おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

GONIN2

2024-05-14 06:42:20 | 映画
「GONIN」はバックナンバーから2019-06-04をご覧ください。

「GONIN2」 1996年 日本


監督 石井隆
出演 緒形拳 大竹しのぶ 喜多嶋舞 夏川結衣
   西山由海 余貴美子 永島敏行 鶴見辰吾
   松岡修介 左とん平 多岐川裕美 片岡礼子

ストーリー
暴力団野崎組から激しい借金の取り立てを受けていた外山正道(緒形拳)は、野崎組傘下の中嶋組のチンピラたちに輪姦され自殺した妻・陽子(多岐川裕美)の復讐のために組を襲撃、現金500万を奪って、陽子の誕生日に498万の猫目石をプレゼントするという約束を果たそうと宝石店に向かった。
そのころ、宝石店には中嶋組の梶(松岡俊介)と直子(片岡礼子)ら強盗団が押し入っており、それぞれに個人的な問題を抱える5人の女たちがたまたま居合わせていた。
フィットネスクラブを経営する蘭(余貴美子)は金に困り、ポケットにスタンガンを忍ばせてこの店を訪れた。
蘭がスタンガンを買うところを偶然目撃した早紀(夏川結衣)は、彼女の後をつけてきていた。
夫の浮気現場を目撃した志保(西山由海)は、抜けなくなった結婚指輪を外してもらうために宝石店を訪れる。
宝石店の店員ちひろ(喜多嶋舞)は実は梶の恋人で、裏で強盗団への手引きをしていた。
セーラー服姿の売春婦サユリ(大竹しのぶ)は17歳という嘘が通用しなくなり、フラリと宝石店に入ってきた。
蘭はスタンガンを使って強盗団から銃と宝石を奪い、早紀とサユリと志保もこれに加わる。
蘭たちはちひろを楯にして店を出ると、なぜかそのままついてくるちひろとともに横浜のディスコ跡に逃げ込むが、ちひろの密告を受けた梶と直子がこれを襲った。
梶は宝石を持ち逃げしようとしたサユリを撃ち殺すと、ちひろを見捨てて直子と逃げようとする。
しかし、猫目石が持ち去られたことを知った正道が強盗団を追ってその場に現れ、梶たちに斬りかかった。
正道は宝石を手にすると、何処へともなく姿を消す。
ちひろはこっそりディスコへ戻るが、そこで野崎組の放った刺客・代市(鶴見辰吾)に監禁される。
さらに蘭と早紀も捕らえられるが、猫目石を発見できなかった正道が再び現れ、組員たちを惨殺した…。


寸評
「GONIN」の続編と思いきや、全く別の話で継承しているのは5人という人数と撮影場所と小道具だけで、それも脚本の稚拙さのためか単なる人数合わせになってしまっている。
今回は女5人というのが新鮮なところ。
とは言え、途中では女6人の様な展開で戸惑ってしまう。
これはバイオレンス・アクションなのだと言ってしまえばそれまでなのだが、全体の印象としては描くべきところを描いていないので、今一歩作品にのめり込むことができなかった。

前作同様、鉄工所を経営している戸山がヤクザからの借金で取り立てに追いまくられている。
なけなしの金で妻に誕生日祝いのイヤリングをプレゼントする導入部は良かったと思うのだが、その妻がヤクザにレイプされるシーンから粗さが目立つ。
あれは強姦未遂だったのかというような描き方で拍子抜けする。
未遂だったら妻の陽子は自殺などしないだろうから、やはり陽子はレイプされたのだと思う。
演じているのが多岐川裕美だったためか、ひどい犯され方をされていないので実行犯に憎しみが湧かない。
二人が落としたイヤリングを必死で探す場面は共感を持てたが、その後の戸山の復讐心を掻き立てる悔しさを描くには消化不良だ。

女たちはそれぞれ問題を抱えているが、そのキャラクターは中途半端な描き方でよくわからない。
女たちは宝石店で偶然出会うという設定だが、大竹しのぶのサユリはどうして宝石店に入ってくる必要が有ったのか不明で、彼女が死んでも一人減ったという感覚しか湧かなかった。
もう少し彼女に心情移入できても良かったと思う。
夏川結衣の早紀は以前にレイプされたことがあり、そのトラウマに苦しんでいるようなのだが蘭がスタンガンを買ったのを目撃しただけで尾行していってしまう行動もよくわからない。
男性観客にとっては、宝石店の店員ちひろ役の喜多嶋舞がゴムチューブで縛られている全裸姿がサービスシーンとなっていたのだが、このキャラクターもあっち行ったり、こっち行ったりでイマイチ魅力に欠ける。

ラスト近くで余貴美子の蘭が「男が変わるたびに趣味の変わる女がいる。 やりたくもないゴルフだったりハンティングだったり。強くなりたかったの。自分であり続ける女。 こんな話どうでもいいか。」とつぶやくのだが、自分自身であり続けることがこの映画のテーマだったのだろうか?
だとすると、主婦の志保が仲間(?)から抜け出し、平凡な主婦に戻って浮気した夫のための手料理を作る姿が一瞬挿入されるが、こういう変節する女が一番強いのだと言いたかったのかもしれないなあ。

バイオレンス・アクションといってもしょせんは女なので、すごいアクションシーンがあるわけではない。
そこにいくと緒形拳は流石の雰囲気で、ヤクザの親分が拳銃を取り出して振り向きざまに撃とうとしたら、いつの間にか後ろに移動していてなどというシーンでは鶴見辰吾の代市以上に殺し屋的だった。
どうしても前作と比較してしまうが、映画としては断然前作の方がいいと思う。



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