◎宮崎民蔵の「土地の歌」
昨日の続きである。昨日、絲屋寿雄編の『宮崎民蔵 土地均享 人類の大権』(実業之日本社、一九四八)という本を紹介した。この本は、その冒頭に、「明治の土地問題―宮崎民蔵の土地復権運動を中心に―」という解説(執筆・絲屋寿雄)が置かれている。この解説は、五九ページわたる周到なものであるが、同書の眼目は、あくまでも、宮崎民蔵の原著『土地均享 人類の大権』(新進書局、一九〇六)を復刻するとともに、宮崎民蔵の手稿、日誌、書簡などの資料を公開したところにある。
本日は、それら資料のうち、「土地の歌」と題する数え歌を紹介してみたい(二〇〇~二〇二ページ)。
七、土 地 の 歌
一ツとせ
こじきもかねもちも
人にかわりのあるものか
二ツとせ
ふたゝびかへらぬ此娑婆を
泣てくらさにやなならんとは
三ツとせ
みづのみ百姓も此土地〔を〕
得ればめでたき自由民
四ツとせ
喜びいさんではたらいて
つまもこどもゝ笑顔【わらひがほ】
五ツとせ
幾千万の泣く人の
涙ぬぐへや我友【わがとも】よ
六ツとせ
無理な年貢をむさぼりて
遊んでくらす大地主【おほぢぬし】
七ツとせ
なんぞも此土地かへさねば
浮【うか】む瀬のなき小作人
八ツとせ.
八ツに此身はさかるとも
正しき道をあゆめかし
九ツとせ
こゝでふんべつしないなら
憂世はあわれや闇の中
十とせ
とをとを土地をとりかやし
此世ながらの極楽土
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