おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

バルジ大作戦

2021-09-18 08:12:47 | 映画
「バルジ大作戦」 1965年


監督 ケン・アナキン
出演 ヘンリー・フォンダ
   ロバート・ショウ
   ロバート・ライアン
   チャールズ・ブロンソン
   テリー・サヴァラス
   ダナ・アンドリュース

ストーリー
1944年、第2次大戦のヨーロッパ戦線。
破竹の進撃を続ける連合軍の間では、ナチの崩壊も時間の問題だという楽観ムードになっていたが、陸軍中佐カイリー(ヘンリー・フォンダ)だけは、独軍が必ずもう1度、反撃に出てくるだろうという危惧を抱いていた。
プリチャード大佐(ダナ・アンドリュース)によって一笑に附されたし、グレー将軍(ロバート・ライアン)らにも疑問をもって迎えられただけだった。
その頃ドイツでは、ヘスラー大佐(ロバート・ショウ)らが、大奇襲作戦の準備にかかっていた。
カイリーはあるのんびりした兵営地に行ったが、そのとき独軍の戦車隊の攻撃が始まった。
同じ頃、米軍MPに変装した独兵のパラシュート降下は濃霧をついて敢行されていた。
彼らの任務は戦車が渡り終えるまで、河にかかった橋の、米側による爆破を何とか阻止することだ。
到着した米軍爆破隊を彼らは容赦なく射殺し、道標切り換え作業までやった。
事態のただならぬことを逸早く気づいたのはカイリーだったが、猛進撃の前に撤退を余儀なくされた。
カイリーは、その後決死の低空飛行で偵察を行ったが、敵砲の攻撃をうけ重傷を負った。
ガソリンこそ敵を制する鍵と考えたグレー将軍は、その消耗を目的に戦車同士の鬼ゴッコ作戦をとりそれに成功し、敵は燃料補給のため引き返した。
戦列からはぐれた兵士たちを拾い集めてウェーバー中尉(ジェームズ・マッカーサー)が本隊へ帰って来た。
戦車隊のガフィー軍曹(テリー・サヴァラス)と合流、補給所へ急いだ。
そこは、独軍変装のMPに守られていたがそれを見破り、偽MPの制裁に成功した。
それを知らない独軍戦車が近づいて来た。
カイリーの命令で、ウェーバーはガソリンに火をつけるよう部下に命じた。
あふれるガソリンに手榴弾を投げ込み、独軍の最後の猛反撃は無惨に破局を迎えたのだった。
連合軍の勝利はこのとき決まった。


寸評
ドイツのティーガーII戦車及びアメリカのM4中戦車が実物と違うとか、雪の中の戦いであったはずが撮影地がスペインだったため、後半は砂漠の様な地形になってしまっているなど実際の戦史とはかけ離れているなどという指摘を追いやってしまう娯楽作だ。
特に米軍と独軍の戦車戦は登場する戦車の数も多くて迫力がある。
グラフィック処理ではなく、実物と火薬をふんだんに使って視覚的効果を高めるという懐かしい作風だ。

連合国はノルマンディの上陸作戦を成功させ、パリを開放しモンゴメリ将軍、パットン将軍の部隊がそれぞれの方面から進撃を開始しており、ヨーロッパ戦線の勝利も間近である。
そんな中で偵察要員である警察上がりのカイリー中佐だけがドイツ軍の反撃を予想している。
誰もが懐疑的だが特に反撃を信じないプリチャード大佐とは犬猿の仲となっている。
連合国側ではカイリー中佐のヘンリー・フォンダだけが孤軍奮闘している。
対照的なのがロバート・ショウのドイツ軍大佐ヘスラ―だ。
彼は経験不測の戦車隊長達を指揮して連合軍を蹴散らしていく。
アメリカに在住経験のある英語が達者な連中を集めたパラシュート部隊が、米軍のMPになりすまして後方かく乱をやるが手際も見事で次々と要所を確保し、連合軍のやることを予見して、ことごとくつぶしていく。
まるでドイツ軍賛歌映画の様な気がしてくる快進撃である。

バルジの戦いは史実だが、ヘスラ―大佐が英雄にならないよう彼を戦争の亡者に仕立て上げている。
彼の部隊は死亡率が極めて高い。
犠牲など顧みず任務だけを全うしていく戦争オタクなのだ。
これを際立たせるのが従卒のコンラート伍長(ハンス・クリスチャン・ブレヒ)だ。
彼はヘスラ―に長年付き添っている親父の様な老兵であるが、最後には彼を非難し見限り離れていく。
捕虜の虐殺事件も描かれるが、ここではドイツ軍の意図したものであるかのような描き方がされている。
事実は意図されていたものか、偶然に起きてしまった事件なのかは不明の様で、どうやら偶然が重なって起きた事件の様に思われる。
映画は脇役たちを活躍させてドイツ軍の進撃をストップさせる。
経験不測の中尉は自分を守る年上の下級兵士の死で成長し、落伍兵を収容し指揮を執れるようになる。
恋人を亡くした軍曹はポンコツ戦車に乗って前述の中尉達と燃料基地を死守し、ヘスラ―大尉をやっつける。
ドイツ軍は戦車の燃料が不足していて、それで退却を余儀なくされたと言うのが事実だとすれば戦争のあやとして皮肉である。
アメリカにはクリスマスケーキを輸送してくるくらい燃料が余っているのに、ドイツは敵の燃料を頂かなければ戦えない状況に追い込まれていたのだ。
戦車を捨てて徒歩で退却するドイツ軍を描いて映画は終わるが、およそ反戦映画と呼ぶことはできない、あるいは戦争はよくないというアジテーションを感じない、大戦争アクション映画であった。
戦車戦を描いた作品としては一番面白い映画かも知れない。
単純に面白いだけではあるけれど…。


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