ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

世の中の変化の後に

2016-09-26 06:53:04 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「二重国籍」9月16日
 論説委員福本容子氏が、『二重じゃダメですか』という表題でコラムを書かれていました。その中で福本氏は、蓮舫民進党代表の二重国籍問題に触れ、『日本国籍を取得した人はどうして母国の国籍を捨てる必要があるの?世界と日本をつなげてくれる国家的財産を実は失っていることに気付くべきだ』と述べていらっしゃいます。
 英国の中央銀行総裁や元首相が二重国籍であることも紹介し、我が国の度量の狭さを批判なさっているのです。その主旨には賛成なのですが、一方で身近な問題に引き寄せてみると難しいという気もします。
 例えば、台湾との二重国籍者が、教員になったとき、母国が中国と同じ色に塗り分けられた地図帳、ちなみに地図帳は社会科の教科書と同じ検定を合格した教科用図書です、を基に授業ができるでしょうか。ロシアとの二重国籍者の教員は、クリミア半島がウクライナ領として掲載されている地図帳を基に…、韓国との二重国籍者の教員は、竹島が日本領とされている地図帳を基に…、同じような事例を繰り返しても意味がないのでここで止めておきますが、我が国の学習指導要領に基づいて記述された教科用図書と自己のアイデンティティの間の葛藤をどう処理するのか、竹島は韓国領という授業をされては校長や教委は看過することはできませんから。
 また、学校における様々な儀式には、教員は正装で参加することが求められます。近年一般的になった袴での卒業式列席も、我が国固有の正装という意味で認められてきました。では、韓国との二重国籍者である教員がチマチョゴリで卒業式に出席し卒業生の名前を読み上げたらどうでしょう。民族の正装ということですから拒む理由はありません。しかし、保護者から苦情が出される可能性があります。これは、実際に東京都の某区であったことです。
 福本氏が述べているように、国籍はその人のアイデンティティの一つです。しかし、我が国の公教育では、個人の重要なアイデンティティの一つである宗教については実質的に持ち込み禁止となっています。女性教員が目だけを出し後は黒い布で覆った姿で勤務することを保護者の多数は容認しないでしょう。少なくとも現時点では、二重国籍についても違和感を感じる保護者が少なくないと思われます。
 学校が閉鎖的なのかもしれませんが、学校という場所は本来保守的であるべきであり、世の中が変わってから変わるというのが望ましい在り方であると考えます。教員に二重国籍を認めるという改革は相当先の話でなければなりません。

 

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