おじさんの映画三昧

旧作を含めほぼ毎日映画を見ております。
それらの映画評(ほとんど感想文ですが)を掲載していきます。

シンシナティ・キッド

2022-09-17 08:41:34 | 映画
「シンシナティ・キッド」 1965年 アメリカ


監督 ノーマン・ジュイソン
出演 スティーヴ・マックィーン アン=マーグレット
   カール・マルデン エドワード・G・ロビンソン
   チューズデイ・ウェルド ジョーン・ブロンデル
   ジェフ・コーリイ リップ・トーン

ストーリー
シンシナティ・キッドは渡り者の賭博師。
ニューオーリンズの町の小さな賭け金稼ぎに嫌気がさしたころ、ポーカーの名人ランシーがやって来た。
キッドはいつか、ランシーと手合わせを、と考えていたので、長老格シューターにその機会を頼んだ。
シューターは血気の勝負師だった時代があり、キッドの自信過剰をたしなめたが結局、2人は対戦した。
キッドにはクリスチャンという情婦がいた。
彼女はキッドを深く愛しているが、もっと安定した生活、家庭、そして子供たちを欲していた。
キッドの方は、彼女を愛してはいたが、シューターの妻メルバに求められ、その魅力にとりつかれるような、曖昧さも持っていた。
大手合わせは全国から人を集めて大きな興奮のうちにスタートした。
1人ずつ脱落していき、最後に残ったランシーとキッドの決戦我始まった。
キッドは敗れ、完全に孤独だったが、クリスチャンだけが彼を暖かく迎えた。
彼女は彼が勝ったのか負けたのかも知らなかった。
賭博師の女の、暗黙のルールで、カードのことに関しては一切係らないのだ。
彼が文なしだとわかると、彼女は持ち金のすべてを彼に渡した。


寸評
スティーブ・マックイーンはカッコいい俳優である。
僕が子供の頃に楽しみにして見ていたテレビ映画に彼が主演する「拳銃無宿」があり、その頃からスティーブ・マックイーンはカッコいいと思っていた。
決定付けたのは「大脱走」だったが、彼の演じる役はどれもがカッコいい男である。
この映画におけるスティーブ・マックイーンもカッコいい男である。
イカサマに頼らず真剣勝負で相手に勝とうとする男で、シューターがイカサマで良い手を配った時にはそれを察知して勝負を降りている。
ポーカー勝負を描いたギャンブラー映画で、ビリヤードを描いた「ハスラー」などと似た作品なのだが、出来栄えは「ハスラー」に及ばないものの、スティーブ・マックイーンの魅力が出ているし、ポーカーの勝負も上手く描けていて十分堪能できる内容となっている。

物足りなく思えるのは登場する女性の描き方が淡白なことだ。
キッドにはクリスチャンという恋人がいるが、演じているチューズデイ・ウェルドの影が薄い。
彼女は何をしている女性なのか、キッドがギャンブラーであることを両親に話していたのか、両親は彼を気に入っていなかったのか、キッドのどこに惚れこんでいるのかなどがよくわからない。
アン=マーグレットのメルバもよく分からない女性で、セクシームードを振りまいているが、夫との関係は冷えているようでもあり、かと言って別れる風でもなくという存在である。
シューターは彼女に相当金をつぎ込んでいるようだが、惚れた弱みなのか強く意見することができない。
またメルバは悪女としての過去があるようなのだが、過去に何があったのかは不明で、彼女の悪女ぶりは雰囲気だけのものとなっている。
土地の資産家ウィリアム・スレイドの妻も少しだけ登場するが、彼女はスレイドのしもべのような存在である。
スレイドは妻に対して命令調だが、妻は夫に対してご機嫌を取っているように見える。
資産家の妻でありたいための行動なのかもしれない。
その事を強調すれば資産家としての思い上がりを持つスレイドの傲慢さがもっと出ただろう。
レディ・フィンガーズの   ジョーン・ブロンデル は面白い存在だが、雰囲気作りにとどまっている。

男たちの登場シーンは上手く描けていると思う。
キッドの登場シーンでは少年が登場し、最後にも活かされている。
ランシーの登場シーンは彼の人となりを示していて、サルにチップをやる場面は面白い。
シューターやスレイドが登場するシーンもそれぞれの人物像が描けていて、主な登場人物である男たちは上手く描けているのでこれは男たちの物語なのだと思う。
したがってラストシーンはちょっと甘い気がする。
ザ・マンと称されるランシー・ハワードは発作持ちのようだが、それはほんの少し描かれるだけで、ストーリー上大きな意味を持っていない。
肝心なところで発作起きるのかと思っていたが、そのシーンは用意されていなかった。
何のためにあのシーンを入れたのかなあと思ってしまう。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿