「歪な目標」5月16日
『教員残業 月30時間に 給特法改正案 衆院通過』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、『法案は、公立学校教員に残業代の代わりに基本給の4%相当を支給する「教職調整額」を2026年1月から毎年1%ずつ引き上げ31年1月に10%とするのが柱(略)付則では、教員の時間外勤務を29年度までに月平均30時間程度にまで減らすことを目標に掲げ』ということです。
理屈に合わない話です。10%ということは、月の労働時間を基に考えると、約180×0.1=18時間分になります。他の業種で考えると、時間外勤務は通常の勤務時間の労働に比べて割り増しで賃金が支払われるのが常識ですから、精々15時間分程度にしかなりません。それなのに、30時間の時間外勤務を目標として想定しているのです。つまり、改革が達成された後でも15時間分はサービス残業をしろと言っているのです。
実際問題として、部活の地域展開等が進んだとしても、月の時間外勤務を30時間に収めることは難しいでしょう。目標と実態が乖離してしまうのは良いことではありませんがよくあることです。時間外勤務を30時間に収める、時間外勤務手当も30時間分用意する、でも実態は40時間になってしまった、というのであれば、仕方がないと思うこともできます。しかし、計画を作る段階ですでに、時間外勤務手当として措置されている額の倍を上回る時間が目標として掲げられているというのは、行政措置としてあまりに異常です。
私はこのブログで、15年以上前から教職調整額の矛盾について指摘してきました。拙著「断章取義」でもこの問題を取り上げています。それなのにまた同じことを書かなければならないことに無力感さえ覚えます。
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