ヒマローグ

毎日の新聞記事からわが国の教育にまつわる思いを綴る。

のどを潤しながら

2018-06-17 08:19:23 | 我が国の教育行政と学校の抱える問題

「移り変わり」6月6日
 『透明飲料なぜ人気』という見出しの記事が掲載されました。記事によると、『一見すると水と同様に透明なのに、味や香りがついた清涼飲料「フレーバーウオーター」が、ここ数年の市場で活況を呈している』のだそうです。そういえば、コンビニでもよく見かけます。その理由の一つが、『外見は水』ということだそうです。
 取材に対して、『果汁系だと同僚の目が気になる』、『5年程前から「職員が仕事中にジュースを飲んでいた」といったクレームが増えた』(公務員)、『中身が透明な方が、市民の目に違和感が少ない』(同)などの声があるということでした。仕事をしている最中にジュース類を飲んでいると休んでいる、サボっていると誤解されるが、水ならば水分補給ということで大目に見てもらえるということなのでしょう。とはいえ、水では味気ない、そこで水と見分けが付かない透明飲料を、となっているようなのです。
 勤務中の飲み物というと、教員研修所勤務時代のことを思い出します。私が指導主事になった頃、研修会に参加する教員は、机上に筆記具と資料だけを出していました。それが、数年経ったとき、研修会の際にペットボトルを置き、講師の話の最中に口を付ける受講者が現れだしたのです。私が注意すると、「どうしていけないのですか」と反発してきました。「講師に失礼でしょう」と言っても納得しません。「あなたは授業中に子供がペットボトルに口を付けていても注意しないのですか」と話し、やっとカバンの中にしまわせることができました。
 私は研修会後、「今日、こんな非常識な教員がいて~」と同僚に話し、みんなで「時代は変わってきたのかな」と首を傾げたものでした。それから数年、研修会にペットボトルを持ち込むことは一般的になっていました。まさに、時代は変わってきたのです。
 私は古いタイプの人間ですから、今でもたかが2時間程度の講義の時間くらい我慢すべきである、と思っています。その一方で、自分の価値観に固執し、時代の変化を否定するのは間違いであるという感覚ももっています。適切に水分補給したほうが、脳も活発に働くのでしょうし。しかし、この記事を目にして、当時の私やペットボトルを持ち込んだ教員に欠けていたものがあることに気がつきました。それは、公務員として、納税者である市民はどう感じるだろうか、という視点です。
 教員が研修会に参加するのは、公務です。もちろん、給与が支払われ、交通実費も支給されます。2時間の研修会であれば、往復の時間も含め時給で計算すると7000円ほどが支払われている計算になります(おおよそ勤続20年で計算)。民間企業で働く人、特に非正規で働く人から見たら、座って話を聞いているだけ、楽して高給を、と思われるでしょう。しかも、ペットボトルでお茶を飲みながら、となればどう感じるでしょう。
 以前もこのブログに書きましたが、私は教委勤務時代、ある時期になると必ず何軒かの苦情電話を受けました。広報に予算の内訳が掲載され、教員の給与が示されると、「うちの社長よりも高い給料をもらっている。先生っていうのはそんなに仕事しているのか」という苦情です。苦情の内容についての是非はおいておくとして、市民のそうした感覚については、教員は知っている必要があります。
 まさか、授業中にペットボトルに口を付けている教員はいないでしょうね。

 

コメント
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