ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

「彼氏としちゃった」と聞かされて

2016-09-25 07:59:50 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「プライバシー」9月14日
 日本家族計画協会クリニック所長北村邦夫氏が、『子ども1人の受診 責任持った行動 応援したい』という表題でコラムを書かれていました。その中で北村氏は、15歳の少女の訴えを紹介していました。『かかり付けのクリニックでぼうこう炎と診断されたときに、「彼氏とセックスした」と医師に伝えました。それがぼうこう炎の原因ではないかと考えたからです。その時、親に内緒にしてほしいとお願いしたのに、クリニックから家に電話が入りました。私のプライバシーはどうなっているのですか』というものです。
 北村氏は、『子どもが親に知られたくないと言うのに親を巻き込むことは子どもの権利の侵害になるのは当然』と述べていらっしゃいました。難しい問題であり、北村氏のおっしゃることも十分に理解できます。しかし、私の理性ではなく感覚は、北村氏の見解に強烈な拒否反応を示しました。
 このコラムを読んで、私の頭に浮かんだのは、学校の教員が、教え子の少女から「彼氏とセックスした。親には言わないで」と言われたときにどうすべきなのかということでした。子供のプライバシー権という人権に配慮し、黙っていればよいのでしょうか。黙っていて、妊娠、堕胎というような事態になったとき、その教員は責められないのでしょうか。
 私の常識では、15歳の少女とセックスして平然としている男性は、責任感の乏しいいい加減な人物であるか、自分の衝動を抑えられない未熟な人物であるか、社会倫理など無視した反社会性の強い人物であるか、いずれにしても少女の将来を幸せにすることが期待できる人物ではないという評価になります。私が古風な人間であることは十分に自覚しているつもりではありますが、私ほどではないにしろ、思春期の少女をもつ保護者の多くは、我が娘のセックス体験を好ましいものとは考えないと思います。それだからこそ、娘が「セックスした」という告白を知らせてほしいと思うと考えるのです。
 このプライバシー問題は、教員だけでなく、スクールカウンセラーなどにとっても悩みの種になるはずです。私がその教員であれば、実際上の対応は簡単です。上司である校長に報告し、校長の判断を仰ぐのです。そうすれば全ての責任は校長に移りますから、もう悩まなくて済みます。ただ、本質的な解決ではなく、責任の所在を移しただけですから、校長が悩み、もしかしたら教委に相談し、と次々と責任転嫁の輪が広がるだけかもしれません。
 少女の告白が、覚醒剤使用などという犯罪行為であれば、躊躇うことなく関係機関に通報すればよいだけです。しかし、少女のセックスという行為については、人により捉え方が大きく異なります。それだけに悩ましいのです。子供との信頼関係の問題もあるし。北村氏同様、『読者の皆さんはどう思われますか』と投げかけて終わるしかないのかもしれません。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 参加体験型研修で分かること | トップ | 世の中の変化の後に »

コメントを投稿

我が国の教育行政と学校の抱える問題」カテゴリの最新記事