A大学病院の前で、雪は大きく手を伸ばし深呼吸した。
「わ~」
「退院~!けどすぐ学校~‥」
リフレッシュ‥?な気分での退院である。
まだどこか疲労が抜け切らない娘の顔を見て、母は心配そうに声を掛けた。
「今日も休まなくていいの?」「大丈夫だよ。薬飲んで休んだから、もう全快!」
雪はニッコリと笑って母を安心させ、ズッシリと重い鞄を担いで本音を零す‥。
「それに授業出ないとダメージ大きいし‥財務学会もあるし‥期末も‥」
「ガンバ‥」
背負っているものは沢山ある。
母は手を振って、娘が歩き出すのを見送った。
「行って来ます」「行ってらっしゃい」
「よぉ!赤山ちゃ~ん!」
登校するや否や、ひょっこりと柳楓と遭遇した。
柳は雪の肩をウリウリやりながら、隣に並んで歩き出す。
「入院してたんだって?学校来て大丈夫なん?」「ハイ、ただの胃炎ですから」
「じゃあお粥食べなきゃだ?マズイやつ~」
どこか面白そうに笑う柳。すると続々と同学科の皆が声を掛けてきた。
「おー赤山」「雪オハヨー」「入院してたって?大丈夫ー?」「えっ入院?!」
「何で皆知ってんの?!ヒィィ」
雪が入院したという噂はあっという間に広まったらしい。
雪は白目になりながら、皆に心配されて登校したのであった‥。
さて。
柳楓は辟易していた。
その視線の先には、席が埋め尽くされたPC室の風景がある。
柳は舌を出しながら踵を返した。
「あ”~ウンザリだぜ‥ネカフェ行くかぁ~」
すると視線の先に、一際大きな男が自分を指さすのが見えた。
「ヒッ」
柳瀬健太である。面倒な奴に見つかってしまった‥。
「よぉ!柳ぃ!」「どもども~」
極力健太のことを避けてきた柳であったが、見つかってしまっては仕方が無い。
二人は肩を並べて廊下を歩いた。
「何彷徨ってんだ?」「いや~PC室空いてなくて~」
「じゃあネカフェ行くのか?」「そうしよーかと思って」
「ん?何か急用か?」
健太はそう言うと、カバンからノートPCを取り出した。
「んじゃ、これ貸してやろーか?」
ニッコリと笑う健太。
柳は彼を見て目を丸くする‥。
「いや~~あの人ってばどーしちゃったのやら」
柳はニコニコと笑いながら、健太から借りたノートPCを開いた。
「たまには役に立つじゃねーの~?」
頭の中に先程の会話の一部が思い出される。
「これ佐藤のじゃねーんすか?他人のモン勝手に使うのはちょっと‥」
「何遠慮してんだよ!お前課題するだけだろ?ちょっとカフェで作業してろよ。
俺図書館行って本返してくっからよ。どうせ後で返そうと思って持ってきたんだから。重いしよ」
「んじゃOKっす」
‥という経緯で柳は、健太からノートPCを借りたのだった。
柳はゆったりとした気分で、電源ボタンを押す。
ウィンウィンと起動音が鳴り、画面に白い文字が二行程浮かんだ。
しかしそれは途中でプツンと切れる。
柳は「?」と思いながら、画面を眺め続けた。
しかしどんなに待てども起動せず、しまいにはおかしな音がする。
柳は首を傾げながら、軽くPCの画面をタップした。
「なんだ?起動しねーのか?おい、しっかりしろー」
パッ!
すると画面は一面青くなり、意味不明な文字で埋め尽くされた。
「え??」
柳はわけが分からない。青く固まった画面を前に、柳も固まった。
するとまるでそれを見計らったかのように、柳瀬健太が帰って来た。
「よ~!課題進んでっか~?」
「ありゃ?!」
「ありゃりゃりゃ?!なんじゃこりゃああああ!PCどうなったぁ?!」
「壊れたのかぁ?!?!」
柳 in the trap.
しかし当人はまだそのことを知らない‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<柳 in the trap(1)>でした。
柳ファンとしては、久しぶりの登場で嬉しかったのですが‥
ワナワナ‥
ワナワナ‥!
健太ぁぁぁぁ!!!!
速やかに青田先輩を召喚し、柳を助けてくれるよう頼もうと思います(本気)
次回は<正門の先(1)>です。
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「わ~」
「退院~!けどすぐ学校~‥」
リフレッシュ‥?な気分での退院である。
まだどこか疲労が抜け切らない娘の顔を見て、母は心配そうに声を掛けた。
「今日も休まなくていいの?」「大丈夫だよ。薬飲んで休んだから、もう全快!」
雪はニッコリと笑って母を安心させ、ズッシリと重い鞄を担いで本音を零す‥。
「それに授業出ないとダメージ大きいし‥財務学会もあるし‥期末も‥」
「ガンバ‥」
背負っているものは沢山ある。
母は手を振って、娘が歩き出すのを見送った。
「行って来ます」「行ってらっしゃい」
「よぉ!赤山ちゃ~ん!」
登校するや否や、ひょっこりと柳楓と遭遇した。
柳は雪の肩をウリウリやりながら、隣に並んで歩き出す。
「入院してたんだって?学校来て大丈夫なん?」「ハイ、ただの胃炎ですから」
「じゃあお粥食べなきゃだ?マズイやつ~」
どこか面白そうに笑う柳。すると続々と同学科の皆が声を掛けてきた。
「おー赤山」「雪オハヨー」「入院してたって?大丈夫ー?」「えっ入院?!」
「何で皆知ってんの?!ヒィィ」
雪が入院したという噂はあっという間に広まったらしい。
雪は白目になりながら、皆に心配されて登校したのであった‥。
さて。
柳楓は辟易していた。
その視線の先には、席が埋め尽くされたPC室の風景がある。
柳は舌を出しながら踵を返した。
「あ”~ウンザリだぜ‥ネカフェ行くかぁ~」
すると視線の先に、一際大きな男が自分を指さすのが見えた。
「ヒッ」
柳瀬健太である。面倒な奴に見つかってしまった‥。
「よぉ!柳ぃ!」「どもども~」
極力健太のことを避けてきた柳であったが、見つかってしまっては仕方が無い。
二人は肩を並べて廊下を歩いた。
「何彷徨ってんだ?」「いや~PC室空いてなくて~」
「じゃあネカフェ行くのか?」「そうしよーかと思って」
「ん?何か急用か?」
健太はそう言うと、カバンからノートPCを取り出した。
「んじゃ、これ貸してやろーか?」
ニッコリと笑う健太。
柳は彼を見て目を丸くする‥。
「いや~~あの人ってばどーしちゃったのやら」
柳はニコニコと笑いながら、健太から借りたノートPCを開いた。
「たまには役に立つじゃねーの~?」
頭の中に先程の会話の一部が思い出される。
「これ佐藤のじゃねーんすか?他人のモン勝手に使うのはちょっと‥」
「何遠慮してんだよ!お前課題するだけだろ?ちょっとカフェで作業してろよ。
俺図書館行って本返してくっからよ。どうせ後で返そうと思って持ってきたんだから。重いしよ」
「んじゃOKっす」
‥という経緯で柳は、健太からノートPCを借りたのだった。
柳はゆったりとした気分で、電源ボタンを押す。
ウィンウィンと起動音が鳴り、画面に白い文字が二行程浮かんだ。
しかしそれは途中でプツンと切れる。
柳は「?」と思いながら、画面を眺め続けた。
しかしどんなに待てども起動せず、しまいにはおかしな音がする。
柳は首を傾げながら、軽くPCの画面をタップした。
「なんだ?起動しねーのか?おい、しっかりしろー」
パッ!
すると画面は一面青くなり、意味不明な文字で埋め尽くされた。
「え??」
柳はわけが分からない。青く固まった画面を前に、柳も固まった。
するとまるでそれを見計らったかのように、柳瀬健太が帰って来た。
「よ~!課題進んでっか~?」
「ありゃ?!」
「ありゃりゃりゃ?!なんじゃこりゃああああ!PCどうなったぁ?!」
「壊れたのかぁ?!?!」
柳 in the trap.
しかし当人はまだそのことを知らない‥。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<柳 in the trap(1)>でした。
柳ファンとしては、久しぶりの登場で嬉しかったのですが‥
ワナワナ‥
ワナワナ‥!
健太ぁぁぁぁ!!!!
速やかに青田先輩を召喚し、柳を助けてくれるよう頼もうと思います(本気)
次回は<正門の先(1)>です。
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