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記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

「かの子忌」作家・詩人・仏教研究家である岡本かの子の忌日

2006-02-18 | 人物
今日(2月18日)は、「かの子忌」。
作家・詩人・仏教研究家である岡本かの子の1939(昭和14)の忌日。
彼女の生涯は、”かの子撩乱”とうたわれるくらい奔放華麗な女性作家である。
岡本かの子は、1889(明治22)年、3月1日、東京青山に大貫寅吉の長女として生まれる。本名、カノ。生家は元幕府御用の大商人で、病弱であったため二子多摩川の広大な本邸で育てられたそうだ。上流家庭の子女ばかりが集まる跡見女学校に入学、そのころら文才を発揮し、学内雑誌に、毎号かの子の歌が載ったほどだったという。」卒業後、兄の紹介で、新詩社にはいり、與謝野鐡幹・晶子に師事。女学校卒業後、馬場孤蝶 門下となり、平塚らいてう、山川菊栄と知りあう。又、「明星」や「スバル」に短歌を発表。20歳で同門の青年と駆け落ちするが、連れもどされる。明治43年、21歳の時、上野美術学校の画学生岡本一平と結婚。翌年岡本太郎誕生。しかし、かの子と一平は、ともに強烈な個性の持ち主であった。天才的な個性のぶつかりあいは、一平の放蕩やかの子の兄晶川と母アイの死、実家の没落など、精神的にも経済的にも、支えを失ったことが彼女の神経を狂わせた。一平は、深く悔いて、それ以後、わが身を犠牲にしても、彼女の言うことは全て受け入れ、彼女を崇拝する若者との恋愛を許しただけでなく、何人かの若者が同居することまで許したという。この夫の了解のもとに行われた夫と年下の愛人との共同生活は瀬戸内晴美(現・寂聴)作『かの子繚乱』にも描かれている。常識では考えられない一平の保護のもと、完全な自由を獲得したかの子の才能は大きく開花した。しかし、その後も、長女、次男など、生後に亡くす不幸が重なり、かの子と一平は宗教に救いを求めるようになり、仏教に関するエッセイを発表するなど、仏教研究家としても知られるようになった。彼女が、小説家として実質的にデビューをしたのは晩年であった。生前の精力的な執筆活動から死後も続々と遺作が発表された。彼女の作品『老妓抄』(昭和13年「中央公論」に掲載)は、「年々にわが悲しみは深くしていよいよ華やぐいのちなりける」と歌った名作は、発表直後から、川端康成、石川淳など第一線の小説家の絶賛を浴び、文学史上、一二を争う短編小説の傑作と評価されている。『母子叙情』では、パリに残してきた息子太郎への尽きせぬ愛を綴り、1936(昭和11)の『鶴は病みき』では、自殺する数ヶ月前の芥川龍之介の姿を活写した。そして、翌年『夏の夜の夢』を刊行するが、1939(昭和14)年2月17日、脳充血で亡くなった。(49歳)。没後、一平によって『生々流転』、『女体開顕』という近代文学史上有数の傑作長編が発表される。『生々流転』では、人生は、肯定されるものであるという信念に従い、女性が主体となって生きる生き方を定着させた。彼女は、文学による女性解放の先駆者でもある。東京都府中市の多摩霊園に一平・かの子を祀った風変わりな墓がある。かの子の墓は観音像であり、観音菩薩像の台座には、岡本かの子と刻まれ、右隣りには、太郎の作った大阪万博のシンボルマ-ク太陽の像に似た一平の墓、と太郎の墓がある。
家族や夫婦の形にもいろいろあるが、本当にこの家族は、一般の家庭とは異質な家族であったようだ。我々は、直接は息子の故太郎氏のことしか知らないが、この岡本太郎も相当強烈な個性の持ち主であったが、家庭の中を垣間見れば、両親、特に母親かの子の影響などを強く影響を受けているのであろうことは察せられる。
(画像は、岡本かの子。朝日クロニクル、週刊20世紀より)
参考:
岡本かの子 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B2%A1%E6%9C%AC%E3%81%8B%E3%81%AE%E5%AD%90
作家別作品リスト:No.76、作家名: 岡本 かの子
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person76.html#sakuhin_list_1
井上篤夫の眼-岡本かの子
http://www.ainoue.com/ai/61-70/66kanoko.html
馬場孤蝶
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%A6%AC%E5%A0%B4%E5%AD%A4%E8%9D%B6
日本の墓:岡本かの子
http://www.hakaishi.jp/tomb/01-23.html
作家別作品リスト:岡本 一平
http://www.aozora.gr.jp/index_pages/person239.html
岡本太郎特集/岡本太郎の絵の観方について
http://www.new-york-art.com/Artist-tarou.htm