馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

有機ELモニター

2018-04-29 | 関節鏡手術

有機ELモニターによる関節鏡手術。

すごいきれい。

コントラストが強く、細部が細かく見えるので、立体感がある。

これは借り物です;涙。

年間200症例ほど関節鏡手術はあるので、ぜひ導入したい。

何が有機なのか、ELとは何か、知らないけど;笑

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長年ブラウン管モニターで関節鏡手術してきた。

カメラセットもスコープ(光学視管)も15年以上使って来た。

器具の進歩に背を向けて昼寝をしてきたようなものだ;笑

 


ループにした糸での縫合

2018-04-27 | technique

妊娠末期の膨満した腹部を閉じるために、糸をダブルにして使いたいときや

膣内や子宮内で手探り縫合するので、最初の糸の結紮を省略したいときなどに、

糸を輪っかにして縫合する。

その縫い始めは、結紮しないでいい。

どうするか、書いておく。

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こうなってるわけでしょ。

縫い始めはこうしておけば結紮しないでいいじゃない。

糸の端は絶対にほどけちゃいけない。

私はしっかり8字結び(8 knot)している。

末端は長めに!

テグス結びする方法もあるかも。

釣りが趣味な人向けだね。

8字結びでテグス結びするともっと丈夫でほどけ難い。

ロッククライマー向けだね。

締めると・・・

こうなるのさ。

だけど、8字結びで問題ないと考えている。

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15年乗ってきた車を手放した。

家族6人をカヌーキャンプやスキーに運んでくれた。

こどもたちの引越しにも活躍した。

6年前からは、相棒のお気に入りだった。

下回りが錆びて、ついにサスペンションが折れそうになって力尽きた。

お疲れさん。

 

 


激しい1日

2018-04-25 | 急性腹症

朝5時前、疝痛の開腹手術で呼び出される。

行ってみると山のようなおなか。

「急がないと窒息死するぞ」

急いで開腹し、腸管のガスを抜いたら、腹の高さが30cmほど低くなった。

PCVも60%を超えていたそうだが、結腸の色調は回復した。

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終わった頃、難産の依頼。

昨夜から産気づいていたが生まれず、今朝は肢は出てきているが生まれそうになく、子馬はもう死んでいる、との連絡。

来院して、ちゃんと前肢から来てるじゃない・・・・と肢に産科チェーンをかけて・・・・と?

これ肛門から肢が出てる!

膣から手を入れても膣には孔は開いていない。

子宮穿孔し、腹腔内へ出た子馬の前肢が、直腸を突き破って肛門から出てきているらしい。

初産ではない。

帝王切開して子馬を取り出して、子宮損傷と直腸穿孔を縫えるかどうかやってみるしかない、が予後は厳しいだろう。

あきらめることにした。

剖検では、子宮は背中側で大きく裂け、直腸も大きく裂けているのが確認された。

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午前中は予定の子宮頚管裂の修復手術。

それと併行して、子宮穿孔を疑う繁殖雌馬の来院。

腹水は好中球だらけだが、羊水も大量に入り込んだようだし、細菌もフリーのも、貪食されているのも見える。

途中で馬が立っていられなくなり、全身麻酔して精査することにした。

しかし、子宮の背側が子宮頚管を含めて大きく裂け、とても縫えそうにない。

あきらめるしかなかった。

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昼、朝から疝痛を起こしている繁殖雌馬の来院。

超音波で肥厚した結腸壁を確認した。

血液検査でもPCV47%と脱水がある。

結腸捻転だろう。

開腹して、やはり結腸捻転だった。

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その前に1歳馬の前腕部の外傷の依頼が来ていた。

立位で縫合した。

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その前に、現役競走馬の中手骨外顆の縦骨折の依頼が来ていた。

午後4時から骨折内固定の手術。

スクリュー2本で固定した。

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その前に、子馬の大腿骨外顆の骨折の相談をされた。

連れて来てX線を撮りなおし、手術もやってみるしかないが、予後は難しい可能性大。

あきらめることになった。

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結腸捻転2頭に、子宮穿孔2頭に、骨折馬2頭に、外傷馬に、え~っとそれから・・・・・

昨夜から入院していた腸管欠損を疑う新生子馬に・・・・

きのう開腹手術した子宮穿孔馬もドレインを開放したり、腹腔洗浄したり・・・・・

激しい1日だった。

 


子宮角穿孔の開腹手術

2018-04-24 | 麻酔学

ことしは本当に子宮穿孔が多い。

記録的な積雪で、放牧地での運動が足らなかったことと関係があるのだろう。

生まれて2日目の子馬。

具合の悪いお母さんと一緒に来院したが、疲れて診療室で寝てしまった。

お母さんは腹痛というより、腹腔内と膣外への出血による貧血とふるえ。

触診で左子宮角の穿孔が確定診断された。

毛を刈って、イソジンスクラブをかけて、

水分つけてブラシで洗う。

水でびちゃびちゃにはしない。

水分は滅菌したペーパータオルで拭き取る。

ポピドンイオジンスクラブで洗ってから、クロルヘキシジンスクラブで消毒する。

10%ポピドンイオジンをスプレーして、

クロルヘキシジン・アルコールを浸み込ませた綿でぬぐいとって、

またペーパータオルで拭いて乾かす。

滅菌布をかける。

開腹手術準備のできあがり。

腹水の白血球数は59800.

フリーの細菌は見当たらなかったが、好中球に貪食されている細菌が見えた。

出血が多かったのが、この症例の特徴だった。

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コブシが咲いた。

春の野には匂いがいっぱい。

雪の下で死んで腐っているネズミの死骸に体をこすりつけて・・・・

ヤメロ!!

 

 

 


今年は子宮穿孔が多い

2018-04-20 | 繁殖学・産科学

朝、早めに出勤したら当番の獣医師が子宮穿孔の確定診断を終えたところだった。

もう一人出勤してくるのを待って開腹手術を始めた。

左子宮角の先端の穿孔だった。

これで7頭目だったか、8頭目か・・・・

今年は子宮穿孔が多い。

記録的に積雪が多かったことと関係ありそうな気もするが、わからない。

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その夜は私は第一当番。

難産の依頼で起こされた。

両前肢屈曲、頭部屈曲、後肢も産道に入って来ている、とのこと。

10時半から準備を始め、実習生2人を呼んで、さらに当番獣医師も呼ぶ。

馬が着いて、最初から全身麻酔する。

両前肢を伸ばして、頭が出てきたら、後肢が産道へ来ていないのを確認して・・・・

引張ったが、出てこないので探ったら、後肢が産道へ入ってきていて・・・

また母馬の後躯を吊り上げて、後肢をできるだけ押し戻しておいて、また引張れるだけ引張って・・・

子馬の胸まで出たところで切胎する。地元での難産介助のときから死んでいたようだ。

後肢にチェーンをかけて、下半身は尾位にして娩出させた。

その間、40分ほど。

麻酔を終了して1時間近く寝ていて、良い覚醒起立をしたが、歩かせ始めると後肢が開いてしまう。

左右の後肢をつないで、それ以上広がらないようにした。

入院させることも考えたが、よちよち歩きで帰って行った。

血と羊水と胎便であちこち汚れたのを掃除して、終わったのは午前1時半。

夜中の重労働だった。

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ようやく暖かい日が続きそうだ。

薪ストーヴの季節がそろそろ終わりなのは残念に感じる;笑