩はしている。

厳しくも優しい先輩外科医とは相変わらず。

優秀なお嬢様新人医師が後輩としてやってくる。

少しずつ外科医らしくなりながら、自分自身の変化に戸惑ってもいる。

そして、悲劇が待っている・・・・

こういう若いお医者さんが増えて欲しいね。

若い獣医さんはどうだ?

 


エアコンの交換で手術室が使えないので往診

2020-10-29 | 日常

17年使って来た手術室のエアコンを交換することになった。

まだ完全に壊れているわけではないが、もう限界だろう。

古いエアコンは暖房は灯油を使い、冷房は電気というハイブリッド式だった。

かつてはエアコンの暖房能力が低すぎたのだ。

今は暖房でも、エアコンが最も省エネだとされている。

窓のない手術室。

長袖ガウンを着て、長靴を履いて、ゴム手袋を着けて肉体労働する。

暑さの中、エアコンが動かなくなったら手術できない。

もちろん北海道の寒さの中では暖房なしでは良い手術はできない。

低温の中では、全身麻酔している馬の麻酔管理も安全ではなくなる。

その日は手術室が使えないので、歩くのも難儀な蹄葉炎の馬の深屈腱切断術に往診することにした。

私たちは往診に出ない珍しい大動物獣医師だが、私は往診は嫌いじゃない。

秋晴れの、紅葉真っ盛りの日のドライヴをキライな人はそういない;笑

2.5ヶ月の黒毛の中足骨骨折の連絡ももらっていたので、帰りに寄ってX線撮影してきた。

蹄葉炎も骨折も、DRを使った。

どちらも電源を用意しようとしてくれたが「要らないんですよ~」

「その場で画像みれるんだね?!」

コードレスDR、コードレスX線撮影装置の威力は偉大だ。

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翌日からエアコンで暖房を始めた。

もう暖房なしでは手術中、手術後の馬に寒すぎる。

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晴れると日中は暖かい。

朝は氷点下だった。

インフルエンザのワクチンをうってきた。

久しぶりにヨガ教室へ行った。4回目、かな?;笑

 


多数の蹄のXray

2020-10-25 | 蹄病学

先日の蹄処置をテーマにした実習の中で蹄のXrayをたくさん撮った。

(と言っても、4頭16蹄)

いろいろな蹄があり、中にはひどい慢性蹄葉炎でそれが最期の引き金だったろうと思う蹄もあった。

蹄底が薄いのやら

蹄底が厚いのやら

しかし、これだけの蹄をXrayしても、蹄内に感染巣だと思われる透過像はなかった。

だから、ごくごく小さな透過部でさえも、あれば蹄感染、蹄膿瘍の所見だと考えても良いのだろう。

生産地では”砂のぼり”の馬はとても多い。

中にはこじらせているのが居る。

獣医師が積極的に関与して、Xrayで部位を特定してから対処するようになれば、

より正確に病態が把握でき、こじれる症例を減らせるのではないだろうか。

牧場も、装蹄師さんも、遠慮しないで獣医師にX線撮影を頼めば良い。

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虹のたもとには金が入った壷が埋まっている、と言うのだそうだ。

場所、覚えておいて堀りに行くか;笑

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飼主を置いて逝ってしまったワンコは、虹のたもとで飼主を待ってくれているのだそうだ。

「近すぎるヤン。散歩コースの途中ヤデ。」

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コントレイル!! おめでとう!!!

めずらしく生中継を観れた。

強かったね~ でも危なかったね~

頑張った!!

 

 

 

 

 


近位趾節関節screw固定 in a QH

2020-10-25 | 整形外科

3年前に左前肢の近位指節関節をLCPと5.5mmscrewで関節固定したクウォーターホースの繁殖雌馬8歳。

その後は2産した。今年は凍結精液で人工授精したけどとまらなかった。

左前は痛みがあって、ときどき強くなる。

蹄骨伸筋突起が折れている。

LCPの先が当たるというより伸筋腱が持ち上げられ、迂回させられることによって伸筋突起に負担がかかったのだろう。

そして、今は左後肢が痛い。

3年前にもこの肢にもPIPjointのDJD変形性関節症があり、いずれ痛くなるかも、と指摘していた。

その後、病態はかなり進行し、P2にも病的な変化が出てきている。

この馬、右前肢のPIPjointにも初期のDJD所見がある。

クウォーターホースは激しい運動をさせるのでPIPjointを傷めやすいのだと考えていたが、品種的にPIPjointにDJDが起こりやすいのかもしれない。

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左後は今や立派な趾骨瘤状態。

関節周囲の骨増勢はかなり進んでいて関節を開くのはたいへんそうなので、screw固定だけでいくことにした。

関節面には3.2mmドリルで5-6本ドリリングし、関節軟骨を壊して、関節癒合が促進されるのを期待する。

あとは、よく狙って、関節貫通screwとして5.5mm screwをLag screwとして入れていく。

screw先はほとんど出さない。出すと深屈腱に当たるから。

内外のscrewは、P2の底突起にしっかり効くように入れる。

screwを3本入れると、Xrayでも重なって位置や角度や長さを確認しづらい。

わざと斜めに撮って、screw先が飛び出していないことを確認する。

術後はhalf limb castを着けた。

4-6週間はキャスト固定しておきたい。

蹄葉炎に注意。

草だけしか食べていなくても太るクウォーターホース。

霜が降りた生草も糖質を貯えているので危険。

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激しい雨のあと虹が出た。

地平から地平へつながっている虹だった。

 

 

 

 


泣くな研修医

2020-10-22 | 図書室

外科医の修行物語。

この研修医クン、とても純粋。

90を超えて生活保護受給者で、身よりもない患者でも、胃がんを手術してやりたくてもだえる。

内視鏡で診てわかるほどリンパ節が腫れていたら、胃切除だけでは助からないだろうに。

ほとんど家に帰らず、病院で寝泊まりしながら担当の患者さんから目を離すまいと頑張る。

これじゃあ、世間のことに疎い、凝り固まった医師になってしまわないか?

上司や先輩医師も、悪いヤツは出てこない。

対照的にマンガチックなチャラい同僚が居るだけ。そいつも悪いヤツじゃない。

現役の外科医が書いているので細部にはリアリティーがある。

(忙しそうだけど、小説を書いてる時間はあるのか?)

楽しく読めたので続編も読んでみようと思う。

なにせ私は若かった頃のことは忘れてしまっているので、思い返すよすがとしたい;笑

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林の秋。

オラは食欲の秋。