末つ森でひとやすみ

映画や音楽、読書メモを中心とした備忘録です。のんびり、マイペースに書いていこうと思います。

評論社の本の原画展

2006-02-01 23:34:49 | トールキン:その他
原画展ポスター
1/30(月)の午後、ぽっかりと時間が空いたので、
新幹線に飛び乗ってしまいました。
高崎に着いたら、外はすっかり夕暮れ時。
風のない穏やかな日だったのは、幸いでした (^^ゞ
  ・・ ということで、
    1月いっぱいで終了してしまいましたが、
    原画展 in 高崎シティギャラリーの覚書きです。

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< 第12回 絵本原画展 >
  ~ 私たちが選んだ 「 評論社 」 の本


まずは、原画展開催のご挨拶のとなりに、
中つ国の大きな地図のパネルが掛けられていて、にんまり。
続く、マチルダ 等のイラストに囲まれた
「 評論社・沿革 」 パネルを経て、原画の展示が始まります。

 (1) アンナの赤いオーバー
 (2) < グリーン・ノウ物語 > シリーズ
      ・・ この2つのコーナーでは絵も良かったですが、やはり、
        (1) のミニサイズの “ 赤いオーバー ” と、
        (2) のボストン夫人の 「 ハイ・マジック・パッチワーク 」 の
        展示が印象に残りますね。会場まで足を運んだ実感が湧いてきます (笑)

 (3) オオカミ族の少年
      ・・ 今回の展示会ポスターにも使われた、この作品の表紙画は、
        邦訳版の独自路線で、酒井駒子さんという方が手掛けているそうです。
        挿絵については 「 一つの章に対して一つの挿絵 」 という
        構成らしいのですが、原書では一点だけ二度使いした絵があるのに対し
        酒井さんは使い回しをせずに、原書の挿絵画家よりも一点多く、
        この本のために絵を描いたとのことです。

 (4) ピーター・スピアーさんの絵本
      ・・ この人のコーナーは面白かったです。
        完成版の原画ではなく、いくつかの段階にまたがりながらの、
        試作品の原画を展示してあるため、見ていて興味が尽きません。
        自作の絵に対するこだわりが大変強い、職人気質な方のようで、
        制作時には、出版社への事細かな指示がたくさん入るそうです。
        でも、この方、絵を描くのが本当に好きなんでしょうね。
        『 雨、あめ 』 という作品は、文章が一つもないのに、
        絵の中からストーリーがどんどん感じられて、
        雨雲に覆われた少し暗めの画面であっても、
        ページを捲る楽しさが溢れ出てくるような感覚になります♪
        原画展を主催した 「 時をつむぐ会 」 のサイトで見られる、
        会場内に張られた白いTepeeは、 『 せかいのひとびと 』 で描かれた、
        アメリカインディアンのテント小屋を模したものです。

 (5) ベリンダ・ダウンズさんの刺繍絵本
      ・・ “ 絵で表現する ” = “ 紙に線を描いて彩色して。。 ” という、
        ありきたりな手順しか浮かばない私からすると、
        画材に替わって、刺繍糸と布で描いていこうとする発想自体が、
        もう、すごいな~と思ってしまう訳です。
        『 ようこそ あかちゃん 』 は、生まれてくる新しい命を思いながら、
        一刺し一刺し、針を動かしていく様を連想させられました。

 (6) 『 指輪物語 』 寺島龍一氏の原画
      ・・ はるばる高崎まで出向いた一番の理由は、やっぱり、この作品 ^ ^
        邦訳本の 『 ホビットの冒険 』 ( 岩波書店 ) で描かれた
        寺島画伯の挿絵を、原作者のトールキン教授が気に入ったという話は、
        『 指輪物語 』 の 「 訳者あとがき 」 で触れられていましたが、
        トールキン教授を除き、世界で初めて 『 指輪 』 の挿絵を描いたのが
       寺島さんだった
という事は、この展示会で新たに知りました。
          *~*~*~*~*
        今回は、本編中に登場するお馴染みの挿絵のほかに、
        旧訳&新訳旧装丁版で使われていた、
        寺島さんの手による表紙の原画も、あわせて展示されておりました。
        新訳版の文庫本で 『 指輪 』 と出会った私としては、
        表紙を飾るカラー・イラストと言うと、
        個人的には、A・リー氏の絵の方がしっくりくるのですが、
        寺島さんの描いた表紙画もなかなか印象的ですね。
        紫や赤 ( 朱色? ) の使い方が独特で、
        ちょっと時代を感じさせるような雰囲気もあるのですが、
        『 旅の仲間 (上) 』 の原画などは、
        遠景の空の碧色に対し、風見が丘の紫色がとてもよく映えており、
        緊迫したシーンを題材にしながらも、綺麗でステキな絵でした。
        しかし、寺島画伯の魅力は何といっても、あの味わい深いペン画でしょうか。
        たとえ “ 懐中電灯なファラミア ” があったとしても、
        寺島さんの描く人物 ( 特にホビット ) の表情が、すごく好きなんです。
        なかでも、名場面ばかりが描かれている 『 王の帰還 』 は、
        各々の人物たちが見せる表情を、もっともっと何時間でもいいから、
        飽きることなく、原画でじっくりと眺めていたかったですね。
          *~*~*~*~*
        『 指輪物語 』 コーナーの最後は勿論、
        「 灰色港 」 の原画で締めだったのですが、その傍らには、
        P・ベインズさんが手掛けた “ Bilbo’s Last Song ” のポスターも
        一緒に展示されていて、喜びもひとしおでした *^-^*

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予想以上に見応えのあった原画展で、
慌しいなか、出掛けていった甲斐がありました。
もう少し時間があったら、『 指輪物語 』 以外のコーナーも、
もっと落ち着いて見られたんですけどね ・・ それだけは、ちょっと心残りかな。
そう言えば、帰りの新幹線で初めて2階座席に座ってみたのですが、
こちらも何気に、ワクワクしました (笑)

原画展チケット

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