末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

旧作覚書き:アキ・カウリスマキ「敗者三部作」

2014-07-31 22:18:25 | 映画のはなし
今月、DVDにて鑑賞した旧作映画の覚書きです。
初めて見るカウリスマキ監督作品、"敗者三部作" をチョイスしました。

*~*~*~*~*~*~*~*~*

★浮き雲
 ( 原題 : Kauas pilvet karkaavat
   揃って失業してしまった中年の夫婦が、
   起死回生を図るべく、いろいろと行動するも、
   やること、なすこと、すべてが裏目に出る有り様で。。
   それでも、画面から目を逸らしたくなるような、
   陰鬱な気分にならないのが、スゴく不思議。
   むしろ、この後、どうするんだろうと、
   静かに見続けたくなる引力がありました。
   希望の光が見えてきたラストシーン。
   夫婦が飼い犬を抱っこして空を見上げる姿に、和みます。


過去のない男
 ( 原題 : Mies vailla menneisyytta
   カウリスマキ監督作を見てみたい、と思うきっかけになった作品で、
   主人公は、暴漢に襲われて記憶を失ってしまった男。
   瀕死の重症を負いながらも、奇跡的に回復した彼は、
   ヘルシンキの町外れで、人々の素朴な親切に触れながら、人生を再生していきます。
   作中、主人公自身が記憶を取り戻すことはありませんが、
   身元が判明して見えてきた彼の過去は、結構な問題を抱えた人物で。
   (でも、わんこが懐いていたから、根っからの悪人ではないハズ)
   巡り合わせ次第で、生き方の仕切り直しは可能なんだなと思いました。
     "人生は前にしか進まない"。
   生きる気力を取り戻した男が、今度は、町の人たちへのカンフル剤となり、
   画面に映る人々の姿が活気溢れていく様子に、シアワセな気持ちになりました。

    【覚書き】
     ストーリー終盤に、男が日本酒とお寿司を食べる場面がありますが、
     そこで流れるサントラが、日本語の曲でびっくり!
     クレイジーケンバンドの「ハワイの夜」という曲だそうです。
     また、同バンドのギタリスト小野瀬さんの「Motto Wasabi」という曲も、
     男がコンテナを掃除するシーンで使われているそうです。


★街のあかり
 ( 原題 : Laitakaupungin valot
   "敗者三部作" の最終章は、他の二作品よりも、
   さらに、不運に見舞われます。 淡々と、けれど、次々に。
   でも、今回は本人の選択の結果かなぁ。
   卑屈な意味ではなく、もっと身の丈にあった生き方、
   地に足のついた道を選んでいれば、また違った展開になったのでは?
   と思える場面が、ちょこちょこ見られた気がします。
   ぼろぼろに成り果てた最後のシーンで、そうした選択がようやく成されたところを見ると、
   この作品も、希望を持った終わり方なのだと言えるかもしれません。



最新の画像もっと見る