馬医者修行日記

サラブレッド生産地の大動物獣医師の日々

内固定三連チャン

2015-09-29 | 整形外科

日曜日に、当歳馬の尺骨プレート固定。

月曜日に、2歳競走馬の中手骨外顆骨折のスクリュー固定。

今日、火曜日は1歳馬の近位趾節間関節の骨関節症の関節固定術。

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この手術、私は6例目。

だいぶ慣れてはきたが、いつも症例ごとにたいへんな部分がある。

骨増勢がひどくて削らなければならなかったり、関節が開かなかったり、

肢軸を正常に戻せなかったり、

関節貫通スクリューを4本入れるスペースがなかったり・・・・

今日の馬も関節周囲の骨増勢がかなりだった。

もう関節は固まり始めていて、関節を開くのがたいへんだった。

ドリルも不具合で、時間を食った。

そろそろ整形外科用の電動ドリルを買わなければいけないかな・・・・・・

 

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7ヶ月齢の当歳馬の尺骨骨折DCP内固定

2015-09-27 | 整形外科

当歳馬が3週間前から跛行し、良くならず、撮りなおしたX線画像で尺骨骨折が確認された、とのこと。

尺骨の骨折線は1cm位上開いている。

来院してもほとんど3肢歩様。

3週間経っているので、骨増勢もしているし、結合織で固まりつつあるのだろうが、骨癒合するには骨折部が開きすぎているので、

体重を支えるために上腕三頭筋が収縮すると、骨折部が開くので痛いのだろう。

このままでは対側肢が曲がってくるかもしれない。

対側肢を体の真下において、その肢だけで体重を支えるので内反してきかねない。

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仰臥位で手術する。

尺骨骨折の内固定を仰臥位でやるのは少数派だ。

しかし、透視装置を使いやすく、術中x線撮影し易く、プレートを落とす可能性が少なく、スクリューを正しく尾→頭方向へ入れ易く、術後は患肢を上にして麻酔覚醒させ易い。

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尺骨は薄い板の様な骨だが、たいてい斜めに割れる。

骨折部を引き寄せようとするとかえって食い違って行ったりすることがある。

しかし、今日の症例は結合織で埋まりかけていて、骨折部を完全には目視できなかった。

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2-3ヶ月齢の子馬の尺骨骨折は7穴のDCPで手術することが多いのだが、

今日の子馬は7ヶ月齢ですでに体重280kgほどある。

それに、骨折線が複雑で、骨折部にスクリューが2本ほどかかってしまうので、7本のスクリューの両端2本と3本で固定するのでは心配だ。

それで、9穴ナローDCPを使って内固定した。

遠位に捨てネジをうって、テンションデヴァイスを使って牽引して骨折線を寄せた。

まだ開いているけど、かなり寄ったはず。

かなり結合織で埋まっているので、これ以上は牽引できない。

尺骨頭側のスクリューは牽引によりプレートに垂直ではなくなっている。

これがLCPと異なるDCPの弱点だ。

しかし、LCPにLHSを入れるのと違って角度に自由が利く。

それが、薄い尺骨の内固定にDCPを使う理由だ。

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ウペペサンケ山、稜線から標高400m降りた場所にあるケルン。

雪崩に削られず、よく50年以上もったものだ。

 

 

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友よ静かに瞑れ

2015-09-24 | How to 馬医者修行

帯広畜産大学山岳部はかつて厳冬期の大雪山系縦走に初めて成功した。

しかし、そのサポートパーティーが東大雪のウペペサンケで遭難し、3名の現役部員が帰らぬ人となった。

私が生まれた頃の話である。

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以来、秋にはウペペ参りと称して、ウペペサンケ山に登り、慰霊碑であるケルンにお参りしてきた。

しかし、この7-8年は現役部員も1-2名いるかいないといった状態で誰もケルンを訪れていない。

事故から50年余りが過ぎ、亡くなった3名の親御さんも亡くなり、3名を知る人も少なくなった。

今年、ウペペ参りを行い、それで最後にしよう、ケルンも自然に帰るにまかせよう、ということなのでウペペ参りに行ってきた。

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前日は糠平温泉泊まり。

50名以上が集まり、山岳部の大先輩たちや、懐かしい仲間や、初めて会う後輩達と話すことができた。

翌日は、ウペペ参り。

登ったのは20名あまり。

林道の奥、標高1000mから登り始め、急斜面を登って尾根へ。

そして尾根をつめて稜線へ。

頂上直下の1800m地点から、今度は400mほど道もない沢筋を降りる。

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おそらく視界が悪い中で誰かが雪庇を踏み破るなどして沢へ落ち、ほかの2名が助けに行ったところへ雪崩が起きたのだろうと推測されている。

遭難事故の年は、春からあちこちを探しまわり、ピッケルなどが落ちているのを発見し、その沢を捜索して遺体を見つけたそうだ。

ケルンには「最後まで闘った友へ」と書いた銅板が貼られている。

しかし、その銅板ももう半分剥がれて割れていた。

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今回、登った先輩達の最高齢は70歳近い。

よくケルンまで辿りついたものだ。

まだ現役で登山を続けておられるとのこと。

そうでないと、50代でも登るのはキツイ。

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帯広畜産大学山岳部は、それ以降も事故はあったものの遭難死亡者は出していない。

だからウペペ参りを長く続けてこられたとも言える。

ウペペ参りを続けることで気を引き締め、教訓にしてきたとも言える。

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私は山岳部で多くのことを学んだな、とあらためて思った。

とてつもない時間とエネルギーを使ったが、それは決して無駄ではなかったし、私の血となり肉となっている。

今、体育会系のクラブは入部者が少なくてどこも困っているらしい。

山岳部などというのもすっかり流行らないようだ。

しかし、それはとても残念なことだ。

 

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牛のプレート固定を普及させたい

2015-09-18 | 学会

昨夜は2歳馬の結腸捻転。

結腸はほとんど膨満していないが、捻じれかたはけっこうなもので、結腸はかなり傷んでいた。

肥厚は中程度、粘膜はアズキ色、結腸動脈周囲は出血し浮腫状。

手術が終わって、片づけして、カルテをざっと書いて、2時間ほど。

濃密な時間だ。

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今日は7歳競走馬の去勢。

午後は私は会議。

手術室では副管骨の摘出手術。

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今週は、早朝から書き物をしていた。

獣医麻酔外科学会の抄録。

シンポジウム「大動物の整形外科」で45分の話を頼まれている。

「馬の内固定」というタイトルになっているが、間違いです;笑

馬の内固定はさておき、牛のプレート固定をメインに話そうと思っている。

だけど、このタイトルでアナウンスされてしまっているので、馬のプレート固定についてもしゃべる。

12/19・20の土日です。

牛の獣医さんには麻酔外科学会はあまり感心がないかもしれないが、

「牛の局所麻酔」の講演やら、

「牛の麻酔」の講演やら、

「牛の輸液療法」の講演もある。

北海道獣医師会員は、麻酔外科学会員扱いで10,000円で事前登録できる。

牛の獣医さんも麻酔と外科のスキルアップの機会にしてはどうだろう。

私も、聞いた牛の獣医さんがプレート固定をできるようになるような内容にしたいと考えている。

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徳瞬別山から見えたのは、マッカリヌプリ(後方羊蹄山)とそのむこうにニセコアンヌプリ。

そして、しこつ湖を囲む山々。

 

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直腸検査によらない直腸破裂

2015-09-17 | 急性腹症

前日、疝痛を起こした繁殖雌馬が、ひどい疝痛ではなかったのに、翌朝には死んでいた、とのことで剖検。

直腸破裂していて、骨盤腔付近は糞だらけだった。

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直腸の破裂部位は、骨盤の前縁あたりで、ちょうど獣医師が直腸検査でよく触るあたりだった。

直腸にはかなりの大きさの孔があり、穿孔というよりは破裂、といった方が良い。

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確認してもらったところ、この馬は3週間前に直腸検査を受けたあとは誰も直腸検査していない、とのこと。

ごくまれにだが、馬の直腸は破裂してしまうことがある。直腸検査による穿孔ではなく、だ。

これは記録し記憶しておく必要がある。

たまたま直腸検査を受けていた馬だと、「直腸検査で孔をあけた」ということになってしまうからだ。

以前にも直腸検査と関係しない直腸破裂の馬を剖検したことがある。

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繁殖雌馬だと直腸検査を何度も受けている。

それで、直腸に憩室ができている馬がいる。

その部位で便秘をしたりすると、それが元で破裂することはありうるかもしれない。

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 ひょいひょい勝手に登っていく相棒。

見えないとこまで行くなよ。

山頂だけは岩山になっている。

落ちるなよ。

ホロホロ山はまだ縦走路の先。

だけど今日はやめとこう。

あ~暑かった。

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