法隆寺や薬師寺の棟梁だった宮大工 西岡常一氏の言葉には、組織や人事についてとても納得感のある言葉があります。
人を木に例えると、それぞれに日当たりや水の量など生えていた環境が違い、木の癖も異なる。
その異なった癖を、それぞれに活かして組み合わせるのが大工の仕事だと言われています。
育ちも価値観も強みも異なる人間を、その癖に合わせて組み上げる。
組織や人事も同じように思います。
癖を無視して同じ形に束ねても、結局あとで反ったり割れたりする。
ドラッカーの言葉、
「優れた人事は人の強みを生かす。弱みからは何も生まれない。
結果を生むには利用できるかぎりの強み、すなわち同僚の強み、
上司の強み、自らの強みを動員しなければならない。強みこそが
機会である。強みを生かすことは組織に特有の機能である」
は、まさに西岡棟梁の言葉と重なります。
《西岡棟梁の言葉》
「飛鳥のものは木ひとつひとつの美しさが活かされてます。法隆寺大工に伝わる「木を買わずに、山を買え」というようなことが守られているんですな。土質によって材質の違う木が生え、それを適材適所に使うというのが、建物つくる基本ですからな。」
「ヒノキならみな千年持つというわけやない。木を見る目がなきゃいかんわけや。木を殺さず、木のクセや性質をいかして、それを組み合わせて初めて長生きするんです。「堂塔の木組みは寸法で組まずに木のクセで組め」」
「揃えてしまうということは、きれいかもしれませんが、無理を強いることですな。木には強いものも弱いものもあります。それをみな同じように考えている。昔の人は木の強いやつ、弱いやつをちゃんと考えて、それによって形を変え、使う場所を考えていたんです。」