末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

Concerto for Flute and Harp ( K.299 )

2006-04-24 22:50:29 | 音のはなし
モーツァルト生誕250周年にあたる今年。
各種メディアで取り上げられたり、
CDショップでは特別コーナーが設けられるなど、
何かと賑わいを見せております。

私は、自分が 似非クラシック・ファン だという自覚を
十二分に持っているため、正直に言ってしまいますが、
モーツァルトの曲って、積極的に買い求めたことがあまり無いのです。
理由は ↓ こんな感じ。

  1.楽曲数がたくさんあり、
    どれから聴くべきかで迷ってしまう。

  2.一方、どこかしらで耳にしたケースも多い超有名曲の場合、
    たとえ題名と一致していなくても、すっかり聴いた気分となり、
    なかなか食指が動かない。

  3.ようやく、聴いてみたい曲が決まっても、
    録音数が膨大で、どのCDを選んで良いのかわからない。

何ともトホホ ・・ な有り様です (--;)
お蔭で、我が家にあるモーツァルトは、
他の目的で購入したCDに一緒に入っていたものばかり。

そんな、ちぐはぐな状況下で
唯一、モーツァルト・イヤーの時流にのって、
まともに (苦笑) 記事にできそうなのがこちら ―
『 フルートとハープのための協奏曲 ハ長調 K.299 』 です。

*~*~*~*~*~*~*~*~*

1778年の春、当時パリに滞在中だったモーツァルトが、
自らフルートを嗜むド・ギーヌ公爵より、ハープを弾く彼の娘
( 手元の解説では、令嬢の音楽的才能はいま一つだったとか )
と一緒に演奏できる協奏曲を注文され、報酬を得るために作った曲。

作曲の経緯はどうあれ、
最初の一音が響いた瞬間から、いわゆるフランスの貴族文化とか、
ロココ的な典雅さが連想される、優美な旋律で綴られていきます。
イメージとしては、室内よりも、穏やかな陽光が降りそそぐ庭園にある、
四阿ふうの野外音楽堂での演奏が似合いそうな曲調です。


ERATO ( 輸入盤 4509-93242-2 )  ← フルートの音色をじっくり味わいたい時

   ◇独奏 / J・P・ランパル ( フルート )
          L・ラスキーヌ  ( ハープ )
     演奏 / パイヤール室内管弦楽団
     指揮 / J・F・パイヤール
     録音 / 1963年?

   ※写真のベスト盤には第2楽章のみ収録

ソリストとしてのフルート奏者で
いちばん好きなのは、故J・P・ランパル。
特に、中~低音域にかけてを、軽やかでありながら
しっとり艶やかに奏でるところが、とても魅力的です。

親日家で、数多くの来日公演も行われましたが、
残念ながら、私自身は一度も足を運ぶことはできませんでした。
そのため、録音でしか聴いたことはないものの、
ランパルの演奏で非常に面白いと感じられるのが、
伸びやかで、ふくよかに丸みある音の響きのなかに、
エッジに息があたっている様をリアルに思い起こさせるような、
一本、芯の通っている感覚を、常に意識させられる点です。
それでも、音の響きの豊かさは決して損なわれることがない、
二面的な要素が共に在る音色に、惹きつけられます。

氏が亡くなってから、来月で6年。
ショップの棚で、ランパル作品の占めていたスペースが、
少しずつ減っていくのを見ると、寂しくなります。




   ソリストとオケ双方の音色を楽しみたい時 →

   ◇独奏 / H・バルワーザー ( フルート )
          P・ベルゴート   ( ハープ )
     演奏 / コンセルトヘボウ管弦楽団
     指揮 / E・V・ベイヌム
     録音 / 1957. 6. 6
PHILIPS ( 国内盤 UCCP-3309 )

生誕250周年にあわせて、
ユニバーサル・クラシックスから発売された、
< モーツァルト歴史的名盤1200 > シリーズの1枚。

オランダのコンセルトヘボウ管弦楽団による演奏で、
フルートの独奏は、約35年という長きにわたり、
同オケに在籍した H・バルワーザーが手掛けています。
音色的に私がいちばん好きなオーケストラである、
コンセルトヘボウ管の首席奏者も務めた
フルーティストということで、
期待していた通り、なかなか私好みの音でした。
半世紀前の音源で、第1楽章では所々、
録音の古さを感じさせる部分もあるのですが、
全体としては、ソロとオケの豊かな響きを
見事に捉えていると思います。
当時、同オケを率いていた名指揮者ベイヌムが振る、
活き活きとした協奏曲を楽しめます。




DECCA ( 国内盤 UCCD-5058 )  ← モーツァルトが想定した音色を聴いてみたい時

   ◇独奏 / L・ベズノシューク ( フルート )
          F・ケリー      ( ハープ )
     演奏 / エンシェント室内管弦楽団
     指揮 / C・ホグウッド
     録音 / 1986. 9.

現在、よく目にする
オーケストラ等で使用されている楽器は、
モダン楽器と呼ばれるもので、
各々の楽器の誕生した時代から、
いろいろと改良を重ね、変遷してきたものです。
その為、何百年も前に使われていた楽器とは
形状や音色、奏法などにも違いが見られ、
曲を執筆する際に、作曲家たちが想定した響きも、
現代のそれとは違うのではないか ・・
という研究に端を発し、その後、
クラシック音楽の演奏形式の一つとして定着したのが
曲が作られた当時の楽器 ( レプリカ、時にはそのもの ) を
使用した、オリジナル楽器による演奏スタイルです。

エンシェント室内管弦楽団は、17~18世紀のバロック~古典音楽を
オリジナル楽器を用い、原典にそって演奏することを目的に設立。
同楽団による、この曲のフルート独奏は、
むしろ、リコーダーの音色に近い響きを持っており、
清冽な印象のアンサンブルを聴くことができます。


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