2020年5月は、第二次世界大戦下の緒戦で展開された、
ダンケルク撤退戦(1940年5月26日-6月4日)から80年にあたります。
ということで、手持ちの映画ソフトから同撤退戦を描いた作品4本を、
今月の休日に順番に見ましたので、その覚書き。
§ edit. 記事タイトルを変更しました。(2020.7.31.)
*~*~*~*~*~*~*~*~*
【1】つぐない( 原題:Atonement )
2008年5月に映画館で見て以来 なので、12年振りの再鑑賞です。
初見時に非常に衝撃を受け、原作を読んで補完し、DVDも発売されて即購入はしたものの、
一旦ストーリーを知ってしまうと、ツラすぎてDVDで見返すことも、
原作を再読することも、結局これまで出来ず仕舞いでした。
思えば、'ダンケルク撤退戦' のことを初めて知ったのは、この作品に触れてからです。
字幕で 'ブレー砂丘' と表記された場所は、'ブレ=デューン' を指していたのですね。
本作の Wikipedia で Historical discrepancies を見ると、史実とは時期が違う描写も結構ありました。
原作も久し振りに読み返したいような、映画以上に精神的なしんどさが強かった印象があるため、
なかなか踏み切れないような、今、微妙に揺れている状況。。
【2】激戦ダンケルク( 原題:Dunkirk ※1958年※ )
今回が初見です。【3】ダンケルク(1964年/フランス・イタリア)のリマスター版ソフト発売で、
本作とセット(各作品に特典ブックレット付)な パッケージ商品 が出ていたので、買ってみました。
イギリス海外派遣軍で橋梁爆破の任務を負っていたタビー兵長たち陸軍分隊の撤退と、イギリスで日常
を送っていた人たちがやがて大規模な撤退戦に参加する様との、二つのパートから描かれていきます。
特に見入ったのは前者のパートで、【1】つぐない のロビーや、【4】ダンケルク のトミーたちにも、
ダンケルクの海岸へたどり着くまでに起きたであろうこととして、思いを巡らせつつ鑑賞しました。
ちなみに、この作品に登場するRAFの人は、軍用トラックに乗ってタビー兵長たちを助けてくれます。
(そのRAFの人も、イギリスへの帰還はタビー兵長たちと共に、海路からでした)
お馴染みの「降伏せよ」の伝単は、モノクロ映画のためか、本作のデザインは物凄く地味に見えますが、
地図&文章の組合せなので、文章だけの【3】や、地図だけの【4】に較べ、実は一番凝っているのです(笑)
救出を待つあいだの浜辺の雰囲気は、【3】と似ていますね。両作品とも、第二次世界大戦の終結から
二十年も経たずに制作されているので、これが実際の様子に近いのかな ・・ と考えています。
しかし、ラストが練兵場での訓練シーンで締め括られるのは、やはり、皮肉でしょうね。
来たるべき戦地への再派兵に向けた、上官のしごきの言葉に顔を見合わせるタビー兵長たち。
命懸けで前線から引き揚げてきた彼らですが、この先、まだ五年も戦争が続く世界を生きねばならず、
その空虚さが内包された終わり方だと感じました。
派手なドラマ的要素が盛り込まれることも無く、ニュースのアーカイブ映像を時折り挿し込みながら
淡々と展開していく作りなところが、なかなか私好みな作品でした。
【3】ダンケルク(1964年/フランス・イタリア)( 原題:Week-end à Zuydcoote )
2018年2月に映画館で見た時の感想は、こちら とか こちら に。
二度目の鑑賞となった今回も、相変わらずヒロインの存在意義がよく解らず、
一方で、撤退してきた兵士たちが浜辺で過ごす状況は、妙に生々しくリアルさを強く感じるため、
この作品も、この機会に再見して良かったなと思います。
(特典のブックレットに載っている原作者ロベール・メルルの言葉によれば、
本作で見られる交戦状態は史実よりも '続きすぎている' とのこと。
当時、原作者自身が徴兵され、英軍の通訳として現場で撤退戦を経験しているそうです)
ところで、初見時からとても気になっていた印象的な建物の病院は、こちら で合っているでしょうか。。
【4】ダンケルク( 原題:Dunkirk ※2017年※ )
最後はもちろん、クリストファー・ノーラン監督によるこの作品 。
もう何度も見て、ブログの本館・別館ともに記事をいくつも書いているので、
作品自体の感想は割愛しますが、一点だけ。
今回初鑑賞だった【2】には、俳優時代のリチャード・アッテンボロー監督が出演していますが、
お孫さん( ウィル・アッテンボロー )も俳優で本作に出ていることを、【2】のブックレットで知りました。
IMDbによれば、役名は 'Second Lieutenant' 。担架で怪我人を運びつつ病院船に乗り込んだ
トミーとギブソンに向かって、「お前たち 降りるんだ」「降りろ!」と桟橋から命じた海軍の人です。
ダンケルク撤退戦(1940年5月26日-6月4日)から80年にあたります。
ということで、手持ちの映画ソフトから同撤退戦を描いた作品4本を、
今月の休日に順番に見ましたので、その覚書き。
§ edit. 記事タイトルを変更しました。(2020.7.31.)
*~*~*~*~*~*~*~*~*
【1】つぐない( 原題:Atonement )
2008年5月に映画館で見て以来 なので、12年振りの再鑑賞です。
初見時に非常に衝撃を受け、原作を読んで補完し、DVDも発売されて即購入はしたものの、
一旦ストーリーを知ってしまうと、ツラすぎてDVDで見返すことも、
原作を再読することも、結局これまで出来ず仕舞いでした。
思えば、'ダンケルク撤退戦' のことを初めて知ったのは、この作品に触れてからです。
字幕で 'ブレー砂丘' と表記された場所は、'ブレ=デューン' を指していたのですね。
本作の Wikipedia で Historical discrepancies を見ると、史実とは時期が違う描写も結構ありました。
原作も久し振りに読み返したいような、映画以上に精神的なしんどさが強かった印象があるため、
なかなか踏み切れないような、今、微妙に揺れている状況。。
【2】激戦ダンケルク( 原題:Dunkirk ※1958年※ )
今回が初見です。【3】ダンケルク(1964年/フランス・イタリア)のリマスター版ソフト発売で、
本作とセット(各作品に特典ブックレット付)な パッケージ商品 が出ていたので、買ってみました。
イギリス海外派遣軍で橋梁爆破の任務を負っていたタビー兵長たち陸軍分隊の撤退と、イギリスで日常
を送っていた人たちがやがて大規模な撤退戦に参加する様との、二つのパートから描かれていきます。
特に見入ったのは前者のパートで、【1】つぐない のロビーや、【4】ダンケルク のトミーたちにも、
ダンケルクの海岸へたどり着くまでに起きたであろうこととして、思いを巡らせつつ鑑賞しました。
ちなみに、この作品に登場するRAFの人は、軍用トラックに乗ってタビー兵長たちを助けてくれます。
(そのRAFの人も、イギリスへの帰還はタビー兵長たちと共に、海路からでした)
お馴染みの「降伏せよ」の伝単は、モノクロ映画のためか、本作のデザインは物凄く地味に見えますが、
地図&文章の組合せなので、文章だけの【3】や、地図だけの【4】に較べ、実は一番凝っているのです(笑)
救出を待つあいだの浜辺の雰囲気は、【3】と似ていますね。両作品とも、第二次世界大戦の終結から
二十年も経たずに制作されているので、これが実際の様子に近いのかな ・・ と考えています。
しかし、ラストが練兵場での訓練シーンで締め括られるのは、やはり、皮肉でしょうね。
来たるべき戦地への再派兵に向けた、上官のしごきの言葉に顔を見合わせるタビー兵長たち。
命懸けで前線から引き揚げてきた彼らですが、この先、まだ五年も戦争が続く世界を生きねばならず、
その空虚さが内包された終わり方だと感じました。
派手なドラマ的要素が盛り込まれることも無く、ニュースのアーカイブ映像を時折り挿し込みながら
淡々と展開していく作りなところが、なかなか私好みな作品でした。
【3】ダンケルク(1964年/フランス・イタリア)( 原題:Week-end à Zuydcoote )
2018年2月に映画館で見た時の感想は、こちら とか こちら に。
二度目の鑑賞となった今回も、相変わらずヒロインの存在意義がよく解らず、
一方で、撤退してきた兵士たちが浜辺で過ごす状況は、妙に生々しくリアルさを強く感じるため、
この作品も、この機会に再見して良かったなと思います。
(特典のブックレットに載っている原作者ロベール・メルルの言葉によれば、
本作で見られる交戦状態は史実よりも '続きすぎている' とのこと。
当時、原作者自身が徴兵され、英軍の通訳として現場で撤退戦を経験しているそうです)
ところで、初見時からとても気になっていた印象的な建物の病院は、こちら で合っているでしょうか。。
【4】ダンケルク( 原題:Dunkirk ※2017年※ )
最後はもちろん、クリストファー・ノーラン監督によるこの作品 。
もう何度も見て、ブログの本館・別館ともに記事をいくつも書いているので、
作品自体の感想は割愛しますが、一点だけ。
今回初鑑賞だった【2】には、俳優時代のリチャード・アッテンボロー監督が出演していますが、
お孫さん( ウィル・アッテンボロー )も俳優で本作に出ていることを、【2】のブックレットで知りました。
IMDbによれば、役名は 'Second Lieutenant' 。担架で怪我人を運びつつ病院船に乗り込んだ
トミーとギブソンに向かって、「お前たち 降りるんだ」「降りろ!」と桟橋から命じた海軍の人です。