以上、施設(2)と施設(3)について述べてきたが、お分かりいただけただろうか。
次は施設(1)の特徴について述べる番だが、
これについても、施設(3)と対比しながら書けば、
その特徴がよりはっきりと浮き彫りになるだろう。
施設(1)と、(2)や(3)との違いについて述べるとき、まず触れなければならないのは、
「入浴サービスがあるかどうか」というようなことよりも、
その利用者層の性格の違いについてである。
(ちなみに、(1)にも(3)にも入浴サービスがある)。
施設(2)に通ってくるのは、
「トレーニングをして、老化を遅らせたい、
なるべく自立した暮らしがしたい」という思いを持ち、
(社交性の程度こそまちまちであるものの)積極的な生きる意欲を
持った老人たちであり、
施設(3)の場合も、おそらくその利用者は
「もっと人生をエンジョイしたい」という思いを持った元気な老人たちである。
これに対して施設(1)は、介護に疲れた家族が、厄介払いのために、
老いた親を、あるいは病にたおれた配偶者を、
介護しきれずにやむなく預ける施設であり、
その利用者である老人や高齢者たちも、
厄介払いされたお荷物のように、皆おしなべて元気がない。
元気がないというより、元気よく生きようという意欲を
失ってしまった人たちであるように、私には見えた。
そういう老人たちに混じって一日を過ごすと、
私自身が生きる意欲を失ってしまうようで、
日ごとに元気が萎えていくようで、
何よりもそれが私には悲しかった。
(つづく)