作る喜びと、食べる楽しみ(その1)
店の店頭には並ぶ事がまず考えられない野菜がある。
例えば大根の間引き菜(摘み菜)だ。
秋大根は、暑い夏が終わり涼しい風が吹き始める、八月末から、九月初めが種蒔きの適期となる。
たいていはジャガイモの収穫後の畑を利用することになる。
石灰、堆肥などを入れ丁寧に耕す。畝を作り数日間置いて種を蒔く。
三十センチ程の間隔で空き缶の尻などで蒔き穴を形作る。
そして、一穴に数粒ずつの種を蒔く。
何故一粒でないかと言うと、良い種だったら芽の出ない事は無いのだが、念を入れ発芽率を補う。
そして二、三日でしっかりと芽を出すのだが、初めの頃はひょろりと頼りなく双葉で伸びる。
これが一本だったら僅かな風でも倒れてしまう。数本だからこそ、お互いに支え合って倒れずに育つのだ。
これも数粒播く事の意味である。
そこからは様子を見ながら、間引きが始まる。
この時期は気温の具合によって、虫の襲撃を受ける。
間引き菜を食べたいので、消毒は極力避けるのだが、絵に描いたような無農薬農業は難しい。
(続く)