おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

2001年宇宙の旅 1968年 アメリカ

2017-09-05 07:24:55 | 映画
キューブリック作品を見たので「2001年宇宙の旅」を再見する。


監督:スタンリー・キューブリック
出演:ケア・デュリア ゲイリー・ロックウッド ゲイリー・ロックウッド

ストーリー
ちが月の基地で開く会議に出席するのである。
月の基地では謎の物体をめぐる議論に花がさき、博士は物体をこの目で確かめるため、数人の科学者とともに、月の1キロほど上空を飛ぶ月バスに乗って、問題の場所、テイショ火口に行った。
現地では石碑のような物体が発掘され、木星に向かって強烈な放射能を発射していた。
この事件を調査するため、科学者たちは、原子力宇宙船ディスカバリー号で木星へ向かって旅立った。
宇宙船を操縦していたプール飛行士とボウマン隊長は、コンピューターからのただならぬ注意信号を受信し、やがて宇宙船のあちこちでトラブルが起こり始める。
すべての原因はコンピューターが人間を支配しはじめたことによるものだった。

寸評
僕が見た映画の中で最も面白かった映画の一つで、長く語り継がれるSF映画だと思う。
自宅にスピーカーシステムを導入して、ホームシアターもどきにしたのも、全てはこの映画をレーザーディスクで見たいためだった。
15,000円もしたLDを買って気が向いたときに見ているのだが、どうもLDが世の中からなくなってしまいそうな雰囲気だ。

猿たちがたむろしているが、どうやらグループが出来ていて縄張りがありそう。
お互いに威嚇し合うが、最初は叫び声をあげたりして牽制しあっているだけだ。
やがて一方が動物の死骸が風化した中から骨を握り、それで相手を殴り殺す。
歓喜の叫び声を上げるが、人類の祖先が道具を手にした瞬間だ。
人類の祖先らしき猿人が骨を投げ上げたかと思うと、そこはもう未来の世界だ。
クルクルと回転する骨が宇宙船に変化していく。
宇宙船の中も、未来はこうなのかなと思わせるように紹介されていく。
セリフは極端に少なく、初めての言葉は上映開始から30分程経ってからだと思う。
その間、音楽と映像が観客を圧倒し続ける。
今ではありふれたものとなってしまったCGによる宇宙ものだが、そのスケールを凌駕するものは出てきていない。
戦闘シーンの迫力や、宇宙船の精巧な動きとかは技術の進歩でどんどん増しているのだが、描かれた内容の高貴さのようなものは未だに随一の作品だと思う。
音楽と映像とストーリー展開、まさに映画は総合芸術だと教えてくれる作品だ。
この一作だけでキューブリックは神と称されても良い監督になったと思う。

謎の石版"モノリス"は3度登場する。
最初は猿たちがたむろしている場所に、猿たちが目覚めると忽然と姿を現している。
2度目が月面で発見され、議論の対象になっている。
3度目は木星へ向かっていく途中の宇宙空間を浮遊している。
人へと進化する過程で最初に現れ、地球以外の天体に到着した時に現れ、そして地球圏から飛び出した時に現れているので、人類の大きな転機に出現していることになるが、それがどういう意味を持っているのかは謎だ。
これは何なんだという哲学的なシーンの一つで、その物体の不明感が想像を掻き立て議論を呼び起こす。
もちろんラストシーンも議論を掻き立てるに十分だ。
「映画は他人と語るために見る」などという定義にはピッタリの映画である。
で、ラストシーンだが、あれは時間を逆行していって、人類の誕生を神が祝福して迎えているのだと、僕は勝手に解釈している。

僕がハワイに行ったとき、オアフからマウイに飛んでハレアカラ火山を散策したのだが、それはハレアカラがこの作品のロケ地だったので訪れてみたかったからだ。
同行の者は雄大な異次元の景色に見とれていたが、ひとり僕だけは「2001年宇宙の旅」に思いを馳せていた。