馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

秋のbusy day

2014-09-30 | 日常

きのうまでに入っていた診療の予約は、競走馬の腕節の関節鏡手術と、1歳馬の腰痿のX線検査と、午後に2歳馬のDDSPのTieForward手術。

しかし、2歳の競走馬が中足骨の顆骨折をしたとのことなので・・・・

何とか昼前にスクリュー固定手術することにした。

ところが、その上に、1歳馬がウォーキングマシーンで暴れて頭部を大怪我したので縫合して欲しいとの依頼。

忙しいんだけど・・・・なんとかしまショ

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P9296693
まず、腕節の関節鏡手術とあわせて去勢。

(左)

それが終わった頃に怪我の馬が来院した。

ちょうど良いと思っていたら、馬運車の後扉が故障で馬を下ろせない。

まあ、修理してもらうしかない。

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先に中足骨骨折の手術を始める。P9296694

手術が始まったら、別室で腰痿のX線撮影。

それが終わったら、別室で外傷縫合。

そして、骨折のスクリュー固定が終わって、キャストを巻いて、吊起帯を着けて麻酔覚醒。

15歳以上の馬と、後肢にキャストを巻いた馬は全頭、吊起帯を着けて覚醒起立させることにしている。

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昼過ぎには終わって、あとは午後のTie-forward手術をやるだけ。

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P9246633

相棒はカヌーの上では前肢を高いところにおいて、

たいてい後を観ている。

カヌーの前へ行って、前を観ていてくれれば漕ぎやすいのだが、こちらに近寄りすぎるのでとても邪魔。

        -

P9246638_2おや、丹頂でしょう。

さすが釧路川。

この大きな美しい鳥が絶滅しなくて良かったと思う。

釧路の人たちの保護活動で生き延びた。

この旅からの帰り、十勝の海岸近くでも丹頂を見た。

生息域が広がっているなら良いことだ。

鳥インフルエンザなど疫病が流行ったときに、生息している地域が限定されていると一気に絶滅しかねない。

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空にはオジロワシが舞っていた。

トビより翼が大きくて立派で、尾が三角じゃないのはワシだ。

川沿いの木から飛び出すヤマセミも頻繁に見るようになった。

カヌーが来ると下流へ飛んでいくので、その先でもまた下流へ追いやることになる。

魚は小物がときどきチャポンと跳ねるが、大物は見かけなかった。

釣り人も多くなかった。

釣れないのか?

P9246640川岸から上がれば、広大な草地になった河川敷。

採草されているのだろう。

きれいに刈られていた。

明日も天気が良いならこんなところでキャンプしたいところなのだが。

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結腸捻転or変位の超音波画像診断

2014-09-29 | 急性腹症

まだ若い繁殖雌馬が夕方から疝痛を示し、鎮痛剤を2回投与しても良くならない。とのこと。

夜、9時前に来院。

ひどい痛みではない。

心拍44、PCV47%、乳酸値0.8mmol/l。血液はそれほど悪くない。

腹もそれほど張っていない(腹囲膨満はひどくない)。

青草がある季節には2週間に1度くらい疝痛を起こす馬なので放牧制限をしていた。とのこと。

                          -Hinode140913_20140913__0004

体表からの超音波画像診断では、結腸壁の肥厚はわからなかった。

(右)

正常と変わらない程度の大きさの結腸膨起が見えている。

つまり、結腸壁の肥厚もなく、結腸の膨満もない。

Hinode140913_20140913__0006 ただ、結腸動脈らしき像が右側最終肋骨辺りで見えた。

(左)

盲腸外側紐の血管は体表から見えることがあるが、結腸動脈は結腸が正常な位置にあれば体表から見えるはずはない。

                     -

輸液をしながら様子を観たが、やはり身をよじるような痛みを間欠的に示す。

「おかしいね。やっぱり切りましょう」

ということで開腹手術することにした。

                          -

開腹すると結腸はチアノーゼも肥厚もないものの、途中で360°以上捻転している。

引き出してみると背側結腸と腹側結腸を結ぶ結腸間膜が、骨盤曲近くでかなり広い。

P7200481この様な結腸間膜が広すぎたり、破れていたり、あるいは結腸がU字型でなく、クローバー型やト字型をしている馬の疝痛は何度か診たことがある。

結腸の走行や腸間膜に奇形があると、結腸捻転を起こしやすいらしい。

(右写真は別症例;U字型をしているはずの大結腸が、ト字型をしている)

                       -

今回の症例は、結腸の捻転はひどかったが、採食制限をしていたせいか結腸壁の肥厚はまったくなかった。

ごくわずかに結腸動脈周囲に水腫があるだけ。

これでは術前に超音波画像診断で結腸壁の肥厚をとらえようとしても無理だ。

しかし、結腸はグルグルに捻転していた。

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P9246621朝、ふたたび送ってもらって屈斜路湖畔へ。

屈斜路湖にはまだ朝もやが漂っていた。

遠くに見えるのが和琴半島。

今日も天気は良さそうだ。

P9246622                        -

「とうちゃん、カヌー乗るのか!?」

                        -

P9246623釧路川源流部は流れが速く、

倒木が多く、

蛇行はげしい。

しかし、気をつけていけば大丈夫。

ただし、最後に土壁と呼ばれる難所がある。

危なかった~

                        -

P92466274時間かけて弟子屈のカヌーポートに到着。

普通はここまでが1日コースなのだが・・・・

明日は台風崩れの低気圧で天気が荒れる。

できるだけ今日、距離をかせいでおきたい。

標茶に向けて、行けるところまで行くことにした。

 

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馬の骨折内固定手術の勉強の仕方

2014-09-27 | How to 馬医者修行

P8126528_2馬の骨折内固定手術は、以前は本が出ていたのが、もう新しい版は出ないようだ

代わってインターネットで、馬の骨折内固定手術の最新情報を学ぶことができるようになっている。

ただし、現在無料で公開されているのは第一指骨だけで、他の部分は有料会員にならないと見れない。

そして、今のところ完成しているのは、第一指骨、中手・中足骨、と飛節だけ。

他の部分は作製中ということらしい。

さらに、例えば中手・中足骨についても骨幹部骨折のプレート固定などは含まれていない。

以前の成書には記載があったのだが・・・・・

骨幹部骨折のプレート固定は特殊な手術だということになってしまったのかもしれない。

しかし、例え子馬しか対象にできない手術であってもきちんと書いて欲しかった。

このオンライン上の情報で勉強するために会員になるには年間1万円以上の会費を毎年払わなければならない。

本を買うより高くつく・・・・・

それなら早く他の部分も完成させて欲しいものだ。

                    ---

休み明けの今日は、メールでの症例相談の回答に1時間以上かかった。

午前中、繁殖雌馬の後肢の蹄叉にできた肉芽?の切除。

昼は血液検査をして、

午後は2歳馬の中手骨外顆骨折のスクリュー固定手術。

もう日暮れが早い。

終わったら黄昏時だった。

                    //////////

P9236616釧路川は屈斜路湖を流れ出て平野部を流れ、最後は釧路湿原を作っている。

この湿原展望台から見ても屈斜路湖ははるか向こう。

川での距離にして約80kmあるらしい。

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P9236620車を湿原のカヌーポートにデポして、相棒とカヌー、そしてキャンプ道具一式といっしょに送ってもらった弟子屈の街はすでに日が落ちていた。

                 -

7月8月はキャンプしている人もいるらしいが、9月末になるとテント泊まりの人は見かけない。

駐車場にはキャンピングカーは何台か止まっていた。

 

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優駿の門アスミ 7

2014-09-20 | 図書室

P9206615優駿の門アスミ。

最新巻を贈っていただいたのでさっそく読んだ。

高崎競馬はどうなるのか!?

骨折リハビリ中のネイルクィンは?!

と、しかし、

これで物語は完結。

    -

P9206617群像劇としても面白かった。

馬の表情もリアルとシュールがバランスがとれていた。

(右)

                    -

われわれ馬医者ももっと対象をよく見て、描けるくらいにならないといけないなと思う。

                    -

私はhik先生の活躍をもっと見たかった;笑。

ありがとうございました。

P9206616

 

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頚椎症による腰痿に対する頚椎固定術の是非 3

2014-09-19 | 整形外科

腰痿馬に対する頚椎固定手術について否定的な意見ばかり紹介したが、支持する意見もある。

                         -

「私はDr.Barrie Grant を支持します。立派な人です。とても現実家です。前向きで、そして間違いなくこの手術の権威であり、他の手術もしています。

彼は私の診療所で数頭の手術をしました。何頭もが明らかに改善されました。」

                         -

しかしながら、やはり否定的なコメントが多い。

「もう古くなった自身の経験から私は頚椎固定手術はお勧めしません。

10年前にオハイオ州立大学で自分のクォーターホース去勢馬にこの手術をしてもらいました。

彼の腰痿は改善されず、今でも彼は首の動きがひどく制限されています。

彼は体の高さより首を高く上げることができず、どちら側へも首を振ることができません。

両側の肩の筋肉はひどく萎縮しています。

私のこの1例は乗ることさえできませんが、”競技馬”です。

先のコメントにありましたが、私の馬は手術後6週間は本当に可哀想でした。

 私も腰痿が遺伝すると信じています。

私の去勢馬の母馬は生涯を通じて7頭子馬を生み、3頭(これらは2頭の種雄馬の子です)が腰痿でした。」

                         -

良くなったとしても完治するわけではない。

「私は1頭の経過を観たことがあります。

そう、手術でその馬は良くなったように見えましたし、しっかりしました。

しかし、私は絶対に妻をその馬には乗せません(不調和、踊るような動き、固有感覚の減退があると私には見えたからです)。

もっと妻に保険をかけてからでなければ・・・・」

                         -

どうもUSAの馬獣医さん達のこの手術についての見解は思わしくないようだ。

ただ、治す方法としてはこれ以外になく、

改善される馬もいる。ということのようだ。

そして、繁殖供用のために。という場合は、遺伝する可能性も考慮しなければならない。

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2014091511140000-

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時は・・「花」なり

 

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