某教授と一緒に牛の骨折内固定研修に来た大学院生のK君は左利きだった。
左利きの人は、術創へ向く位置が右利きの人とは反対側だったりするので、二人でアプローチするには便利だったりする。
術者も助手も右利きだと、ふたりとも肢の左側に立って右手を使おうとする。
すると例えば変位の整復を維持している助手の体や頭が邪魔になって術者は右手でドリリングしにくかったりするのだ。
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関節鏡手術でも、右利きだと利き手では処置できない部位がある。
そういう症例では左利きの関節鏡手術者が居ると有利かもしれない。
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ただ、K君の操作を観ているとどうも右利きの私には違和感があった。
screwをねじ込むのも、固くなるとたいへんそうに感じた。
そうか、左利きの術者も、右回しのscrew driver を使わなければならないんだ。
左手でscrewを締めようとすると、回内で力をいれることになる。
その作業は、右手での操作の左右反転にはならない。
まあ、練習してもらうしかない。
練習すれば、回内でも回外と同じように力を発揮できるようになるかもしれないし、
利き手ではない右手を、利き手の左手と同じように使えるなるかもしれない。
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右利きのわれわれも、締まったscrewを回内で左へ回す最初の一回しが回せないことがある。
右手の回内をパワーアップするか、
左手での回外を練習しておくと良いのかもしれない。
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K君は、字を書くのは右手だし、外科鋏も右手で使っていた。
左利きの人は、日常生活で両手を使うトレーニングをしているわけだ。
整形外科の操作も慣れれば不自由なくできるようになり、少数派の利点を生かすようになるだろう。
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もう散歩も無理なようだ。
食欲も不定。
笑うこともなくなった。
望むことをしてやって、苦しまないことだけを願っている。