末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

旧古河庭園 (3)

2006-06-02 21:05:37 | 日々のはなし


石造りの洋館


  外壁に使われている石の落ち着いた色合いと、
  切り妻屋根の姿が美しいこの洋館は、
  英国貴族の邸宅にならった、古典様式の造りだそうです。
  ところで、旧古河庭園の特徴と言えば、
  “ 洋 ” と “ 和 ” の調和した庭の趣きですが、
  実は洋館も同様で、この外観からはまったく想像できないものの、
  扉を開けると、そこには巧みに配された < 和の空間 > が広がっています。


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旧古河邸本館 【 2階間取図 】


 ◇ 階段 ◇
   古い建物にも関わらず、階段の勾配が緩やかで、
   ステップの前後の幅も広めで歩きやすいのは、
   和装でも洋装 ( ロングドレス ) でも、裾捌きの大変な女性が
   昇り降りしやすいように、配慮されてのことだそうです。


 ◇ 2階ホール ◇
   1階同様、いかにも洋館らしいホールで、
   確か、天窓もあった気がします ( 既に記憶があやふや ・・ 汗 ) 。
   ぐるりは漆喰塗りの白い壁と、各々の部屋に続く洋風の扉で囲まれており、
   この先に < 和室 > があるとは、微塵も感じさせない造りになっています。


 ◇ 仏間 ◇
   扉を開けると、まず、板敷きのスペースがありますが、
   ホールからいきなり、目の前に畳が現れたら違和感を覚えるだろうと、
   視覚的に、ワンクッション置いているのだそうです。
   これは、邸内のすべての和室 ( 但し1室を除く ) に共通した配慮とのこと。
   当時、仏間として使われていたこの部屋の壁のデザインは、
   四方を黒い枠で縁取ってあり、襖のように見える造りとなっていますが、
   これにより、空間に奥行きを感じさせる効果があるようです。


 ◇ 客間 ( 洋室 ) ◇
   この洋間自体は、特に何の変哲もない普通の造りですが、
   部屋の北東にある扉をくぐると、
   ホールからは見えないようになっている板敷きの廊下と、
   和室の客間に出ることができます。



 <写真手前より>

 2階部分
 
 客間
 ( 和室二間 )
 ↓
 居間
 ( 和室二間 )


 ◇ 客間 ( 二間つづきの和室 ) ◇
   手前 ( 北側 ) が十二畳で、奥 ( 南側 ) が十五畳だそうです。
   床の間は、最も格式の高い 「 真 」 の造りで、
   角柱と書院造りの本床による、きっちりとした厳格な雰囲気のなかにも、
   すべての木材を丁寧に面取りすることで、程よい柔らかさを有しているとのこと。
   天井は格子状で、杉板の木目が縦・横と互い違いになるような市松模様の配置。
   また、2つの和室の間には 「 筬欄間 」 があります。
   ところで、十二畳の部屋の北側と、十五畳の部屋の東側には、
   それぞれ、板敷きのスペースと窓がありますが、
   ここの窓枠を、外壁と内壁とで少しずつ左右にずらして造ることにより、
   遠近法のトリックが生まれ、板敷きの部分がこの先にも続いていく、
   “ 長い廊下 ” のように見えます。


 ◇ 居間 ( 二間つづきの和室 ) ◇
   ここより先、本館2階の南側の部分は、
   家族のプライベート・スペースとして使われたそうです。
   2つの部屋を仕切る欄間は、当時、この土地からよく見えたという、
   “ 富士山 ” をモチーフとしたデザインになっています。
   この居間の特徴は、茶室でもないのに、南側の和室に 「 炉 」 がある点で、
   洋室の暖炉からヒントを得て、部屋の暖をとる目的で造られたそうです。
   ( ちなみに、畳の敷かれた向きや、炉の位置はうろ覚えなので、
    間取図での描き方もかなり怪しいです。 ごめんなさい ・・ 大汗 )




 <写真右奥より>

 2階部分
 
 居間
 ( 和室二間 )
 ↓
 居間
 ( 和室・子供部屋含 )
 ↓
 主寝室
 ( 洋室 )


 ◇ 居間 ( 和室×2部屋 ) ◇
   露台に面して作られている、2つの和室ですが、
   東側の部屋は、子供部屋として使用されていたそうです。
   そう言えば、屋内から露台へ出るための扉が
   見あたらなかったように思うのですが ・・ たんに、見落としただけ?
   この解説付きの見学会は、約1時間ほどかかるので、
   この辺りは、丁度、集中力が途切れかかってきたところなのでした (>_<)


 ◇ 主寝室 ( 洋室 ) と手水の間 ( 和室 ) ◇
   虎之助夫妻の寝室だった部屋で、
   マントルピースには、二人の写真が飾られていました。
   ( 奥さんは、西郷隆盛の姪にあたる人だそうです )
   主寝室の北側には、身支度を整えるための小部屋が続いていますが、
   邸内で唯一、扉を明けてすぐの位置から畳が敷かれている和室になります。
   当初は、この小部屋 ( 手水の間 ) の造りも洋室だったそうですが、
   和装で過ごすことが多かったため、着替えをしやすいよう、
   後から畳を敷き詰めたことで、こうなってしまったのだとか。
   クローゼットの中には、和箪笥をまるまる収納していたそうです。


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  この後、トイレと浴室を見て、見学会は終了しました。
  現在公開されていない、本館の屋根裏部屋と別館は、
  当時、使用人の人たちが使っていたそうです。
  ( 古河家の家族3名に対して、常時、50名の使用人がいたとのこと )

  それにしても、贅沢な建物でした。
  たんに “ 豪華 ” ・・ というだけでなく、
  遠近法とか、いろいろな視覚効果を取り入れた造りになっているところが、
  非常に面白いですよね。 J・コンドルの最晩年の設計になるのだそうです。

  なお、館内は撮影禁止です。
  記事中に記憶違いの誤り等があった場合は、ご容赦ください。




見学終了、お疲れ様でした。




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