2023/04/17
私レベルでは練習曲といったら
ハノン、ツェルニーを
思い浮かべますが
ショパンの練習曲(エチュード)は
コンクール課題曲ですから
さすが難易度が高いですね。
ショパンコンクール予備予選のときは
練習曲から3曲を演奏となっています。
今、青柳いづみ子さんの
『ショパン・コンクール 最高峰の舞台を読み解く』
を読んでいます。
あれ、それはこの前に紹介した本?
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが
その前に出された本なのです。
2015年の第17回コンクールのことを
メインに書かれています。
さて、この本もエピソード満載で
むしろ、こちらのほうが興味深いかもしれません。
青柳いづみこさんが2015年に実際に会場で
予備予選を聴いた印象によると
「それでもショパンコンクールなのだから練習曲(エチュード)くらいはみな完璧に弾くだろうと思っていたが、腕達者で知られるロシア、中国、韓国のコンテスタントでも意外にほころびが目立った。」(p.15)
へえ、ショパンコンクールに出るような人でも
あんがいつまずくものなんだなあと
意外に思いました。
まあ、コンクールという緊張感のなかで
普段と違うピアノで
弾かなくてはならないとしたら
ミスが出たとしても
仕方ないと思いますけどね。
「実に43名が弾いた「三度」こと『作品25-6』も、ピアノ教師の耳で聴くと、きちんと弾けていたのは12~13名だろうか。三度がずれたり、上行から下行で切り返しそこねたり、両手で下行する箇所で左が遅れるケースが目立った。この練習曲は、右手1本で降りてくるスケールが難関で、何人ものコンテスタントが失敗したが、
この部分を両手で弾いた人が複数名いた。審査員席はステージの真正面で非常によく見えるため、ロビーに出てきた海老彰子が〈あそこを両手で…〉と絶句していた。」(p.16)
つまり右手だけで弾くべきところを
右手、左手、右手、左手と交互に弾いて
左手の助けを借りていたということですよね。
「予備予選の審査に当たったイヴ・アンリが『作品10‐1』と『作品10-2』という最も難しい組み合わせを完璧に弾いたのはロシアのドミトリ・シシキン1人だったといっていた。」(p.15)
ショパンの練習曲中、難易度が高いのは
『作品10-1』、『作品10-2』
『作品25-6 』、『作品25-11』あたりと
いわれています。
私はドミトリー・シシキンという人を
知りませんでしたが
このコンクールでは6位になっています。
2018年 、ジュネーブコンクールでは 1位
2019年、チャイコフスキーコンクールでは
2位で、藤田真央さんと同位でした。
これを知ると俄然
演奏を聴きたくなりますね。
動画がありました。
2015年のショパンコンクール時のもので
『作品10‐1』と『作品10-2』を
弾いています。
Dmitry Shishkin – Chopin Piano Competition 2015 (preliminary round)
手の大きな人と言われているそうですが
大きいだけでは弾けるものではありませんね。
さて、それでは2021年の18回大会のときに
日本勢はこの曲を弾いたのだろうか
というのが気になってきます。
反田さんが1次予選で弾いていました。
KYOHEI SORITA – Etude in C major, Op. 10 No. 1 (18th Chopin Competition, first stage)
角野隼斗さんも1次予選で弾いています。
6:30あたりからです。
HAYATO SUMINO – first round (18th Chopin Competition, Warsaw)
2人ともクルクルとよく動く指で
難なく弾いているように見えますね。
どの練習曲を選ぶかで
自分は難易度の高い曲を弾けると
アピールができるのだそうです。
他の日本人コンテスタントは
まだ調べてありませんので
どなたかが弾いているかもしれませんね。
青柳いづみこさんの
2015年のコンクール当時の本
『最高峰の舞台を読み解く』も
とても面白いので
いずれ紹介したいと思います。