1歳馬が下顎を骨折していて、食べられない、とのこと。
哺乳中の子馬と違って、固形物しか食べない馬では下顎の片側の骨折でも噛めなくて、痩せ衰えてしまう。
手術しましょう・・・ということで、
この左側の歯槽間隙の骨折だと思っていた。
しかし、仰向けにしてみると下顎の形が左右で大きく違っている。
右側の咬筋部はかなり腫れている。
なんと、右の下顎体が大きく割れている。
そして、「く」字型に変位しているのだろう。
下顎骨縁に骨鉗子をかけて、力いっぱい引張ってもらいながら、骨折部を押す。
バキバキッと嫌な音と感触があった。
変位はかなり整復されたらしい。
X線画像の骨折線も細くなった。
尾側から薄い板のような骨である下顎骨をLCPで固定することにした。
頭側にLHSを入れて、腹側のcortical screwコンプレッションをかけて入れて、あと2本LHSを入れた。
耳が写っていることでわかるように、この辺りは”こめかみ”で神経や血管や耳下腺があり、外科侵襲を加えたくない部分だ。
これで骨癒合を待つことにしたい。
切歯骨も固定する。
私は外側からbi-cortical になるようにプレートを当てるのを好むが、歯肉の下で浮いている部分を留めたいので、腹側にLCPを当てることにした。
が、結果的には難しかった。
術後は、ペレットをふやかしたものを与えてもらうことにした。
腹が減れば、じゅるじゅると噛まずに食べられるだろう。
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このツツジも研修宿泊棟の裏。
誰にも見られなかったのが、少し見えるようになり、陽も当たるようになった。
そして、宿泊棟の食堂からも見える。