本屋でまとめ買いした際に手に取った一冊ですが、予想外に(失礼!)大当たりの本でした。
土光敏夫さんの語録をまとめた「新訂 経営の行動指針」です。
土光敏夫氏は、言わずと知れた中曽根内閣時代の行革の立役者。石川島播磨重工業社長、東京芝浦電気社長、経団連会長を歴任し、戦後屈指の名経営者と言われた方です。
国鉄(現在のJR)の民営化など厳しい行革推進の手腕の一方で、食事のおかずがメザシだったところから庶民の共感を得ていた一面もあり、今の良く見る経営者とは違う明治堅気的なイメージがあります。
その土光語録を集めた本が、本書です。
初版が出たのが昭和45年、今から36年前ですが、そこに述べられている言葉は、今まさに参考になるものばかりです。
そもそもこの本が生まれた元になったのは、東芝時代、社是社訓を新しくしようと言う提案があった際に「この変化の激しい時代に固定した物の考え方は許されない。そんなスローガンが逆に新しい考え方を阻む。つくるなら毎日変わる社是社訓を作れ。」という土光氏の発言がきっかけでした。そこから、毎月発行する社内報に、「トップ指針抄」として語録を載せたのが始まりだそうです。
全部で100個の語録が収められています。おいおい、ネタとして紹介していきたいと思っていますが、本市で一昨年策定した人材育成のコンセプトと同じものが書いてあったので驚いたのが次の言葉です。
「これから期待される社員像は『変化に挑戦しうる人』である」
解説すれば、次の5つを満たせる人だそうです。
1 頭脳を酷使する人
2 先を見て仕事のできる人
3 システムで仕事のできる人
4 仕事のスピードを重んじる人
5 仕事と生活を両立させられる人
そして、更に驚くことは、この昭和45年の頃に、「変化はいつの世にもあるが、現在の変化は過去の変化から質的に飛躍してつながらないことが多い。過去の知識と経験にあぐらはかいていられない。」また「変化の波及性があり、1つの変化がその領域内に収まらず、他の異なった領域と意外な結びつきを見せる。だから、自分の専門性に閉じこもって安心していてはいけない。」など、まさに今の変化の本質をついた発言をしています。
何度も繰り返しますが、36年前に出した本にこういったことが書かれているのは驚きです。
ちなみに、次のような「うふっ。う~む」という語録もあります。
「幹部はえらい人ではなく、つらい人だと知れ。」
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