これは1999年にアメリカ獣医師会雑誌に載った蹄葉炎馬での深屈腱切断術35症例についての報告。
Texas A&M 大学からのリポートだが、9年間で35症例だからさほど多くない。
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Deep digital flexor tenotomy as a treatment for chronic laminitis in horses: 35 cases (1988-1997)
馬の慢性蹄葉炎に対する深屈腱切断:35症例(1988-1997)
JAVMA,214,4,517-519
目的-深屈腱切断により治療された蹄葉炎馬の長期的予後を調べ、外科手技の成功に影響する因子を明らかにすること。
デザイン-回顧的調査。
動物-1988年から1997年に深屈腱切断により治療された蹄葉炎馬35頭。
方法-情報は個々の診療記録と畜主と担当獣医師への電話インタヴューにより得られた。
切腱術後6ヶ月と2年間生存した馬の累積頭数を調査した。
跛行のObelグレードが6ヶ月後と2年後の生存に与える影響と、蹄骨のローテーションが生存と将来のパフォーマンスに与える影響をχ二乗検定により検証した。
2年以上生存した馬の体重を2年未満しか生存しなかった馬の体重とANOVAにより比較した。
結果-35頭中27頭(77%)が6ヶ月以上生存し、32頭中19頭(59%)が2年以上生存した。
手術時のObelグレードや体重は、6ヶ月あるいは2年間の生存に影響していなかった。
蹄骨のローテーションは2年間の生存あるいは軽い騎乗運動に使えるという点で影響していなかった。
30頭中22頭(73%)の畜主がインタヴューにより、彼らの馬が同じ状態になったらこの治療をまたやってもらうということが示唆された。
臨床的重要性-深屈腱切断は伝統的な内科治療に反応しない蹄葉炎馬にとっても積極的な代替療法である。
数例では、馬を軽い運動使役に復帰させる点でも効果的であった。
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これらの馬は13頭はクウォーターホース、8頭はアラブ、5頭はサラブレッド、4頭はペイントホース、残りの5頭はそれ以外の種だった。
私も数例、クウォーターホースやドサンコやポニーの蹄葉炎で深屈腱切断をやってきたが、蹄壁や蹄底が厚くて硬くてしっかりしていて、サラブレッドのようにすぐ蹄底が割れてしまったり、蹄壁がもろくなって装蹄できなかったりはしなかった。
そのためサラブレッドより慢性蹄葉炎の予後は良いのではないかと思う。
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蹄葉炎の馬で深屈腱切断するときに、跛行の程度や、蹄骨のローテーションの程度や、馬の体重は、予後との明確な関係はなかったようだ。
2年以上生存した馬は6割ほどなのだが、畜主の4人に3人は同じ状況になったら「またやってもらう」と答えたとのこと。
「この病気の重篤度を考慮すれば、59%の成功は勇気付けられるものだ。」
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治療と管理に手間と費用をかけながら2年間生存したからと言って「成功」と呼べるかどうかはわからない。
繁殖雌馬に関して言えば、そのときお腹に居る子を産めた。とか、そのときの当歳を育てることができたなら、たとえ数ヶ月生きながらえただけでも成功かもしれない。
慢性蹄葉炎の馬はたいてい死ぬわけではなく、人があきらめて淘汰しているので、
畜主が何を求めているかが一番予後に影響を与えるように思う。
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サマーセールは売却率は良いようだ。
今日は爽やかな好天で、売り上げも伸びただろうか。
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ピオーネ。
NOSAIの獣医さんが創ったのだそうだ。
巨峰を上回るヴォリューム。
堪能しました。
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ずいぶん涼しくなったけど
君にはまだ暑いのね