礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

河出書房「河出新書」のリスト1~90

2018-01-17 03:30:22 | コラムと名言

◎河出書房「河出新書」のリスト1~90

 本年元旦のブログで、鶴見俊輔の『大衆芸術』(一九五四年三月)という本を引用した。この本は、当時、河出書房から出ていた「河出新書」の一冊である。一九五七年(昭和三二)五月に発足した河出書房新社は、新書を出していなので、高齢者でない方の多くは、かつて、河出新書というものがあったことを、ご存じないであろう。そこで、本日は、河出新書のリストを紹介してみたい。
 以下は、『職場の歴史』〔教養176〕(一九五六年五月)の巻末にあった既刊「河出新書」の一覧である。それぞれ、番号・タイトル・編著者・定価の順になっている。

  河 出 新 書    B四〇判 一五〇頁~二〇〇頁
             定価各冊  八〇円~一二〇円

1 恋愛について 古谷綱武編100
2 青春の書簡  吉田精一編100
3 若き日の読書 瀬沼茂樹編100
4 若き日の思索 串田孫一著100
5 人生と思想  清水幾太郎著80
6 社会の見方  串田孫一著80
7 平和の探求  亀井勝一郎編100
8 若き日のために 武者小路実篤著80
9 理想的人間像 山本健吉編80
10 青春と革命  野間 宏編100
11 バレエを志す若い人たちへ オリガ・サファイヤ著100
12 音楽の鑑賞  吉田秀和編90
13 人間の生き方 福原麟太郎編90
14 新しい女性の生き方 羽仁説子著90
15 古典の智慧  田中美知太郎著90
16 芸術の教養  福田恆存編100
17 小説の鑑賞  臼井吉見編100
18 芸術への招待 矢内原伊作編100
19 十代の性 S・ロートン/J・アーチャー著100
20 結婚について 古谷綱武編90
21 言葉と心理  宮城音彌編100
22 愛と革命   野間 宏編100
23 青春の季節  野田宇太郎著100
24 暮しのことば 木下順一編100
25 舞台の誘惑  戸板康二著100
26 青春の生き方 古谷綱武著80
27 哲学思想の歩み 宮島 肇著100
28 恋愛・自然・人生 亀井勝一郎著90
29 現代詩読本  村野四郎著100
30 学生・友情・学問 中村 哲編90
31 美しい国語・正しい国字 武藤辰男編90
32 大衆芸術   鶴見俊輔著80
33 幸福の探求  河盛好蔵編90
34 若き女性への手紙 矢内原伊作著90
35 静かな日々  小堀杏奴著100
36 若き日の旅  井伏鱒二編100
37 学生と読書  瀬沼茂樹編100
38 青年と倫理  塩尻公明著90
39 逆立ちの世の中 花森安治著100
40 愛による思索 串田孫一著90
41 日本精神   モラエス著90
42 日本人の娯楽 南 博著100
43 十代の読書  熊谷 孝編100
44 随想百篇 風神帖 亀井勝一郎著100
45 現代詩の鑑賞 金子光晴著100
46 新しい性   平井 潔著90
47 愛と死の思索 亀井勝一郎編90
48 太宰治の手紙 小山 清編100
49 現代哲学読本 思想の科学研究会編100
50 女優への道  遠藤慎吾編100
51 人生の智慧  武者小路実篤著90
52 青春の歌曲集 吉田秀和/入野義郎編100
53 伊藤整氏の生活と意見 伊藤 整著120
54 文章読本   伊藤 整編100
55 国民文学と言語 竹内 好編90
56 若き日の生き方 宮本百合子著90
57 藤村名詩鑑賞 吉田精一著100
58 演劇の魅力  戸板康二著100
59 映画の見方  飯島 正編100
60 働く女性のために 古谷綱武著90  
61 文学的人生論 三島由紀夫著120
62 母の歴史   木下順二/鶴見和子編100
63 現代経済学入門(上) 中山伊智郎他著120
64 聖書入門   北森嘉蔵著80
65 外国拝見   門田 勲著100
66 軍備なき誇り 関口 泰著90
67 歴史家の散歩 高橋磌一著80
68 ことばの技術 大久保忠利著100
69 若き日の山  串田孫一著90
70 新しい感覚    宮城音彌編100
71 実存主義の文学 矢内原伊作著100
72 現代の心理    南 博著100
73 若き療養者への手紙 島村喜久治著90
74 ことばの四季 金田一春彦著100
75 生活の科学    沼畑金四郎著120
76 女性は翼をえた 菊池綾子著100
77 これが社会主義か G・H・コール著100
78 私の履歴書    大内兵衛著110
79 毛沢東  岩村三千夫著100
80 日本資本主義の研究(上) 大内・向坂/土屋・高橋著120
81 日本資本主義の研究(下) 大内・向坂/土屋・高橋著120
82 世界の合唱曲集 吉田秀和/入野義郎編100
83 女の歴史     松島栄一編120
84 現代哲学の流れ 宮島 肇100
85 感傷組曲     串田孫一著100
86 生活の中にある教養 福原麟太郎著120
87 風流奇談     渡辺紳一郎著100
88 ロマン・ロラン読本 ロマン・ロラン協会編100
89 旅の四季   戸塚文子著100
90 永遠の女性  中野好夫編120   【以下、次回】

 リストには、一八〇件の書名が挙げられていたので、以上で、ちょうど半分である。
 見たところ、若い読者を啓蒙するような本が中心のようである。今日、すでに、その使命を終えた本がある一方で、今日なお、読まれてよいような本も見受けられる。鶴見俊輔著『大衆芸術』、モラエス著『日本精神』、北森嘉蔵著『聖書入門』などは、今日なお、読むに値する本と言ってよいだろう。戸板康二著『舞台の誘惑』、村野四郎著『現代詩読本』、花森安治著『逆立ちの世の中』、金子光晴著『現代詩の鑑賞』、伊藤整著『伊藤整氏の生活と意見』、三島由紀夫著『文学的人生論』などは、著者・書名から見た限りではあるが、今日こそ、読み直されるべき本ではないのか。

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2 コメント

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Unknown ( 伴蔵)
2018-01-20 00:34:19
なんだか昔の方が、題名が素朴で単純である分、ユニークな内容が多かった気がします。

 今の本は題名だけ見てもそれがどんな内容の本なのかわからないことが多く、内容も本質的なものよりも形式的なものが多く、どの本でも大体同じようなことが書いてあるという部分に現代の出版物が売れない(他にもいろいろの原因があると思いますが、)原因の一つがあると考えられます。
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ご指摘の通り (礫川)
2018-01-20 05:47:59
最近、漫画版『君たちはどう生きるか』が売れているようです。原作は、編集者の吉野源三郎が、昭和10年(1935)に書いています。こういう、若者に向けた「直球ど真ん中」の本は、今日、ありそうで意外になく、それが注目されている理由のひとつかと思います。昔の河出新書のタイトルを見ると、こういう「直球ど真ん中」のものが多く、いま読めば、かえって新鮮というものも、あるでしょう。伴蔵さんのご指摘に感謝します。
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