礫川全次のコラムと名言

礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。

ヒロシマで『民法典との訣別』を購入した吉田さん

2024-03-23 01:17:39 | コラムと名言

◎ヒロシマで『民法典との訣別』を購入した吉田さん

 舟橋諄一の『民法典との訣別』は、惇信堂(大坪惇信堂)という福岡市の出版社から刊行されたが、印刷は東京都牛込区の大日本印刷だった。著者の舟橋諄一は、当時、九州帝大法文学部の教授であり、福岡市菰川西町に住んでいた。東京で発行された自著を確保するために、上京する教え子の手をわずらわせたことを、「私の八月十五日」(初出1976)に書きとめている。
 一方で、この本の一部が、配給ルートに乗り、読者の手に渡ったことも、ほぼ間違いない。私が架蔵している『民法典との訣別』は、表紙のあとの白ページのところに「吉田」という認印が捺されており、裏の裏表紙の前の白ページのところには、青鉛筆で「1945.5.9/Hiroshima」という書き込みがある。吉田さんという旧所有者が、その日に広島で(たぶん広島市内の書店で)、この本を買い求めたのであろう。
 吉田さんというのは、几帳面な方だったらしく、赤鉛筆と青鉛筆、そして定規を用いて、傍線を引きながら、この本を読み込んでいる。

 さて、本日は、『民法典との訣別』の「目次」を紹介し、明日は、その「序」を紹介してみたいと思う。

   目  次
第一 民法典との訣別(シュレーゲルベルゲル)‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥一
第二 『民法典との訣別』論について‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥五三
  序  説‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥五五
  シュレーゲルベルゲル教授所論の要約‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥六三 
 (一)『民法典との訣別』論の内容‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥六三
 (二)右の所論における論点の要約‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥八九  
  訣別論の客観的意義‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥九三 
 (一)序 説 ―― 民法の本来的性格‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥九三  
 (二)民法非難の各論点について‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥九七 
 (三)いはゆる革新立法の構想について‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥一〇七 
  結 び 民法典訣別の限界と民法の将来‥‥‥‥‥‥‥‥‥一一七
附録 レンホフ教授の私法変遷論 
  序  説‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥一二五 
  レンホフ教授所説の紹介‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥一二九
  同教授の所説を資料とせる私法変遷論‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥一七七 
 (一)実質関係の変動に伴なふ私法の変遷‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥一七八
 (二)私法の実質的変遷に対応する法技術の変化‥‥‥‥‥‥‥二四〇
  結 び‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥二五三

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