馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

Veterinary Recordの表紙と記事に・・・・

2016-06-11 | 人医療と馬医療

新しいVeterinary Recordにいくつか印象的な記事が載っていた。

表紙は豚。

主な掲載記事は、馬のMRSAメチシリン耐性黄色ブドウ球菌について。

これは面白そうだ、と思ったらJRAからの報告と、コメント記事だった。

ときどき現役競走馬からMRSAが採れる。

そして、トレセン獣医師のMRSA保菌率も高い。

発熱馬にファーストチョイスでセフェム系抗生物質を使うような診療がベースにあると私は思う。

有名な馬外科医Tim Greetが引退するという記事。

Greet先生は、数年前東京へ来て、馬の喉の障害について講演してくれた。

EEはlaserで手術するよりEEカッターで切開するほうが良いと考えている、と述べておられた。

シャンペングラス片手にhappy retirement 。

おしゃれで好いな。

UKの豚は40%がこのように土の上で飼われるように戻ったのだそうだ。

コンクリートの豚舎で、ひたすら生産効率だけを追求されるのが養豚経営だと思っていたのだが、

また自然な形での養豚が復活し、40%にも及んでいるとは驚きだ。

ヘリオット先生の頃の、健康なピンクの子豚とのふれあいがあるのだろうか。

伝染病対策は大丈夫なのだろうかとも思うが、歓迎すべきことのように思う。

 

 

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巡回ドック

2015-09-16 | 人医療と馬医療

きのうの朝は巡回人間ドック。

薄明るくなったので整理券をもらいにいったら4番だった。

問診が始まって、小柄な気の強そうな保健師さんが聞き取りする。

「降圧剤は飲んできましたか?」

いいえ、いつも朝食後なんで。

「検診のときは飲んできてください」

 ・・・・・・

血圧測定してみて、

「あ、でも、安定してますね」

( ・・だからいつもどおりでいいんだよ)

               -

バリウムを飲んでx線撮影するので、下剤を飲むことを何度も指示される。

私はバリウムを飲んでも便秘しない。

下剤を飲むと腹痛を起こすし、かなり下痢する。

下剤は要らないとか、飲まないとか抵抗しても、「飲め!」と強要されるので、もらってきて捨てるしかない;笑

               -

健診バスでは、服を脱いで健診着に着替えろという。

去年まではボタンやチャックがついてない服なら自分の服でよかったのだけれど。

狭いバスの中で、カーテンに隠れても女の人は嫌だろうな。

まあ、年配の女性ばかりだけど。

               -

患者本位の医療などと言われるが、「集団検診」ではまるでモルモット扱いだな、と感じたことであった。

それが嫌なら、もっと費用をかけて高級人間ドックへ行け、ということかな。

              ---

そして朝から急患。

育成馬の繋の外傷。

休む暇なく2歳競走馬の腕節のchip fracture の関節鏡手術。

跛行診断が1頭。

午後は遠方から重輓馬の「のど鳴り」の喉頭形成術 Tieback 。

手術台に載らないので、倒馬室でマットに載せて手術するが、ポジション決めもたいへん。

頭も肢もひどく重い。

皮膚は厚く、皮下織は硬く、でも出血は少ないかな?

重輓馬を相手にするなら、それなりの施設や機材を用意してやるか、体重80kg以上、身長180cm以上、筋力豊富で、若い馬外科医がやるか、

鍛えられた慣れたチームでやるかだな;笑。

                  ///////////////

温泉源になっている大湯沼を観にいった

キャンプ場は修理中で泊まれなかった

温泉施設もまだオープン前。

で、マッカリヌプリの登山口のキャンプ場へ

夕暮れ前の散歩して、でっかいミズナラの樹に会った

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オーナーと権利と義務

2014-12-25 | 人医療と馬医療

数日前の話。

朝、競走馬の腕節骨折の関節鏡手術。

15分も遅れてきたので忘れてるのかとあちこち電話した。

どこも役に立つ連絡がつかず、結局、馬が到着してから折り返しの電話があちこちから来る。

午後は獣医師会の会議の予定が入っていたが、1歳馬の疝痛の依頼。

前の日の昼から疝痛だったと言う。

                       -

ひどく痛いわけではなく、間欠的に痛みが出て仰向けにもなる。

PCV41%だが、乳酸値は2.6mmol/lとかなり高い。

体表からの超音波検査で、左腎臓は結腸に邪魔されて確認できず、その結腸には結腸動脈が見え、その周囲は肥厚している。

食べてない割には小腸に内容が多く、腹水もやや増えている。

「もう開腹手術した方が良いです」と言ったら、オーナーに電話して代わって欲しいと言われたので簡潔に説明する。

「腸閉塞で、このままではダメになる可能性が高く、やれば助かるとは限らないが開腹手術した方が良いです」

やってください。ということなので、すぐ準備して始める。

                       -

ほぼ予想したとおり結腸左背側変位だった。

結腸が脾臓と左腎臓の間にはまり込む reno-splenic entrapment のだが、そのときねじれて裏返ることが多い。

今回の症例ではそれで結腸動脈が左の体表から見えたわけだ。

結腸は循環障害を起こして結腸動脈周囲は黄色く浮腫を起こしていて、結腸には点状出血した部分や、わずかに筋層が切れた部分もあった。

黄色い腹水も増えていた。

結腸の損傷が進めば予後が危うくなるし、回復までの時間もかかるし、治療費もさらにかさむことになっただろう。

                       -

自分の馬に治療を受けさせるかどうかは最終的にはオーナーが決めることだ。

何かあったらどこまでの診療をしてもらいたいのか馬を預ける相手に説明しておいた方が良い。

何かあったときに納得できるきちんとした説明を求めるのはオーナーの権利でもある。

そして、納得できる診療を受けさせるのはオーナーの義務でもある。馬は自分では病院へ行けないのだから。

                    ////////////

56歳で乗馬を始めた弁護士さんがお書きになった自家出版本。

馬に魅かれて、そして自馬にされた馬は素晴らしい馬で、

ところがその馬は眼の病気を患っていて・・・・

あちこち情報を求めて、私が相談を受けた。

私は、遠慮しないで馬のためにちゃんと眼の検査をできる病院へ連れていってもらうようアドバイスした。

それは、オーナーの権利であると同時に義務ですから、と。

                       -

それから数年のその馬とオーナーの濃密な時間も書かれている。

その馬への想いがあふれていて、胸が熱くなった。

癌が転移し、高齢馬に多い運動器の障害もかかえている愛馬の馬房の前ですごした夏の時間。

暑くて、ふつうには快適なはずはないのだが、その時間が本のタイトルになったのだろう。

                       -

そして、疝痛で別れの決断のときが来る。

それもまたオーナーの辛い義務でもある。

                       -

競走馬の世界はもう少しドライかもしれないが、この本からは人が馬に抱く愛情の強さ大きさを感じさせていただいた。

馬医者にとって忘れてはいけない大切なことだ。

そして、現実問題としては日本の、とくに競馬サークル外の馬医療の現状をあらためて考えさせられた。

これも、日本の馬医者全体の課題でもある。

 

 

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避けられない安楽殺

2014-11-04 | 人医療と馬医療
今日は、
競走馬の橈骨骨折、左右両方。
繁殖雌馬の橈骨粉砕骨折の剖検。安楽殺されて来た。
牛の第四胃右方変位の開腹手術。

夜中に死んだ当歳馬の癒着疝の剖検。
1歳馬の細菌性滑液嚢炎の診断と治療。
当歳馬の上腕骨骨折の安楽殺と剖検。
3歳馬の中手骨骨折の安楽殺。
           -
USAでは脳腫瘍で余命宣告された若い女性が自死を選んで実行したことが話題になり論議されている。
賛否両論あるようだが、私は賛成派だ。
もう生き続けられる望みがなく、残されるのが苦痛だけなら、自ら死を選ぶことを止める必要はない。
今日、たくさんの馬の死を見たからこそ、そう思う。
           ///////

オラ、芸術してきた
「北の大地の詩」
岩手県遠野地方に伝わるオシラサマ伝説を現しているらしい。
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人の「球節」固定術

2013-08-17 | 人医療と馬医療

人医療でも関節固定術は行われることがある。

外反拇指もひどくなると関節を骨癒合させてしまうことがあるようだ。

ちょうど馬では「球節」にあたる。

http://jp.youtube.com/watch?v=61JB9x5JbV8

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駆血帯が使われているのだろう。

まったく出血していない。

素早いが丁寧な手技、洗練された専用の器具、迷いのない動作。

同じ手術を数多く経験している外科医の手による手術だとわかる。

そして、基礎には同じ分野で仕事をしている外科医たちの情報交換と切磋琢磨があるのだろう。

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私は近位指骨・指骨間関節の関節固定手術はまだ4例目。

日本でもたぶんまだ4例目。

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コンラート・ローレンツ博士も書いている。

夏の暑い日にはどうせ書き物なんかはかどらない。

書斎のタイプライターから離れてドナウ川でワンコと泳ごう。

(ローレンツ博士の時代にはドナウ川で泳げたらしい。

ブタペスト在住の獣医学生によると、今はとても泳げるような水質ではないそうだ。)

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