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はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

『最期はひとり』蔵書の処分について

2025年03月26日 | 
2025/03/26


『最期はひとり 80歳からの人生のやめどき』
上野千鶴子×樋口恵子対談
より抜粋させていただきます。


〈蔵書の処分は早め早めに〉

樋口:最近は大学とか自治体の図書館も
寄贈をお断りするって。
自分の全集的な本はすべて処分した。
自宅にある本は資料的な本が多いので、
今後使えそうな資料は興味のある人に
持っていってもらって、あとは廃品回収かな。
(p.100)

上野:私は書庫が家一軒分あるので、
どうしようか考えあぐねている。
これはつらいと思ったのは、
加納実紀代さん(女性史家)の蔵書の
寄贈先を探したとき。
ジェンダー・リサーチライブラリーを
新設したばかりの大学に声をかけたら
断られてしまった。

上野さんが亡くなったら、
上野図書館を作ろうという話が持ち上がるけれど
すぐに持て余される。
そういうことが不可能だと見極めたので、
デジタルアーカイブ「ミニコミ図書館」を設立
WANでpdf化しています。(p.101)


・・・・・・・・・・・・・・・・

WANというのは
上野千鶴子さんが理事長を務める
NPO法人ウィメンズ アクション ネットワーク
のこと。

こうして残さないと
女性たちの活動の歴史的な記録が
消えていってしまうのです。



私がこの蔵書の処分に注目したのは
我が家にも大量の本があるからなのです。

セカンドハウスを借りたのもこのため。






他人事ではありません。
私にはこの本の山が大きな懸案でした。

樋口恵子さんも84歳で家を建て替えるときに
本はだいぶ処分したらしいのですが
それでも書棚はいっぱいで
段ボール箱も積み上げられたままだそう。

ずっと大事に思って来た本は
気持ちが入っているだけに
簡単に捨てられるものではありませんね。

ただ、管理を考えると
数が多ければ多いほど大変になってきます。

今はありがたく本を寄贈してもらう
時代ではないんですね。

置き場の広さの問題もあるのでしょうが
図書館の司書さんたちも1冊1冊
データベース化するのは
並大抵のことではないのでしょうね。




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やめどき さまざま

2025年03月25日 | 
2025/03/25


上野千鶴子さんと樋口恵子さんの対談が
面白い本でした。

『最期はひとり 80歳からの人生のやめどき』



この本を書いた頃、樋口恵子さんは90歳
上野千鶴子さんは16歳年下の74歳。

年上の樋口さんにも遠慮せずに
反論するのが上野さんらしく
ときどき笑ってしまいます。

樋口さんは鷹揚なのか
年上の包容力なのか受け流してますね。

お互いに
敬意を払っているのでしょうね。

樋口さんはユーモラスな方で
自虐なのか
こんな話がおもしろかったのです。


・・・・・・・・・・・・

〈音楽会のやめ時は〉
海外までオペラの追っかけで行っていた。
仲間がいたのね。
トイレが近いので落ちついて見ていられないの。
1時間の座位が保てなくなると
仲間との観劇も消滅しました。 
(p.85)


国内コンサート
行ったのはいいけど帰りが大変。
ブラボーが始まる寸前には席を立って
外に向かわないとダメ。

でないと、長蛇の行列で
永遠にタクシーを待つことになるでしょう。
帰るエネルギーも失っちゃうから。

優秀な尿漏れパッドのおかげで
趣味のやめ時が伸びました。

・・・・・・・・・・・・・・・


私もコンサートによく行くだけに
いろいろわかるな~(笑)

トイレ問題もわかりますね。
そういう女性が多いため
女性トイレは始まる前と
休憩時間はすごい行列!

早く並ばないと順番が来るまで
15~20分かかりますからね。


ブラボーの前に席を立つというのも
わかります。
私も実はそうしたい気持ちがあります。

でも、演奏者に礼を尽くしたい気持ちもあって
カーテンコールがすべて終わったときには
席を飛び出し、足速に駅へ。

私は普段タクシーには乗らないけれど
電車でも早めに駅に着いて
ホームに立たないと電車は満員で
立錐の余地がなくなります。

タクシーも列に並ぶのが遅くなったときは
長い行列が進まなくて悲しかった。

優雅そうに見えるコンサートの観客たちも
裏にはこんな事情があるのですよ。


この本は人生のやめどきが
さまざま書かれていて
生き方の示唆も含めて
先輩方の話がとても参考になりました。

まだ紹介したいので、次回に書きますね。



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和田秀樹著『90代になっても輝いている人がやっているトシヨリ手引き』 

2025年03月13日 | 
2025/03/13


今日は20℃を超えて暖かくなりました。

沈丁花がいい香り



精神科医の和田秀樹氏は
高齢者の健康や生き方について
多くの本を出版していますね。

35年間、高齢者専門病院に勤務して
診たお年寄りの数は6000人を超えているとのこと。

多くのお年寄りの最期も立ち合ったが
悔いを残して去った方が多かったそうです。


〈人生の最期で後悔したこと〉

●もっと好きなことをしておけばよかった
●もっといろいろな経験をしておけばよかった
●もっと自分の楽しみを優先すればよかった
●もっと周りに、自分の本当に気持ちを伝えればよかった
●お金を自由に使っておけばよかった
●医者の言うことを聞きすぎなければよかった


お年寄りの願いを妨げているものは
「年寄りとはこういうものだ」
という思い込み。

「年寄りだからそんなことをしてはいけない」
という家族からの抑制もあるそうです。

「わがままがおトシヨリを元気にする」
と書いています。

勝手気ままに生きるのが一番よいそうで
おススメなのは下のようなこと。

●自分で稼いだ金は残さない。使い切る
●「年甲斐もない」ことをどんどんやる
●セクシャルなことを堂々と楽しむ
●好きな食べ物を我慢しない
●がんになったら放っておく
●嫌いな人間とはもう付き合わない
●納めた税金は、取り戻す


なんか笑ってしまいますね。

お年寄りにとってかけがいのないものは
時間」なので
死ぬまでにやりたいことをやりなさい。
やり遂げなさい、だそうですよ。

和田医師が
多くの年寄りを診て思ったことは
何もしないでいると
ヨボヨボになる時期が早く来てしまうということ。


なるほどと思うこともあって
動けるうちに動いて
好きなことをやって長生きしましょう。




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本買取り査定の結果

2025年02月05日 | 
2025/02/05


1月下旬に買取りに出した本の
査定結果がメールで来ました。




段ボール2箱分の本は
数えずに出しましたが
計150冊だったそうです。


査定金額は全部で 1,454円 !

通常買取商品 書籍111点    1,277円
リサイクル買取商品(1円)  39点    39円 
キャンペーン金額 138円 
計1,454円 。

値段のついた本は1冊づつ書名と値段が
明記されていました。
数が多いのに、丁寧なことです。

もっとも高かった本は
夫が出した本で
定価2,750円と定価6,160円の本が
 それぞれ90円づつ。
次が70円が2冊。

どれも学術書です。

私の出した本で最も高かったのは5円。
もともと新書が多かったのです。
8冊で計40円。

買取り基準に満たない本は39点で39円。
それでも1冊1円の値段がついてます。

発行年は10∼20年たっていますが
きれいで状態が良かった雑誌類でした。
雑誌は買い取らないようですね。

査定金額にかかわらず承認する
という項目にチェックを入れていたので
そのまま銀行口座に入金となります。


前に実店舗に32冊持っていったときに
全部で935円ほどだったので
金額には期待はしていませんでした。

でも、あの立派な本たちが5円、10円の
世界なんだなと思ってしまいますね。

まあ、読まなくなった本の処分が
できたことで良しとしましょう。


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捨てるより、好きなものに囲まれて

2025年01月31日 | 
2025/01/31


樋口恵子著『老いの地平線』を読みました。

2023年、評論家の樋口恵子さんが
この本を出版した時は91歳でした。

年相応の衰えもあるようですが
元気にお暮らしのようです。

興味を惹かれる内容もあり
参考になることもあります。

その中のひとつ
「捨てるより、好きなものに囲まれて」
という章から一部抜き書きして
引用させていただきます。


・・・・・・・・・・・・・・・

「捨てるのはご勘弁」

今でも洋服はひと部屋分ほどあります。
私に似たサイズの人が周辺にいますので、
洋服はそういう方々に譲ったりして
手放すことはいたします。

でも捨てることはいたしません。
というより、捨てる能力がないのです。
だから、捨てる方を批判する気は
まったくございません。
むしろ「捨てられるなんて偉いなあ」
と尊敬しています。

そして洋服以上に手放せないのが本です。

84歳で家を建て替えたとき、
ある程度は整理しましたが
いまだにどんどんたまるばかり。

歴史的に価値のある本も
たくさんあるのですが、
あまりにも量が多いので
探すこともできません。

そういう意味で「もったいない」
という気持ちもどこかにあって、
なかなか手放せないのです。

私なんかよりよっぽど学究的な
物書きの方々だって、みんな涙をのんで、
どこかで自分の資料と惜別している
…そう思ってはみても、
しょうがないですよ、これは。

私亡き後はもうガバッと
捨てていただくしかありません。
(p.115)


・・・・・・・・・・・・・・・・


捨てることって、本当に大変です。
でも捨てられなくたって
いいのではないかと。

私自身は何でもとっておくタチ
だったのではないかと最近思ったのです。

それまではけっこう捨てるほうだと
思っていました。

母が生前揃えてくれた着物を
1度も着ないで昨年やっと処分したことは
このブログにも書きました。


20代に着ていた服がまだとってあります。

もう絶対に履かないであろう
足が痛くなるパンプス。

昔、夢中になった趣味の品々。

化粧品やシャンプーの小さな試供品
紙袋、封筒、包装紙、紐、リボン
もらったタオル、ハンカチ
寿司折についていた醤油やワサビの袋まで
捨てないで取っておくのです。

そういう雑多なものでいっぱいになって
あるいは何か月、何年もたってしまって
「これはいらなかった」と
気づいて捨てるのです。

なぜ、すぐに
「これはいらない」と捨てないのかしらね。




それに昔読んだ
ある整理収納アドバイザーの方の言葉が
心に残っていました。

「捨てることはとても大変です。
でも自分亡き後、物の後始末を
子に押しつけてはいけない」

この方は片付けでいろいろな家庭を見て
そして
自分の親の荷物の後始末をしてみて
実感したのでしょう。

「自分の物を捨てるのはイヤだ。
自分が死んだら好きなようにしてくれ」
というのは無責任だというのです。


この言葉を読んだとき
本当にそのとおりだと思い
次の代に迷惑をかけてはいけない
甘えてはいけないと思ったのです。

とにかくいらない物は捨てて
減らさないと。

でも、その言葉が足かせになっていた
ことにも気づいたのです。





樋口さんの本を読んで
少しだけ気が楽になりました。

何の役に立つのかわからない
ごちゃごちゃした品々があっても
それはそれでいいのではないのか…。

昔、愛着を持ったものだったら
もう少し手元に置いてみようと思います。

時間がたって本当に
心が離れていることに気づいたら
捨てるのは、そのときに。





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本の買取りをネットオフに頼んでみた

2025年01月28日 | 
2025/01/28


私は、本は極力買わずに
図書館で借りるようにしています。

だからあまり増えることもありません。

図書館で借りてとても感銘を受けて
手元に置きたいと思った本でも
後から買ってみると
もうほぼ読みかえさないと
気づきました。

1回熟読すれば充分なのでした。

集めて置いておくという趣味は
私にはないようです。

(三島由紀夫に関しては
この限りではありません。
ボロボロの黄ばんだ本も
置いてありますけどね。)

蛇足ながら
稀少かと思って取ってある本
この週刊誌は自決後の12月に出た本。
週刊誌がまだ100円だった時代。



さて今、私の持っている本は
幅90㎝、高さ180㎝の本棚2つ分。

この本棚からもう読まない本を
選別しました。

我が家のマンションでは本は24時間
ゴミ置き場に出せます。
だからゴミ置き場に出してしまえば簡単。

でも、やっぱり
資源ゴミになってしまうのはいささか残念。

どの本にも思い入れがあります。

熱心に読んだ本や、いいと思った本、
時間は経っているけれど
汚れのないきれいな本は
誰かに読んでもらいたいのです。

メルカリにはときどき本を出品しますが
写真を撮って出品するのも
それなりに手間はかかり
発送にも気も使います。

それで今回はネットオフに
頼んでみました。

「買取りを申し込む」をクリックすると
指定した日に配送用の段ボールが届きました。

この段ボールの数は自分で申告します。

少し大きめの段ボールで
1箱にコミックなら100冊入るそうです。

私はコミックはなかったのですが
何冊あったのかは数えていません。


段ボールの中には本人の証明書
(運転免許証、マイナンバーなど)のコピーと
プリントアウトした送付添付書に
自筆サインを書いたものをいれました。

そして指定した日に佐川急便に
集荷に来てもらいました。
発送料は無料です。




段ボールを3つ頼んだのですが
2つで足りました。

本を入れたダンボールは重くて
自分では到底持ち上がらず
床を引きずるのが精一杯。

取りに来てもらった翌日には
メールで受付け通知が来て
査定までは9∼12日かかるとありました。

査定がいくらになったかは
またご報告します。

私は金額のことは期待してませんが
本が欲しい人の手に届いて
有効活用できれば
うれしいと思うばかりです。




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桐野夏生著『オパールの炎』

2025年01月26日 | 
2025/01/26


桐野夏生さんは好きな作家。

強くて、小説がおもしろくて
女の味方というところが好き。

『オパールの炎』を読みました。

中ピ連の榎美沙子さんの話です。

昔、話題になった中ピ連のことは覚えてます。
でも、ずっと名前を聞かないし
あの人はどうしたのかしら?

私が覚えている榎美沙子さんの
メディアでの扱われ方は
主張をまともに受け取られず
「冷笑」だったと思います。

榎さんが「中絶禁止法に反対し
ピル解禁を要求する女性解放連合」
(中ピ連)を結成したのは1972年。

過激なパフォーマンスで注目を集め
1977年には女性党を結成し
参議院選に出馬。

ひとりの議員も当選させることなく
榎さんは「専業主婦になる」と
言い残して姿を消しました。

その後消息はわからず。




榎さんのピル解禁運動から
約30年後の1999年に
日本でやっとピルが承認されました。

2023年に日本で承認された経口中絶薬は
88年にはフランスで承認され
世界65以上の国と地域で
使用されているにもかかわらず
日本では35年もかかったのです。

なぜ日本では女性の体を守ることに
そんなに腰が重いのか。

昨今のニュースを見るにつけても
未だに変わっていない気がします。

そんな日本で50年も前に意見を言った
榎さんはあのような扱われ方を
してしまったけれど
至極真っ当な意見だったと思うのです。

今ならSNSで自分の意見を発信できますが
当時、後ろ盾のない女性が1人で
意見を言うとしたら
どういういうやり方なら
よかったんでしょうね。




物語では、本人は消息不明ということで
ノンフィクションライターの女性が
彼女を知る人から話を聴く形で
進んでいきます。

最後まで読んでいって
ああ、桐野さんは榎さんの無念を
晴らしたかったのだなと悟りました。


〈「榎さんが主張していたことは正しかったのに、実際にピルが解禁されるまでものすごく時間がかかった。なぜ榎さんが潰されたのか。復権させたいというか、榎さんになり代わって社会に復讐したい思いがありました」と桐野さんは明かす。〉
(毎日新聞 記事より)


ほんとうにそのとおりだ。

#Metoo運動もあり
自分の身体は自分で管理するという
女性の権利がやっと注目されるように
なってきました。

50年もたっているけれど
彼女の雪辱を晴らしたいと
桐野さんはこれを書いたのでしょう。

桐野さんはやはり頼もしいなと思います。



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2024年に読んだ本 後編

2024年12月30日 | 
2024/12/30


2024年に読んだ本の後編です。
今年は40冊になったので
前編、後編と分けました。


21.『説教したがる男たち』 レベッカ・ソルニット ハーン/小路恭子訳 左右社
ソルニットはアメリカの作家、歴史家、活動家。
今や辞書にも載っている「マンスプレイニング(manとexplainの合成語)」を世に広め、 #MeTooへと続く大きなうねりを準備するきっかけのひとつとなったソルニットの傑作。いろいろ考えさせられます。

ほとんどの暴力の加害者が男性なのはどうしたことだろう。
概して女性は男性に比べて驚くほど暴力性が少ないことに気づきさえすれば、暴力が一体どこから来るのか、それについて私たちは何ができるのか、もっと生産的に理論化できると思う。

22.『目の見えない人は世界をどう見ているのか』 伊藤亜紗 光文社新書

東工大教授の伊藤亜紗さん。以前、『手の倫理』を読んでとても興味深かったので、この本も読んでみました。
見える人より、空間を大きく俯瞰している。
見えない人の住まいは乱雑さの度合いが低い。余計なものがなく、散らかっていない。物がなくなると探すのが大変だから。
目に見えない人は、メモが取りにくいので、多くのことを記憶している。
目の見える人が見てわかることを記憶で補っている。

23.『彼女たちの三島由紀夫』 中央公論特別編集  中央公論
三島と交流のあった女性たちが見た三島由紀夫。現実の三島はどうだったのか。
(芳村真理の談)短気で怒りっぽいと聞いていたが、そんなところは全然見受けられず、やさしい、子供っぽいところのある、親しみやすい感じ。これが鮮やかな演技だったとすれば、それこそ真の俳優というべきだろう。といっても女の目にはなんとなく可愛げのある演技者ではある。彼には母性本能をそそるなにものかがある。
ボデイビルを一生懸命やるなどひたむきな少年を感じさせる。それでいて、こうしなさいと言われたら女はこうしなければならないような恐ろしさも持っている人。
有吉佐和子との対談もお互いに負けていなくて、やりとりが面白い。 

24.『三島由紀夫論』 平野啓一郎 新潮社
読みごたえのある良質な本でした。
平野氏が作家を志したのは、三島の「金閣寺」を読んだから。
『三島がなぜあのような死に方をしたのか?』という問いが根底に流れている
三島に深い理解のある方が「結局、引っ込みがつかなくなったんでしょう」と端的に指摘されたことが忘れられない、と書いています。
あまりにも分量が多い本なので、冒頭のこれくらいしか書けないけれど。

25.『50代からの大人ひとり旅』 地曳いく子 扶桑社
女一人旅で選ぶ旅館、ホテル。服装、持ち物など参考になりました。

26.『なんかいやな感じ』 武田砂鉄 講談社
砂鉄さんが育ってきた子ども時代を振り返る。
「変わってしまった自分がいる。いや、変わってしまったのは、自分でなく環境、社会のほうかもしれない。自分の身近な感覚や小さな経験から、社会問題へと繋がっていく。」

27.『女ことばってなんなのかしら』 平野卿子 河出書房 
平野さんはドイツ語翻訳者。興味深くてブログでも3回に分けて書きました。
女言葉は「性別の美学」の申し子。
「男らしい」は無条件にほめ言葉であり、女らしさは過剰なときに批判される。男らしさは足りないときに批判される。「男らしくない」と言われたら完全な否定。「女らしくない」と言われたら活発さのイメージ。 

28.『加藤和彦 ラストメッセージ』 加藤和彦 文藝春秋
曲がヒットして以来、贅を尽くした生活をする。
「一人で行くと普通はあまりいい席に通されないことが多いけど、でも、僕は然るべきコツを知っているから一番よい席に通される。(笑)
 フレンチの三ツ星っていっても大きいところじゃないから、いちばんよい席っていうのは客が全員見える席。逆にいうと全員から見られる。そこで一人座って睨みをきかせながら食事する(笑)」

29.『キンノヒマワリ ピアニスト中村紘子の記憶』 高坂はる香 集英社
音楽ライター高坂はる香さんの本。
「芥川賞作家の庄司薫と知り合う。紘子がプレゼントしたレコードに入っている曲を庄司氏は次々と弾いて聞かせてくるので、彼女は口では〈上手、上手〉と言いながら、内心唖然とした。庄司氏が、この時、彼女に曲のよい表現を教えるつもりで弾いていたと判明して、なんて人だろうと思ったという。」
庄司氏も無邪気というか、空気が読めない系というか…しっかり者の紘子さんにはそこがよかったのかも。

30.『クロワッサン』雑誌 2024年、4/10号
載っていた記事の「言い換えテクニック集」が参考になりました。雑誌ですがここに載せました。 

31.『どこか古典派』 中村紘子  中央公論社
『キンノヒマワリ』に続いて読んだ本。
1999年、日本経済新聞に連載したコラムを中心にまとめたもの。 
昔読んだことがあったが、今読むと、また違った印象を受けました。

32.『指先から旅をする』藤田真央  文藝春秋
エッセイ集。彼は読書家だそうで、文も書ける人なんだなと感じた。
「ピアノの前にいなくても、ずっと頭の中で演奏していますね。音を音として認識できるようになったくらいの小さい頃から、当たり前のようにいつでも音が鳴っている状態です。」

33.『欧米人とはこんなに違った 日本人の体質』 奥田昌子 講談社ブルーバックス 2016年
奥田昌子さんは京都大学卒業の医学博士。内科医。
病気にもお国柄がある。大抵の病気には複数の遺伝子が関係してくる。遺伝子にはスィッチがあって、多くの環境要因がスィッチを切ったり入れたりすることで、遺伝子の作用を調節している。
これはためになったので、いつかブログに書こうと思います。

34.『日本人の遺伝子から見た病気になりにくい体質の作り方』奥田昌子 
講談社ブルーバックス 2022年
続けて読んだ奥田昌子さんの本。
日本人を含む東アジア人は内臓脂肪がつきやすい。脂肪はアディポサイトカインと呼ばれるさまざまな物質を作っている。内臓脂肪が作る物質の中に高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、乳がん、大腸がんなどの発生を促すものがある。

35.『音楽と生命』 坂本龍一X福岡伸一 集英社
2017年、ニューヨークに住んでいた二人の対談集。NHKEテレ「スィッチインタビュー」で放送された。アルバム「async」についての話題から。
福岡:世界はサウンド(S)とノイズ(N)だけの空間で、行ってみれば夜空の星々のようなものです。人間はノイズの中のめぼしい点、つまりシグナルを結んで、星座を検出するわけで、それが科学の営みだということ。

坂本:音楽の場合、自然状態である音という素材を使って、何らかの構築物を作っていくというところは少し数学に似ているんです。、例えば、ベートーヴェンの曲もよく聴けば、レンガ職人のように一つひとつの音をというブロックを積んで音楽を作っていたんだなということがわかります。
図に意味を見いだしてノイズを排除していく方向で、近代以降は音楽に関してもどんどんコントロールする方向へ人間は進んでいった。

36.『人生が整うマウンティング大全』 マウンティングポリス 技術評論社
自虐も謙遜も感謝もすべてのことがマウンティングになる。マウントさせてあげる術もある。

37.『ひとり暮らし』 谷川俊太郎 新潮文庫
谷川俊太郎氏の逝去の報を受けて読んだ本。
谷川氏の詩は素晴らしいのに、エッセイとなると…。

38.『袴田事件 神になるしかなかった男の58年』 青柳雄介 文藝春秋」
ブログで紹介しました。

39.『三島由紀夫とは何者だったのか』 橋本治 新潮社
橋本治氏の書いたものを初めて読んだが、諧謔に満ちた語り口が面白かった。

〈三島の自宅の写真などで見て、「へんな趣味だな!」と思っていた。 
生きている内からその存在が”伝説“であるような人は、存在自体が「へん」なのである。自身を隠す煙幕として数々の”三島伝説”を使っていた。三島由紀夫が自分の生きている世の中をそれだけ嫌いだったということだろう。〉

40.『世界一孤独な日本のオジサン』岡本 純子  角川新書
日本のオジサンが危ない。「孤独」は日本の最も深刻な病だ。
孤独のリスクは、1日たばこ15本を吸うことやアルコール依存症であることに匹敵。運動をしないことや肥満を上回り、孤独な人は早死にするリスクがそうでない人に比べ50%も高い。
日本のオジサンは世界一孤独だ。寂しく、不機嫌なオジサンにならないために、今から何をしておくべきか。人生後半戦を豊かに生きるために、30~50代のうちから読んでおくべき本。 

・・・・・・・・・・・・


書きつけ記録を読みかえしても
興味深かったと思う本が多いですね。

読書は好きですが、生活のメインには
しないようにしています。
そうしないと生活の中でやるべきことが
おろそかになってしまうので。

あくまで時間の空いたときの楽しみとして
本を読んでいます。

でも、本好きでよかったなと思います。





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2024年に読んだ本のまとめ 前編

2024年12月28日 | 
2024/12/28


今年1年を振り返って読書記録をまとめました。

私は本を読むときには
傍線を引きたくなるような文章を
パソコンに打ち込みながら読んでいます。
(実際の本には線を引けないのでね)
だから、ほぼ精読になるし時間もかかります。

ただ、図書館に返してしまった本でも
書きつけが記録となって重宝するので
これはやめられません。

今年はその書きつけが
A4で122枚分にもなりました。


1.『続・窓ぎわのトットちゃん』黒柳徹子  講談社 
2023年の読書記録にも最後のほうに書いていますが、1月になっても熱心に読んだので、ここに載せておきます。とてもおもしろく読みました。

2.『イコトラベリング1948-』 角野栄子 角川書店 
ブラジル移民として海を渡った角野栄子さんの若い頃の記録、ブラジル人の知合いがいた私はブラジル生活に興味を惹かれました。

3.『人を動かすナラティブ』 大治朋子 毎日新聞出版
毎日新聞編集委員の大治朋子さんが書いた本。ナラティブとは物語のこと。
この本は新しいものの考え方を教えてもらった本で、熱心に精読しました。

4.『ムーンナイト・ダイバー』天童荒太 文春文庫
天童荒太さんの本は好きですが、テーマはよいとしても、しっくりこなかった本。

5.『「作家」と「魔女」の集まっちゃった思い出』 角野栄子 角川書店
角野栄子さんがテレビで紹介されたことがあり、ライフスタイルやファッションにも興味を持ちました。角野さんの小さい頃からの思い出話。

6.『津波の霊たち 3.11死と生の物語』 リチャード・ロイド・バリー 早川書房 
児童を避難させる義務を怠って津波に呑まれてしまった大川小学校の裁判記録も載っている。3.11がやってくると、この本を最初に読んだときの衝撃的な気持ちを思い出して、再度読み返した本です。

7.『望まない孤独』 大空幸星  扶桑社新書425 
無料チャット相談「あなたのいばしょ」代表の大空幸星さん。
恵まれない家庭で育ったが、高校時代によい出会いがあって教育を受けることができ、社会貢献活動をしていた彼。
そんな彼が衆議院選で自民党から出馬したときは、私もあの大空さんが自民党の政治家に?と驚いたものです。与党でなければできないことがある、と考えるのはそのとおりだと思いますが、裏金問題に揺れる自民党から出馬したことがなんとなく腑に落ちなかった。

8.『BLANK PAGE 空っぽを満たす旅』 内田也哉子 文藝春秋
おもちゃもほとんど与えられずに育った内田さんにとって、絵本の物語の中に入って空想するというアソビは必要不可欠だった。谷川俊太郎さんと親しいとわかったのもこの本から。

9.『男らしさの終焉』 グレイソン・ペリー/小磯洋光訳  フィルムアート社
著者はトランスヴェスタイト(異性装者・いせいそうしゃ)。文化的に自らの性役割に属するとされる服装をしない。ロンドン芸術大学の学長。
この本で新しい見方に出会い、とてもおもしろかった。

10.『間取りのレシピ 100』 小谷和也 (株)エクスナレッジ 
最上階の角部屋は中住戸より3倍以上暑い、最上階、1階、角部屋は熱損失が大きい。オークやチークなどの広葉樹の硬い木は冷たい。杉の木は床材におススメ…などを知った。

11.『話す力』 阿川佐和子 文春新書
無口な人は英語でも無口。話すべきことは相手の話の中にある。相手の話の中のひとことを捉えて、自分の話をする。聞く側が、話す側の気持ちに寄り添って話を展開していく…など。

12.『書いてはいけない』 森永卓郎 三五館シンシャ 
財務省では、増税を「勝ち」といい、減税を「負け」という。増税を実現した官僚は高く評価され、その後、出世して、最終的に豪華な天下り先が用意される。
「日本の財政は世界最悪の状況であり、消費税を中心とした増税を続けていかないと、次世代に悔恨を残す」という根拠のない神話が作り上げられた。消費税増税が経済に致命的な被害を与えた。
第3章の「日航123便はなぜ墜落したか」が私には衝撃的だった。それ以後、日航機事故関連の本を読むことになった。

13. 『日航123便墜落の新事実』 青山透子 河出書房
森永さんの本の中で紹介されていた青山透子さんの本。この本も私には衝撃的だった。ブログで紹介。

14.『524人の命乞い』 小田周二 文芸社
日航機事故で家族を失った筆者もこの事故を科学的に検証している。

15.『日航123便 疑惑の始まり』青山透子 河出文庫 
青山透子さんの別の1冊。

16.『「山上徹也」とは何者だったのか』 鈴木エイト 講談社α新書 
この本のことはブログに書かなかったけれど、思うところはたくさんあった。
彼の境遇を思うと胸が痛い。人は家庭を選んで生まれてくることはできない。
鈴木エイト氏の言葉「なぜ彼を追うのか。〈彼のような悲しい存在を再び社会が生まないため〉ということに尽きる。当事者がアクションを起こさない限り事態が動かなかった。
政治家は破壊的カルト団体への規制を行い、その団体の陰で苦しむ被害者、そしてセカンドジェネレーションたちの救済に目を向けなければならない。」

17.『運動脳』 アンデシュ・ハンセン サンマーク出版
脳にとって最高のエクササイズは、運動である。身体を動かすと、気分が晴れやかになるだけでなく、あらゆる認知機能が向上する。記憶力が改善し、注意力が研ぎ澄まされ、創造性が高まる。それどころか知力にまで影響が及ぶ。

18.『身近な植物の図鑑』 鈴木純 角川書店
街中で見かける雑草や街路樹、野菜の話。鈴木純さんの観察記録が楽しい。

19.『安井かずみがいた時代』 島崎今日子 集英社
加藤和彦の映画を見に行ったことから、安井かずみを読み始めた。この本もたいへんに面白かった。ブログにも詳しく書きました。

20.『カサンドラ症候群』 岡田尊司 角川新書
パートナーが安全基地とならないことで、愛着の仕組みがうまく働かなくなり、心身にトラブルが起きている状態である。愛着の機能不全の問題。
心配性と世話焼きで、自分が心配しても始まらないとわかっていても、先のことまで取り越し苦労をしたり、最悪の事態まで考えて悩んでしまうところがある。こうした行動は「強迫的世話」とも呼ばれ、世話や心配をしないではいられないという特性である。 
この強迫的世話は、子どものころ、不安定な親の顔色を気にしながら、子どものほうが親をなだめたり、機嫌を取ったりした人によく認められる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ここまででやっと半分です。
これを書くのに4~5日かかりましたよ。

長くなるので後半は次回にします。




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青柳雄介著『袴田事件 神になるしかなかった男の58年』

2024年12月14日 | 
2024/12/14


青柳雄介著の
『袴田事件 神になるしかなかった男の58年』 
を読みました。

袴田事件のドキュメント映画を
 見に行ったあとに
もう少し詳しく知りたくなって
読んだ本でした。

この本は2024年8月20日発行で
無罪判決が出る前に出版されています。

NHKスペシャルで
『雪冤の歳月 ひで子と巌 奪われた58年』
も放送されましたね。




本の冒頭に巌さんが実兄に送った手紙が
載っていました。

巌さんは私が思っていたより
ずっと考え深く
もののよくわかった人だったと
感じたのです。


(1973年1月26日、袴田巌から兄・茂治あて書簡より)
〈私も冤罪ながら死刑囚。全身にしみわたって来る悲しみにたえつつ、生きなければならない。そして死刑執行という未知のものに対するはてしない恐怖が、私の心をたとえようもなく冷たくする時がある。そして全身が冬の木枯におそわれた時のように、身をふるわせるのである。自分の五感さえ信じられないほどの恐ろしい瞬間があるのだ。しかし、私は勝つのだ。私は、今日、自分の生活に対する決意と行為が、一つなりとも卵を持って石に投げつけるのに等しい無謀なものだとは思わない。〉


私が袴田事件を詳しく知ったのは
最近のことなので
意思の疎通の難しい巌さんの姿しか
知らなかったのです。


それにしても死刑判決は
袴田家の親族に途方もない苦痛と悲しみを
もたらしました。

1966年6月30日に事件が発生し
49日目の8月18日
巌さんは逮捕されます。

1968年9月11日、静岡地裁で死刑判決が出ると
その約2か月後の11月17日 
母・ともは68歳で亡くなります。

翌年の4月11日には
後を追うように父・庄一が69歳で
亡くなっています。

これは大きすぎる悲しみやストレスが
2人を死に追いやったといっても
過言ではないと思います。


「あんたが勝ったよ」

ひとこともしゃべらなかったけれど
きっと理解しているであろう巌さん。

無実の罪を晴らすまで58年という長さ。

検察、裁判官、関係者含めて
冤罪だとわかっていたけれど
メンツがあったのでしょうか
長引かせた裁判。

巌さんは一生を棒に振ったようなものですが
無罪を勝ち取る日まで
生きてこられたことは唯一の幸運だった
と思えるのです。

こうした冤罪が二度とあってはならないと
思いますし
袴田さんとひで子さんの2人の戦いを
無駄にしてはいけないことだと
痛感したのです。




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