10日前に左後のひどい跛行がはじまった明け1歳馬。
骨盤骨折だろう、ということでX線撮影に来た。
歩けるが、跛行は顕著。
すでに左臀部の筋肉は萎縮し始めている。
立位で、後肢を少し開き気味に立たせ、左尻にDRのFPD(フラットパネル・ディテクタ)を当てて、90KVのポータブル撮影装置で撮った。
股関節臼から恥骨へと割れている。
少し斜め(垂直から角度をつけて)撮ってみたが、判別できない。
後肢を屈曲させて股関節を開いて撮影した。
股関節臼の尾側も崩れている。
骨片もある。
「あきらめた方が良いです」
すぐにTV電話して廃用の手続きをした。
股関節臼の正中よりが矢状方向へ割れて、坐骨へ抜けていた。
体表から超音波で正診するのは難しかったかもしれないが、直腸検査と直腸検査プローブでなら異常がわかったかと思う。
ただし、この馬は262kgでまだ直腸検査するには厳しい大きさだった。
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凍った放牧地で転んだのだろう。
地面が凍れば馬でも転ぶ。
砂を撒くとか、ワラを撒くとか、しかできることはないか・・・・・
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角膜炎の馬を、双眼の検眼鏡で覗き込む。
角膜の損傷、前眼房の異常、虹彩の状態を調べている。
どこかの感染によると思われる跛行の1歳馬をよく触診する。
蹄膿瘍か、屈腱指腱鞘か、球節あるいは蹄関節か・・・・
基本的な「診察」行為に含まれる、とされていて診療点数にはならない。
臨床獣医師の、普段の、不断の、最も経験の要る、最も重要な、おろそかにできないことだ。