行政マン・コーチのはじめの一歩

自治体職員でストレングスコーチ&ファシリテーターの丸本です。
人と組織の持つ強みを活かして、応援を続けています。

ボリバレント

2007年04月08日 | 人事異動など
サッカーの日本代表監督、オシム監督のチーム作りのキーワードに「ボリバレント」があります。

元々は化学用語で、「多くの価値を持つ」という意味らしいのですが、スポーツ用語としては「複数のポジションをこなせる」という意味で使われています。

対戦する相手に応じて様々な戦術をとれるよう、選手に複数のポジションで活躍できることを求めるということでしょうか。


先月、2回目の人事異動を担当して得た実感は、2つの(複数の)専門分野・専門スキルを持った職員はその人を活かす部署に配置される一方、1つの専門分野・スキルしかない職員は、やもすれば不本意な異動となるケースが多いと言うことです。

ここで言う「専門分野」とは、税や福祉、農業など課の事務分掌上の分野であり、「専門スキル」とは、企画力や交渉力なのどスキルのことです。

ポストが多い組織なら希望・適性に沿う異動もしやすいのですが、そうでない場合、行き先のポジションに異動対象となる職員がいなかったり、複数の職員に対して空きが1つというケースがよくあります。

その時、その職員に他の専門分野や得意なスキルがあれば、他の適性を活かす部署へ配属することが可能な場合が多いのです。

逆に、1つしか専門分野がなかった場合、どうしても数合わせ的な異動になるケースが生じます。

組織にとっても、その職員にとっても不幸なことなのですが、ポスト数や異動枠が少ない場合、やむを得ないのです。

そういった(双方にとって)不本意な異動とならないよう、少なくとも2つは「この人でないと」と言われるくらいの専門分野をもってほしいと思います。

「即戦力としていつでも働ける専門性があり、その分野に通じている」といわれるだけの専門分野。また、「プランニングが必要なケースではこの人に任せれば安心できる」という企画力や、「外部団体や住民との交渉ごとには彼がいれば」交渉力といったスキル。

1つの専門分野+1つの専門スキルでもいいのですが、そういった自分の強みを意識的に磨いていけば、組織と個人双方に「幸せな異動」となることができると思います。

行政の経営改革に手腕を発揮される上山信一氏は、その著書『だから、改革は成功する』の中で、マッキンゼーでのコンサルタント時代に「2,3の専門分野を持つことが奨励されていた」と書かれています。

その専門分野の切り口は、ひとつは自動車、食品、ITなどの産業分野(セクター)であり、もうひとつは財務、マーケティング、技術戦略などの問題解決のノウハウ分野(センター)。

個々のコンサルタントは2,3の専門分野を決めて腕を磨くそうです。

自治体職員も、自分の強みをよく見つめ、2つ以上の専門分野を決めて腕を磨くことが必要になっていると思います。

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