Trapped in me.

韓国漫画「Cheese in the trap」の解釈ブログです。
*ネタバレ含みます&二次使用と転載禁止*

<雪>その代償(3)

2013-06-12 01:00:00 | 雪2年(球技大会~ホームレス事件前まで)
夏休みに入っても、雪の心は休まることがなかった。

今日も6階に住むおばさんが、雪の家へとプレゼントを持って来た。

「また雪ちゃん宛のプレゼントが間違って家に届いたの」



度々どうもスミマセン、と雪は頭を下げる。



母親とおばさんは、若い子たちはいいわね~なんて笑いながら、ほのぼの談笑しているが、

雪にとってはそれどころではない。

部屋には、これまで届いたプレゼントがダンボールに突っ込んで置いてあった。



ふいに携帯電話が鳴る。

着信画面には”横山翔”



雪は携帯を引っ掴んで取った。

「あんたねぇ!!プレゼント送ってくるなって何回言わせれば気が済むわけ?!

片付けるのも一苦労だっつーの!ハッキリ言って迷惑だから!」




横山が喋り出す前に、キレた雪は感情のままに喋った。しかし電話の向こうの横山は悪びれず、

「そんな怒んなって。もっと高いもん買ってやりゃいいんだろ?

今度一緒にショッピングしに‥」


そこまで言った所で、雪は電話を切った。



ついでに横山を着信拒否にして、携帯をベッドに投げつける。


雪は横山のターゲットが自分に移ったことに完全に気がついてしまった。

自分としたことが、あの時に慰めたからこんなことに‥。


雪の後悔の叫びは赤山家にこだました‥。







雪は夏休みに通う予定の、塾の受付に来ていた。

科目は電算会計で、試験に受かればMOS資格も取得出来る。

人は思ったより少なく、集中して通うには良さそうだ。

塾代はどうにか自力でまかなえたが、銀行の残高は空っぽになった‥。


そんなことをぼんやり考えながら、雪は受付の列に並んでいた。



「お前も申し込みに来たのか?」



雪はギクリとした。

いつの間にか横山が後ろに並んでいたのだ。

「横山?!どうしてあんたがここにいるの?!」



横山は、俺も塾の申し込みに来たに決まってんじゃ~んとヘラヘラ笑った。

どうしてこの街の塾に通うんだという雪の質問に横山は答えず、

代わりに「あ、そうだ。お前んち6階じゃなかったんだな」

と言った。



4階なのにどうして今まで言ってくれなかったのかと。

横山は昨日の夜それをチェックして知ったと。

夜道が危ないという理由で雪の素行を監視していたと。



雪は逃げた。

ここから、雪の逃亡生活が始まった。




夏休み、家の近くを歩いていると、決まって声を掛けられた。



度々友達に会いに来ているという横山だが、

それが誰でどこに住んでいるのか聞いたことがない。

聞いたとしても、

「ははは~そんなのどーでもよくねー?」



そうはぐらかすだけだった。

横山は雪の持つ荷物を持ってやろうと手を差し出すが、雪は結構だとその手を跳ね除けた。

「‥最近冷たくなったな。電話しても出ないし、メールだって返してくれないし‥。

俺、何かした? 俺だけ好きみたいじゃん」




憂いを帯びたその表情と言葉‥。





雪は固まった。

一体いつからカップルになったというのだ。

さも当然のように付き合っている間柄のような会話をする横山に、雪は激昂し、いい加減にしないと警察を呼ぶとまで言った。


横山は微動だにしない。

警察という文句が聞いてビビったのかと思った雪に反して、横山はこう言った。


「証拠でもあるのか?俺がお前に脅迫の言葉なり行動をしたという証拠があるのか?」






雪は、開いた口が塞がらなかった。

尚も横山は続ける。

「俺は心からお前のためにと思って努力してるのに、お前は怒ってばっかだし、

しまいには警察を呼ぶだなんて‥。最近ちょっとおかしいぞ?特に意味は無いんだよな?

何か気に入らないことがあるなら、すぐ言えよな」




雪は、言葉の通じないモンスターを前にしているような気になった。



何度やめてと言っても、迷惑だと伝えても、

言葉が通じないのだ。

思い込んでいる想いが強すぎて、雪の言葉は横山の心には届かない。

なんとかしなければ、

そう思って胸が苦しくなった。


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<雪>その代償(4)へ続きます。


<雪>その代償(2)

2013-06-11 01:00:00 | 雪2年(球技大会~ホームレス事件前まで)
雪は一人家路へと急いでいた。

大学から約2時間かかるこの街は、住みやすいけどやっぱり不便だ。雪はあくびを噛み殺して帰路を急いだ。



すると、突然後ろから声を掛けられた。

「お!赤山じゃん?!」



振り返ると、横山が手を振っていた。



横山は友人がこの近くに住んでいて、遊びに来たのだと言った。

もう夜も遅いのに、大学から離れたこの街に横山が居ることに雪は若干の疑問を抱いたが、

不思議な偶然もあるもんだなと横山は笑っていた。



もう遅いので、友人の所に行く前に家まで送って行ってやるよと、

横山は雪の隣を歩いた。

「こんな夜道を女一人で歩かすわけにはいかないだろ」

という言葉に、雪もまんざらでもなく、そのまま送って行ってもらうことにした。


道中、飯を食って行こうとか、あの店見に行ってみようとか、事あるごとに横山は雪を誘ったが、

雪は失礼にならない程度にそれを断った。


スクーターが雪の真横を通ると、横山は雪の手を引っ張って守ってやったが、

その力加減が強すぎて、却って雪は転んでしまったりした‥。






オロオロと謝る横山に、

雪は憎めなさを感じ、優しくなったじゃんと微笑ましくさえ思った。



やがて家に着き、二人は別れを告げる。



夜遅くのマンションは静まり返っていて、足音がよく響く。

エレベーターの階数表示を見ると、15階で止まっていた。



雪の家は4階だ。歩いて行ったほうが早いなと、そのまま踵を返して階段に向かった。



パッと、階数に着く度に天井のライトが点く。

雪はそれを眩しく感じながらも、階段を登った。



ふと窓の下を見ると、



横山が立っているのが見えた。

彼は友人に会いに行くと言っていた。

なぜまだ、ここに立っているのだろう?



3階。

雪は嫌な予感がした。



窓の外をこっそりと覗く。



雪は整理できない頭を抱えながら、尚も階段を登った。



家に着いた。



しかし考えるより先に体はすでに玄関を背にして、

勝手に次の階へと足を運んでいた。



焦らずに、さっきと同じ速さでゆっくり、確実に登った。

5階に着いても、6階に着いても、窓の外の景色は変わらなかった。



もう一階歩を進めようかと思ったが、

7階までエレベーターに乗らないのも不自然だと思い、

6階で留まることにした。

そっと外を窺い見る。



すると横山が、ある動きをしていることに気がついた。



指を折り、何かを数えている。



下から見上げた雪のマンションは、6階まで灯りが点いていた。

ふうん、と彼は呟くと、意味ありげな笑みを浮かべた。



雪は6階の踊り場でじっと息を潜めていた。



あの仕草が何を意味するところかを考え、

そしておそらくそれは当たっていることに寒気を覚えながら、

ただその場でうずくまっていた。


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<雪>その代償(3)へ続きます。


<雪>その代償(1)

2013-06-10 01:00:00 | 雪2年(球技大会~ホームレス事件前まで)
季節は夏の始まり。

雪たちは春学期の期末試験の最終日程をこなしていた。

一足先に試験が終わった聡美は、まだ一科目残った雪を残して、太一と図書館で待ってるねと教室を後にした。



談笑しながら歩いていると、太一は教室で一人座っている横山に気がついた。



その横顔には、笑みが浮かんでいる。



太一は不審に思った。



しかし聡美には感づかせないように、彼女を急かせてそのまま図書館へと向かった。



一方雪は、教室でテストの最終確認をしていた。



ブツブツ言いながら暗記していると、ふいに隣りに横山が座ってきた。



缶ジュースを差し出して、差し入れだと言ったきり、ニコニコ笑って雪の方を見つめていた。

こいつこの授業取ってたっけ?見たことないけどな‥



そのまま横山が何も言わないので、雪の方から「あのさ‥何か用?」と切り出した。

「‥俺さぁ、前にお前に言われたこと、よーく考えてみたんだ」



横山は、自分の短所の改善点を真剣に考えたのだと言った。

そして出た結論は、雪の言う通りだったという。

横山は晴れ晴れとした顔をしていた。

「俺、これからは何にでも本気で取り組むことにするよ」



突然語られた横山の話に、雪はその真意があまり飲み込めなかったが、

「そうだよね‥、本気って大事だよね‥」

ととりあえず同意しておいた。


尚も何かを期待したような顔をして、横山はこちらを見つめてくる。



雪は話題を変えようと、

「ここんとこ学校で見かけなかったけど、テストだけ受けに来たの?」と聞いてみた。

すると横山の目が輝き出した。

「やっぱりな~!俺のこと心配してくれる人はお前しかいないよ!」



雪はそういう意味で言ったんじゃ‥と呟いたが、

嬉しそうな横山はケラケラ笑いながら話続けた。



これを機に気を改めてバリバリ勉強して、んでもって超大企業に就職して大成功を成し遂げるんだ!!

と熱い思いを語る横山だったが、

雪にとってはテスト勉強の邪魔以外の何者でもなかった‥



ふいに雪の肘が教科書を押してしまって、本がぐらついた。



雪はそのことに気を取られて、横山の話をすっかり聴き逃してしまった。



「へへへ、そんで成功したら、」



「お前と結婚‥」

「あー!教科書落としちゃった!」

通りかかった学生に拾ってもらってなんとか事なきを得た。

しかしもうテストが始まるのに、全く勉強が捗らなかった。



雪は溜息を吐いて、横山に「もう出て行かないとテスト始まるよ」と言った。

横山は慌てて立ち上がると、「テスト終わったら飯でもどう?」と誘いをかける。

聡美と太一との約束があると言うと、横山は露骨に嫌な顔をして文句を垂れたが、

途中で口を噤んだ。



そそくさと教室を後にしながら、

「悪い悪い、それじゃあまた今度な!テスト頑張れよ、雪!」

と言って出て行った。

雪は横山から名前を呼び捨てされたことに鳥肌を立てたが、ほどなくして始まったテストに、

集中してすぐに忘れた。




期末試験が終わり、帰路の地下鉄の中でも気分は晴れやかだった。

夏休みは塾に通う予定だが、それでも休みに入るのは嬉しい。

昨晩遅くまで勉強していたのもあって、雪は次第に睡魔に襲われた。



しかし‥



ふいに、視線を感じた。



辺りを見回してみるが、別に特に変わった様子はない。



気のせいか、夢か‥、雪はそのまま帰路についた。











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<雪>その代償(2)へ続きます。。






<雪>迂闊な親切

2013-06-09 01:00:00 | 雪2年(球技大会~ホームレス事件前まで)
あのドッチラケ球技大会が終わってしばらく経っても、

横山の評判は回復することはなかった。

彼が授業に出てくると、人々はジロジロと視線を浴びせ、



横山はそそくさと教室を後にする。



「よく出てこれたよねー」

「皆自然とあいつを避けてるわ」

「ただでさえ嫌われてるのに、今回の件で完全に疎外されたね」


ヒソヒソと囁かれる嘲りと悪口は、横山の居場所を完全に奪っていた。




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さて、雪はその日機嫌が良かった。

なぜなら先生に、レポートがよく出来てると褒められたからだ。

なんとか奨学金がもらえる気がして来た~!と、構内をルンルン気分で歩いていた。



すると木陰のベンチに、横山が一人で座っているのに気がついた。



やはりひどく落ち込んでいる。



雪はいささか彼を可哀想に思った。



頭に血がのぼると感情に歯止めが効かない横山は、口が災いというか、

本心でないようなことも激情に任せて口にしてしまうのだろう。

あの球技大会の場面が蘇った。

「青田先輩は見せかけ野郎だ!ガハハハ!」



ほげー!!(イメージ誇張)



あの腑抜け顔ったら‥www



雪は正直スッキリしたのだ。

だって、プリント事件の時にあまりにも腹が立ったから。



始めはどうにかして復讐してやろうと必死になった。

けれど、よく考えているうちにそうしている時間がくだらなく思えて、

体力の無駄遣いだって気がついて、無理やり感情を押し殺した。

これ以上青田先輩のことを考えていたら、成績にも影響する。

そのまま心を閉じ込めて、必死に何もなかったフリをしていた。



そんな感情も相まって、雪は横山をどこか放っとけないのだ。

ふと、そんな横山と目が合った。



そのままじーーーーっと見つめてくる横山を無視することも出来ず、

雪は彼に簡単な言葉を掛けた。

すると‥



何かを言いかけても言葉にならずに、少し涙ぐむ彼を見て、

雪は得も言われぬ気持ちになった。

「あ、あのさ‥」



「聡美にああいうことしたのは良くなかったと思うな。あんな無理矢理な態度、誰もついていかないって。

私が言うのもなんだけど‥行動に移す前に頭で一瞬考えた方がいいよ。聡美にも今度謝ってあげて。ね?」




雪は慎重に言葉を選びながら、それとなく横山の性格の改善点も口にした。

そこまで喋っても、横山は言い返しもせず、いつもの毒舌も飛び出さない。



この際、気になっていたことを全部言ってしまおう。

「それに頭に来たからって、大声出すのも良くないよ。だから皆から変な目で見られるんだよ。

聡美もそうだし、他の女の子のことも本気じゃなかったでしょ?はたから見ても分かるし、嫌がられて当然だと思うな」




どんより‥



横山はなおのこと落ち込んだ。手で顔を覆い、頭をくしゃくしゃに掻いている。

雪は言いすぎたかな‥とアタフタして、

鞄から持っていたお菓子を出すと、甘いもの食べると元気が出るよ、と全部彼にあげた。



去り際に横山の肩を、ポンポンと叩いた。



「元気だせよ!」



これでよかったのかな‥と雪は一人悶々としながらその場を後にした。

もう知らない、どうにでもなれ、し~らないとスタスタ歩いて行く雪の後ろ姿を、

横山はじっと見ていた。







彼らの知らない所で、一人の男もそれを見ていた。





それがこの後雪を困らせる事件の一因になるのだが‥







それは少し、先の話。



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<雪>迂闊な親切、でした。

これで聡美が横山に付きまとわれる日々が終わりました。

雪の助言で、横山の性格は改善されるのか?

次回も横山と雪のお話です。。

球技大会(2)

2013-06-08 01:00:00 | 雪2年(球技大会~ホームレス事件前まで)
結論からいうと、球技大会はドッチラケだった。

あの後横山はというと‥



青田先輩に必死の弁解をした。

女子達に腹が立ってつい心にもないことを言ってしまったと、

許してください信じてくださいと青田先輩にすがりついて許しを乞うた。

青田先輩は「とりあえず今は試合中だし席を外して頭を冷やせ」といったことを言って、

後で話そうとその場を治めようとした。



しかしそこは、

MR.KY 横山翔である。

「どうしてですか?!怒ってるんですか?!俺はどうすればいいですか?!」



「そういう意味じゃなくて‥」

尚も声を張り上げて弁解する横山に、青田先輩は「頼むからこれ以上事を大きくするな」

と少々厳格に言った。



すると健太先輩が横から出てきて、

「いいからお前もうどっか行けよ!こんだけ騒ぎ散らしたのにまだ懲りねぇのか?!

バカかお前は!許しを乞う前に何が一番大事か考えろよ!」




大声で横山を叱りつけた。

健太先輩の言っていることは正しい。最もである。

しかし正論は時に人を追い詰めてしまう。

そして横山もやはり‥

「あーもう!なんなんですか!!なんで皆俺だけ責めるんすか!」



涙を浮かべてそう言って、走り去ってしまった。

柳先輩は、また何かやらかすんじゃないかと横山を追いかけて走って行き、場は騒然となった。



健太先輩は、全校生の前で罵声を浴びせられた青田先輩を気遣う言葉を掛けたが、

青田先輩は俺なら大丈夫ですから、と苦笑いを浮かべた。

「正直気分は良くないですけど、責めたところでどうしようもないじゃないですか。

時間が経てばなんともなくなりますよ」




その後太一は先輩に向かって乱暴をしたとして健太先輩からたっぷりと絞られ、



おまけに横山の鼻血の治療代として痛い出費をしなければならなかった。




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ちなみに‥

1年後、福井太一2年生の球技大会はこうだった‥。


猛特訓、栄養補給(摂り過ぎ)



食あたり


闘病&不参加、勝利


脱出&乱入


・・・・・


病院へ帰還


一日にして回復

「思い残すことは何もないッス!」

「やっぱりあんたは最高のバカだ!」


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以上、球技大会でした‥。

太一は本当に良い味出してますね。翌年の球技大会なんてもう‥。さすが大食らいです。

さて球技大会を経て、Mr.KY横山くんの評判は地の底まで落ちてしまいました。

学校で見かける彼はいつも一人ぼっちで、寂しそうですよ。それを雪が見るにみかねて‥。

さあどうなるでしょうか。