今日のことあれこれと・・・

記念日や行事・歴史・人物など気の向くままに書いているだけですので、内容についての批難、中傷だけはご容赦ください。

オペラ記念日

2004-11-24 | 記念日
今日(11月24日)は、「オペラ記念日」 歌劇の愛好家らが提唱。
1894(明治27)年11月14日、東京音楽学校(現在の東京芸術大学)奏楽堂で、日本で初めてのオペラが上演された。日清戦争での傷病兵のための慈善興業で演目はグノー作曲の『ファウスト』第1幕で、オーストリア大使館職員が出演し、ドイツ海軍軍楽隊長で『君が代』を編曲したフランツ・エッケルトが指揮をした。合唱は音楽学校の生徒が務めた。
ドイツ人音楽家、エッケルト・フランツ・フォン【1852~1916 (嘉永5年~大正5年)】 は、1879年(明治12)来日し、海軍軍務局・宮内省雅楽所に勤務。翌年宮内省で作曲した「君が代」を吹奏楽用にアレンジした。1883(明治16)年からは文部省音楽取調掛にも出向し、1899(明治32)年任期満了で帰国。昭和天皇ご大葬のときに演奏された「哀しみの極み」は彼の1897(明治30)年、英照皇太后崩御の時の作品だそうである。
シャルル・グノー(1818-1893)は19世紀後半のフランス・ロマン派歌劇の最も知られたオペラ作曲家で、出世作は歌劇『ファウスト』(初演:1859年3月19日パリ・リリック座)。また、「ロミオとジュリエット」のアヴェ・マリアは、バッハの「平均率クラヴィア曲集」の第一番ハ長調の前奏曲にグノーがメロディーをつけたものとして有名だそうである。
このゲーテの『ファウスト』は、年老いた哲学者ファウストが、知識を得ること、書物から知恵を得ることに失望し、毒を飲もうとした時、悪魔のメフィストフェレスが現れ、ファウストの魂と引き換えに、若さを与えようと申し出ることに始る。第一部は契約を結んだファウストとマルグリートとの悲恋、第二部ではファウストは危うく地獄に落とされそうになるところを救われる、といった物語であるが、このゲーテの『ファウスト』に触発され音楽化に臨んだ音楽家は多くいたそうで、グノーがオペラ『ファウスト』を書いたが、この時すでに何人かが音楽家化しており、ベートーヴェンもオペラ化を考え、ワーグナーも『ファウスト序曲』を作曲しているそうである。
この明治27年の『ファウスト』の上演以来、明治期からの日本のオペラの流れをたどってみると、 1903(明治36)年7月、東京(とうきょう)で、グルック作曲「オルフォイス」が、ピアノの伴奏によって全曲日本語で上演された。東京音楽学校(今の東京音楽大学)の学生等などの歌劇研究会によるもので、これが正式な日本語による初の歌劇上演とされている。又、1906(明治39)年、東西の音楽と歌劇の研究・保存・創作・演奏を目的結成された楽苑会第1回公演が、神田YMCAにて、小松耕輔作詞作曲のオペラ「羽衣」が上演され、これが日本初の創作オペラといわれている。
1912(明治45)年、帝劇がロンドンから歌劇の指導者としてジョバンニ・ヴィットリオ・ローシーを招聘する。10月16日、帝劇、ローシー指導による最初の公演として、無言劇「犠牲」(ローシー作)を上演している。1916(大正5)年6月、ローシーとの契約を終え、帝国劇場歌劇部解散。同年10月、帝劇を去ったローシー夫妻により、喜歌劇専門の小劇場である赤坂ローヤル館が組織され、「天国と地獄」を上演。その後、大正期に入ると和製ミュージカルが人気を博した後、帝劇、ローヤル館と続く流れの中、ローシーの元でレパートリーを身につけた者たちが分派?、相次いで浅草に進出し、オペラ・オペラッタの上演を定着させたことで、浅草オペラがはじまった。浅草で上演した演目も、帝劇、ローヤル館で初演されたものが少なくなかったという。そして関東大震災直前まで栄える。その浅草オペラで育った故藤原義江などが、昭和期のオペラを支えて来て、現在に至っている。
明治期からの日本のオペラの流れはこのようになるようだが、今流行のミュージカルなどと比較すると、私のような者には、日本の伝統芸能歌舞伎と同様にどうも敷居が高くて馴染めない。ま、こんな「オペラ記念日」に、オペラのおさわり程度でも勉強してみようかな・・・。
(上画像は、左:ゲーテ。右:本、ファウスト(一)高橋義孝 訳:新潮文庫。)
参考:
ヴィデオディスクでオペラ入門
初心者向け。用語集、黎明期から現在までの歴史、作曲家、作品の解説。
http://www.d1.dion.ne.jp/~t_imac/
MIDIを使ってオペラのあらすじを説明しています。MIDIの使用はフリー。
映画「世界の中心で、愛をさけぶ」で流れていたアヴェ・マリア(バッハ=グノー)のMIDIが聞けますよ。
http://www.geocities.jp/music_yomoyama/
Academy of Opera & Operetta
オペラやオペレッタのあらすじをヴェルディ、プッチーニ、ワーグナー等の作曲家別に紹介。
http://www.and.or.tv/operaoperetta/
AI's OPERA NOTE - オペラ史、様式、声楽家の歌唱法、声域等の基礎知識。
http://www3.cty-net.ne.jp/~kato543/
浅草オペラ比較年表
http://www32.ocn.ne.jp/~tsuzu/asakusaopera-nenpu.html