夜、2歳馬の疝痛の依頼。
来院したら、疝痛は?枠場で立っていられる。
PCV43%、乳酸値1.3mmol/l
超音波では右で肝臓のそばに結腸動脈が見える。
結腸壁の肥厚はない。
直腸検査では、膨満した膀胱のむこうに内容の入った結腸を触る。
硬くはない。腸壁の肥厚もない。
結腸の変位があるようだが、程度はひどくない。
痛みが消えるかコントロールできるなら開腹手術しないで治る可能性がある。
入院厩舎で様子を観ることにした。
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1時間半ほどして、日付が替わって・・・・痛みが強くなった。
ずっと前掻きしていたのだが、横になって仰向けにもなるようになった。
結局、真夜中の開腹手術になった。
開腹すると、結腸骨盤曲の位置と方向がおかしい。
骨盤曲を術創から引っぱり出すが、奥の方は素直に出てこない。
右背側結腸が腹腔中央にあり、硬く大きな塊になっている。
骨盤曲切開創から腹側結腸と背側結腸の内容を少しずつ洗い出し、空にしていく。
ほとんど空にした後、盲腸と入れ替わっているのを直して、さらに右背側結腸、胃状膨大部を空にする。
右背側結腸を中心とした便秘の挙げ句に、結腸右背側変位を起こしていたのだ。
洗い出した内容は・・・あの敷料だ。
洗い出すのに時間がかかり結腸捻転の手術より長くなってしまった。
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馬はいつも食べていたい動物だ。
食べるものがなくなると敷き料でも食べてしまう。
牧草が敷き料として使われていれば問題はないが、麦ワラだと便秘の原因になりやすい。
消化の良くない植物繊維でできている敷き料も、食べてしまう馬にはよろしくない。
使わないようにするか・・・
いつも乾草が食べられるようにするか・・・
食べてもらいたくない敷き料には、敷いたときにホコリ除けもかねて尿を撒くか・・・
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JRAのトレセンは、健康な若い馬の集まりで、毎日騎乗運動し、放牧されず、完全な給餌管理をされているので疝痛は多くないのだろう。
しかし、手術が必要な疝痛の中ではこの結腸右背側変位が多いのだそうだ。
結腸右背側の便秘をすると、その結果として右背側変位になりやすいのかもしれない。
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終わって入院厩舎へ移動したのは4時近かった。
もうすっかり夜明けだよ・・・・
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リンゴの花咲くこの季節。
寒さはなく、暑くもなく、虫もまだ居ない。
馬の疝痛さえなければ、これほど良い季節はないのだけど;笑