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はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

「上野の森バレエホリディ」公開レッスン

2024年04月28日 | バレエ
2024/04/28


ゴールデンウィークの日曜日です。

少し体を動かすと汗が出てくる気温です。
皆さんはいかがお過ごしですか?

東京文化会館前の花



昨日、東京文化会館大ホールで
バレエの公開レッスンを見てきました。

ようすを書いておきたいと思います。

「こういうの見たかったのよねえ」
と言っている人がいたけれど、全く同感。

プロのバレエダンサーたちが
どんなレッスンをしているのか
とても興味がありました。

残念なことにオペラグラスを
忘れてしまったので
人の顔まではよく見えませんでしたけど。

始まる前の舞台



15時からは同じ舞台で『白鳥の湖』の
公演があるのですが
出演するダンサーの方たちも
レッスンに参加していたそうです。

ウォーミングアップも兼ねているのでしょう。

最初の40分間はバーレッスン。

お名前は存じませんが
男性の先生が指導。

話し方がソフト。

バレエは優雅な動きですし
体を柔らかく使うためにも
自然にあのような話し方になるのかと
思いながら聴いていました。

号令でもなく、ピシピシでもなく
まるで歌うように、流れるように話すんです。

舞台の横にアップライトピアノがあって
ピアニストの方が伴奏を弾いています。

クラシックの名曲のアレンジだったり
ポップスのメロディだったり。
とてもきれいな伴奏なのです。

きれいなピアノの音があると
気持ちよく動ける気がしますね。

バレエは足の動きももちろんですが
手の動きが優雅。

決して急がない動き。

手先から動かすのではなく
肩甲骨から動かして、上腕に動きが伝わり
ゆっくりと肘から手先がついてくるのです。


バーの基礎レッスンを終えたら
後半はステップやジャンプの入った動き。

舞台を大きく使うので
俄然、見ごたえが出てきます。

女性のジャンプもとてもきれいだけれど
男性の大きなジャンプもダイナミック。

空中で一瞬止まったように見えるくらいの
ジャンプです。

回転も見ていると
軸がぶれないって大事だなと思います。

止まる直前にスピードをやや落として
ふわりとした感じで止まる人は
とても優雅に見えます。


私も数年前にバレエのごく初歩を
習ったとも言えないほどの期間
習ったのですが
シャッセだの、プリエだのの言葉が
懐かしく感じました。

またやりたいな
いや体が固すぎるでしょう
体力的についていけないでしょ
と自らツッコミ(苦笑)。

ダンサーの皆さんは体がすごく柔らかく
そのうえポーズを維持したり
高いジャンプができるだけの筋力もある。

美しいプロポーションも
一朝一夕でできることではなく
小さい頃からの日々の訓練で
作り上げられてきたものだと思うと
ホント、憧れますね。






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東京バレエ団『白鳥の湖』舞台総稽古 見学

2024年04月27日 | バレエ
2024/04/27


「上野の森バレエホリディ」が今年も始まりました。


25日に東京バレエ団の『白鳥の湖』の
舞台総稽古の見学会がありました。

舞台総稽古は衣装も舞台装置も本番さながら
東京フィルの生演奏で通し稽古をします。

今年は運よく総稽古を
見られることになりました。


一般人が見学できるのは2、3、4階から。




稽古とはいえ、ほぼ本番の通し稽古。

ときどき注意がマイク音声で入ります。
やり直したりする場面がありましたが
かえって、本番より興味深かったかもしれません。

ああいうところが揃わないんだ、とか
出るのが一拍遅れたとか
どこが、どういうふうに難しいのか
素人にもわかったからです。

フルに通して2時間半。
幕間の休憩を入れると3時間。

ほんとうに長い物語をダンサーたちは
よくすべての振付けを忘れずに踊れるなあと
感心してしまいます。

ひとつひとつが難しく美しい動作です。

いつも書いていますが
バレエダンサーって
どうしてあんなに美しいのでしょうね。

私は3階席で遠かったので
オペラグラスを持って行きました。

オデット姫の沖香菜子さんを見たら…

引きしまった筋肉質の背中が見えました。
皮下脂肪ってものがまったくありません。

鍛えている人は違うと、ただただ感心。


【プロモーション映像】ブルメイステル版「白鳥の湖」|


ジークフリート王子の宮川新大さんも
すばらしかったし
道化の池本祥真さんもすごい開脚ジャンプを
見せてくれました。

バレエを見るときは
比較的よい席を取れることが多く
3階から見たのは初めてですが
高い所からですと
全体の群舞のようすがよく見えました。

集団でのポジションの変化や移動など
とてもきれいでした。

オーケストラピットも上から覗けましたし
東フィルの演奏もよかったです。

東京バレエ団は
男性も女性も素晴らしい踊り手ばかり。

稽古とはいえ本格的な公演を
観せてもらったような満足感がありました。



この『白鳥の湖』は
26日~29日まで東京文化会館で
公演があります。

「上野の森バレエホリディ」は
さまざまなイベントがあるので
今日は「公開レッスン」を見に行きます。



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SWAN LAKE ON WATER ~ついに本当の水を得た『白鳥の湖』

2023年08月11日 | バレエ
2023/08/11


東京国際フォーラムで10日から始まった
ウクライナ・グランド・バレエの
『白鳥の湖』公演を見てきました。



ウクライナ・グランド・バレエの初来日。

戦争とパンデミックのために
世界中にばらばらになってしまったダンサーたちを
この公演のために
再結集させたのだそうです。


東京国際フォーラム



東京フィルハーモニ交響楽団の
生演奏が聴けるのも嬉しかったです。

指揮者はノルムンズ・ヴァイシスさん
の予定でしたが、急病のため
渡邊一正さんが代役を務めました。


よく知られた古典の『白鳥の湖』ですが
このバレエは驚くべきことに
第2幕、4幕は舞台上に水が張ってあり
ダンサーはバシャバシャと水しぶきをあげて
踊るのです。


プロジェクションマッピングを使い
宮殿や湖の景色、森などが背景に
映し出されて雰囲気を盛り上げます。

水と映像と照明の作りだす幻想的世界
ということだそうです。


水の舞台はやはり気になりましたね。

バシャバシャと水しぶきで
ステップしにくくないだろうか。
滑ってしまわないだろうか、とか。
長く踊ると足が冷えてしまわないだろうか・・・
とか。

クライマックスの10分間は12トンもの水を
雨のように降らしたそうです。

後ろの席の人が「びしょぬれだ」と
つぶやいていました(笑)

あの水はどうやって舞台に引き込んで
どうやって排水するのか・・・とか
舞台下のオーケストラピットに
水がかからないだろうかとか。

私はそんなところが
気になってしまうタチなのでした(笑)。


ウクライナのバレエはダンサーも美しいですし
テクニックも確かで充分楽しめました。

オデットとオディールを演じた方、
謎の騎士ロットバルトは上手でしたね。

この公演はキャストの名前が出ていないので
わからないのです。




実はこの公演はローソンチケットのご招待でした。

抽選で当たるというメールが来たので
何の気なしに申し込んでおいたら
当選メールが来たのでした。

ご招待なんて初めてのことです。

ホールAは5000人収容ですから
空席を作りたくなかったのでしょうね。

少しだけ空席はありましたが
ほとんど埋まっていました。

ウクライナのバレエは美しいので
1度は見たいと思っていましたので
喜んで出かけました。




ありがたく楽しませていただきました。



コメント (4)
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東京バレエ団〈ベジャール・ガラ〉を見てきました

2022年07月24日 | バレエ
2022/07/24


上野の東京文化会館へ
東京バレエ団の〈ベジャール・ガラ〉を
見に行ってきました。

22日、23日、24日の3日間公演で
私が見たのは23日です。





東京バレエ団を見るのは昨年夏以来です。

ベジャールの振り付けは素晴らしくて
やはり見る価値がありました。

ロビーや客席には華やかな雰囲気が
漂っていました。






演目

・「ギリシャの踊り」

・「ロミオとジュリエット」よりパ・ドゥ・ドゥ

・「バクチIII」 

・「火の鳥」


「ギリシャの踊り」と
「ロミオとジュリエット」は
昨年見た東京バレエ団の『HOPE JAPAN 2021』
のときも演目にありました。

2度目ですが、まったく新鮮で感銘を受けました。







「ギリシャの踊り」は、この日は主役が柄本 弾さん。

ミキス・テオドラキス のギタ―曲と
波のザーという響きがまたいいんです。
青いエーゲ海を思い起こさせます。
(行ったことはないけれど)


「ロミオとジュリエット」よりパ・ドゥ・ドゥ。
大塚卓さんと秋山瑛さん。

まだ年若いロミオとジュリエットの
切ない愛の喜びと争いの悲しみがよく出ていて
この二人はうまい踊り手だと思いました。


「バクチIII」はインドの伝統音楽です。

真っ赤なタイツに身を包んだ
破壊と再生の神シヴァ(宮川新大さん)と
妻シャクティ(伝田陽美さん)の
熱狂的で陶酔を誘う舞。

インド舞踊らしいポーズ
手や足の使い方、目の表情がありました。
これも素晴らしかった。


最後は「火の鳥」。
主役は池本祥真さん。

ストラビンスキーの「火の鳥」は曲も
聴きごたえがあるのですが
ダンスも素晴らしい。
多くのダンサーが登場して群舞も圧巻でした。


やっぱりバレエはいいなあと
1年ぶりのバレエに大満足。
今回は中央ブロック前方のよいお席でした。

どの演目もレベルが高くて素晴らしいし
ダンサーはみんな美しく上手い。


東京バレエ団〈ベジャール・ガラ〉|ダンサー・インタビュー
 ~作品への思い~ 



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ローザンヌ・バレエコンクール

2022年06月15日 | バレエ
2022/06/15


先日、NHK Eテレで、今年2月に行われた
ローザンヌバレエコンクールの様子が放送されました。

私は毎年このコンクールを見るのを
とても楽しみにしています。

才能溢れる若いバレエダンサーたちの
演技を見る楽しみはもちろんのこと
解説の山本康介さんのお話もとても興味深いのです。



2022年のコンクールは、39か国から376人の応募があり
スイス・モントルーでの第3段階の審査に参加したのは70人。
「決選」に進んだファイナリストは20人です。

日本から決選に進出したのは、田中月乃さん、高田幸弥さん。

クラシック部門とコンテンポラリーがありますが
コンテンポラリーは動きもユニークで
見ていて特におもしろいです。


17歳の田中月乃さんが2位の入賞。
とても軽やかに、笑顔を絶やさず踊っていますね。


 
(お写真お借りしました)

田中さんは現在スイスのバレエ学校に在学中だそうです。

山本さんが解説で
「決まった正しいポジションに戻ってから次の動きに行く」
「床を踏んできちんと足を出す」
「手を出すときは、肩、腕を通って手先を出すと優雅に見える」
など、バレエは正しい基本ができているかを
重視するんですね。


バレエというのはそういうものなんだ!
と認識を新たにしながら、見ました。


NHK+の見逃し配信があります。






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上野の森バレエホリディ

2022年04月30日 | バレエ
2022/04/30

昨日から、上野の森・バレエホリディが
始まっています。








「はじめましてクラシック∼バレエ音楽への誘い」という
東京文化会館小ホールの催しを見てきました。
これは小さい子から大人までが対象です。

チャイコフスキーの「くるみ割り人形」や
「コッペリア」のワルツ、
ファリャの「恋は魔術師」など
おなじみのバレエ音楽を
吹奏楽のクインテットが演奏。

そして東京バレエ団のダンサー2人が登場して
曲に合わせて踊るというもの。

短時間でしたが
ダンサーはなんときれいだろうと
いつも感心してしまいます。



衣装の展示



バレエは踊りと音楽の相乗効果で
見ても楽しみ、聴いても楽しめます。

昨年は1回しかバレエを見に行っていませんが
またバレエに行きたいなと思ったことでした。



コメント (2)
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東京バレエ団「HOPE JAPAN 2021」

2021年07月04日 | バレエ

2021/07/04

 

熱海で大きな土石流災害がありました。

衝撃的な映像に胸が痛みました。熱海は訪れたことのある場所ですし、知人の実家もあるので心配です。救助は72時間が勝負だそうですが、ひとりでも多くの命が救われますように。

熱海は山から海まで急な高低差のある土地ですよね。だから土石流がすごいスピードになってしまうのですね。

被害に遭われた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。

 

さて、今日は上野の東京文化会館へ東京バレエ団のバレエ『HOPE JAPAN 2021』を見に行ってきました。

 

これは東日本大震災10年 コロナ禍 復興プロジェクトです。

 

解説文より

「プログラムは、人々を鼓舞する象徴的な「ボレロ」と、地中海の青い空と海、晴れやかな空気が私たちを包む「ギリシャの踊り」という2大人気演目。また、ベジャールが1988年の初演で斎藤友佳理(現・東京バレエ団芸術監督)ほ か東京バレエ団とモーリス・ベジャール・バレエ団の5人のダンサーに振付け、のちに東京バレエ団のために改訂版が創作された「舞楽」(今回は初演版で上演)。そしてこのたび、ベジャールが反戦と愛を高らかに謳った幻の名作 「ロミオとジュリエット」の中のパ・ド・ドゥを、東京バレエ団として38年ぶりに復活上演することになりました。

輝かしい肉体の躍動が生み出す、マジカルでめくるめく幻惑的な瞬間が、ベジャールのダンスの真骨頂です。人々を癒し、鼓舞し、生きる活力を与えるダンスの力を今こそ存分に感じてください。」

 

お祝いの花

 

大ホールは満席でした。

まだ心配と言えば心配です。休憩が2回ありましたが、換気のためでしょうか。

 

演目はこちら

☆『ギリシャの踊り』音楽:ミキス・テオドラキス

☆『舞楽』(1988年初演版)音楽:黛敏郎

☆『ロミオとジュリエット』(パ・ド・ドゥ)

  音楽:エクトル・ベルリオーズ

 ☆モーリス・ベジャール振付:『ボレロ』 音楽:ラヴェル

https://www.nbs.or.jp/stages/2021/hope/index.html

 

去年の10月に三島由紀夫の「M」(モーリス・ベジャール振付)を見て以来のバレエです。

やはりバレエはいいなあと思いました。ダンサーたちのきれいなこと!見るたびにそう思います。

『ボレロ』は柄本弾さんでしたが、やはり圧巻でした。

2019年に上野水香さんとマルセル・ロゴスの『ボレロ』(ローラン・プティ振付)を見たことがあるので、ボレロを見るのは2回目となりますが、今回も素晴らしかったです。

真っ暗ななか、あの曲が聴こえ始めて、最初は手首から先だけにスポットライトが当たっているのです。手首だけ見えるのですが、ああ、手首の動きに意味があるのだなあと気がつきました。確かにボレロでは、手首を直角に曲げて演じるのが独特ですね。

初めは、円卓の上の柄本弾さんが踊っていて、取り囲んだ男性たちは椅子に座っています。

そのうちに2人立ち、4人立ちと、と踊るメンバーが増えていって、最後は全員の饗宴となります。だんだん盛り上がっていく感じがたまらないです。

ブラボ―など声出しは禁止ですが、最後にはスタンディングオベーションする人も多かったです。客席からも気持ちを表現したいですよね。私も立ちましたよ。

終わった後、ステージ上のダンサーたちの晴れ晴れとした笑顔が印象的でした。

 

 

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「ニューイヤーバレエの」無料配信

2021年01月10日 | バレエ

2021/01/10

 

先日、NHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀 バレエ団新監督・吉田都 知られざる 闘いの舞台裏」で新国立劇場バレエ団の芸術監督になった吉田都さんの仕事ぶりが放送されました。

吉田都さん、55歳にはとても見えない若さ。スタイルのよさ、お肌、髪もきれいですね。まずそれに見とれました。

バレエ団の秋の公演「ドン・キホーテ」の練習風景、振付の様子を追っていました。

主役のキトリ役・米沢唯さんが腰を痛めながらも、それを感じさせずに鮮やかに本番舞台を演じた時の言葉が印象的です。

見せ場の32回転、練習では倒れてしまったりする光景が映し出されていたのでハラハラですが、舞台ではとても美しく乱れのない32回転でした。

「舞台の上で挑戦する怖さが、都さんの指導だとあまり怖くないというか、安全なところで終わらない。もっともっと良くなる、もっともっといいダンサーになるということに背中を押され続けている感じがするので、すごく心強いです。」

これはやはり、吉田都さん自身が長年トップダンサーであり続けたからですね。信頼できるということなのだと思います。

 

新国立劇場バレエはこの3連休、1月9日(土)~11日(月・祝)に上演を予定していた「ニューイヤー・バレエ」が公演中止になりましたが、明日11日、14:00より無観客ライブを無料配信してくれるそうです。

これはうれしいです。今は劇場には行けないので、ありがたいですね。

↓ 詳しくはこちら

https://www.nntt.jac.go.jp/ballet/news/detail/26_019245.html

↓ チコちゃんのページでも

https://chicoissyo.com/special/ballet.html

 

You tube の配信ページ

https://www.youtube.com/watch?v=le6wfqnogBs&feature=youtu.be

 

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モーリス・ベジャール振付 東京バレエ団「M」の動画

2020年10月29日 | バレエ

2020/10/29

 

24日の東京バレエ団公演「M」が印象深くて、いろいろ思い出しているのですが、調べると1993年初演時の動画がありました。

NHKテレビの「芸術劇場」で放送されたようです。

画質はあまりよくありませんが、衣装、振付、舞台装置などほぼ今回と同じで、記憶を思い起こせます。バレエはなかなか放送されませんから記録としても貴重です。劇場で見るものは一期一会のことが多いのです。

稽古風景、ベジャールのインタビュー、黛敏郎のインタビューの後、18分58秒頃から公演が始まります。1時間以上と長いので、興味のある方はどうぞ。

世界初演 モーリス・ベジャールの「M」 PartⅠ

 

冒頭の黛敏郎の日本的な音楽が将来の悲劇を予感させるようです。女性たちは波、潮騒です。

実際の舞台でも、祖母に手をひかれた学習院の制服を着た少年が出てきたときから、何か胸に迫るような痛々しい感じを受けました。子どもの無邪気な素直さが、かえって涙を誘うのです。

 

ベジャールのインタビューでは「M」というのは多くの意味があると語っていますね。三島のMでもあると思うし、神秘(mystere)の「M」、死(Mort)の「M」、音楽(Musique)の「M」と。

「三島を人間として作家として心から感嘆している。三島は多くの様相を持っていて、実に多様な小説を書いたといっています。非常にモダンでありながら、日本の伝統文化を守った人でもあった」

言われてみると、本当にそのとおりだ、そういう人だったなあと思われるのです。

黛敏郎は、ベジャールが自由に作曲させてくれたと言っています。能楽のリズムがもとになっているので、西洋音楽と違って難しい。不規則なリズムで拍子がないので、いつ出るか、いつヤアというのか、踊るほうは大変だったと思うと言っています。

 

後半部分はpartⅡ動画になります。

切腹場面は大人の三島ではなく、学習院の制服を着た子どもの三島なのです。この少年は初めから終わりまで、重要なところで出てきます。

私が切腹と思われる場面で不意に泣けたのは、ただただ子ども姿の三島がかわいそうと思ったからなのでした。三方の前に正座する、それだけで、これから行われることがわかるのです。ぱっと広げた扇で顔を隠す、上から花弁が落ちてくる。それだけですべてが伝わりました。

ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の「愛と死」がピアノの生演奏で流れます。

世界初演 モーリス・ベジャールの「M」 PartⅡ

 

こうして動画で見返してみると、音楽がいかに物語の感情を伝えるのか、改めて感じます。

このときはカーテンコールにベジャールも黛敏郎も出てきています。

 

 

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東京バレエ団 三島由紀夫没後50周年記念公演 「M」

2020年10月24日 | バレエ

2020/10/24

 

東京文化会館で行われた東京バレエ団の「M」を見てきました。

 

「M」とは三島由紀夫のMです。

モールス・ベジャールが東京バレエ団のために1993年に振付けた三島をモチーフとした作品で、今年が三島没後50年にあたり上演されるというので、これはぜひとも見に行かなくてはと思っていました。

バレエ化するにあたって三島夫人・瑤子さんに許可を求めたところ、バレエはよいが三島の名前は出さないようにとのことで、イニシャルにしたそうです。

音楽を担当した黛敏郎、モーリス・ベジャールの頭文字も「M」なので、3つの「M」には彼らの意味も込められているそうです。

ベジャール振付の「ザ・カブキ」も2018年に見て、素晴らしいと思ったのですが、「M」の世界観、ダンサーたちのレベル、舞台装置、音楽もすべて素晴らしかったです。

私もだいぶ三島を読みましたが、違和感なく三島らしさを感じました。三島について書かれたものを読んできて、変な言い方に思われるかもしれませんが、最近になって「三島の美学」などというものはないと感じ出していたのです。

でも、やはり三島の美の世界はあったと思えた公演でした。

それは、三島の愛した男性美の世界でした。

三島の子ども時代から始まり、簡潔で、どこか緊張感のある美しい場面が多かったのですが、楯の会らしき制服集団が出てくると一転して、きな臭い悲劇を帯びた雰囲気に変わります。あの軍服というのは非常事態を感じさせますね。いいものではありません。

切腹の場面では思わず涙が出ました。それまで泣くなんて少しも思っていなかったのに、突然、泣けました。残酷な切腹ではなく、美しく、上から花や花びらが降ってきて、まるで祝福されているようでした。

ああ、彼にとって死は祝福だったのだなと・・・。深く納得しました。

 

日本のバレエダンサーの質は世界トップレベルじゃないでしょうか。

世界の有名バレエ団にはほぼ日本人がいますし、ローザンヌにも毎年のように上位入賞しています。体の線の美しさも引けをとらない。三島の祖母&シ(死)を演じた池本祥真さんの跳躍、回転が素晴らしかった。

長いカーテンコールがあって、観客の満足は高かったと思います。

 

この作品を見て、私の三島観も少し変わったのですよ。

私は三島は好きかと問われれば、大好きですが、嫌いでもあるのです。それよりも興味が尽きない存在と言ったほうがいいのです。

三島は複雑な人であり、三島を知る人、本を読む人すべてが違った感想を持つのだと思います。三島について書かれた評論は1000冊以上あると言われています。各人がそれぞれの三島観を持ち、それを語りたくなる人だったろうと思うのです。

 

調べると1993年初演時の動画がありました。

NHKテレビの「芸術劇場」で放送されたようです。

画質はあまりよくありませんが、衣装、振付、舞台装置などほぼ今回と同じで、記憶を思い起こせます。バレエはなかなか放送されませんから記録としても貴重です。劇場で見るものは一期一会のことが多いのです。

稽古風景、ベジャールのインタビュー、黛敏郎のインタビューの後、18分58秒頃から公演が始まります。1時間以上と長いですが、興味のある方はどうぞ。

世界初演 モーリス・ベジャールの「M」 PartⅠ

 

冒頭の能や歌舞伎を思い起こさせる日本的な音楽が、将来の悲劇を予感させるようです。女性たちは波、潮騒です。

実際の舞台でも、祖母に手をひかれた学習院の制服を着た少年が出てきたときから、何か胸に迫るような痛々しい感じを受けました。子どもの無邪気な素直さが、かえって涙を誘うのです。

 

ベジャールのインタビューでは「M」というのは多くの意味があると語っていますね。神秘(mystere)の「M」、死(Mort)の「M」、音楽(Musique)の「M」と。

「三島を人間として作家として心から感嘆している。三島は多くの様相を持っていて、実に多様な小説を書いた」といっています。「非常にモダンでありながら、日本の伝統文化を守った人でもあった。」

言われてみると、本当にそのとおりだ、そういう人だったなあと思われるのです。

ベジャールの、「振付(動作)の意味は言葉では表現できません。人々は動作・身ぶりを見てから、その意味を解釈しなくてはなりません。宗教的儀式の場合と同じです。私にとって、バレエ作品とはいつも大きな宗教的儀式なのです」という言葉と、そのあとに語っていることも意味深いですね。

黛敏郎は、ベジャールが自由に作曲させてくれたと言っています。能楽のリズムがもとになっているので、西洋音楽と違って難しい。不規則なリズムで拍子がわからないので、いつ出るか、いつ「ヤア」というのか、踊るほうは大変だったと思うと言っています。

 

後半部分はpartⅡ動画になります。

切腹場面は大人の三島ではなく、学習院の制服を着た子どもの三島なのです。この少年は初めから終わりまで、重要なところで出てきます。人はずっと少年の心を持っているという意味です。

私が切腹と思われる場面で不意に泣いたのは、ただただ、子ども姿の三島がかわいそうだと思ったからなのでした。

三方の前に正座する、それだけで、これから行われることがわかるのですね。扇で顔を隠す、上から花びらが降ってくる。それだけの表現です。簡潔で、生々しいことは何もないのですが、美しくて、悲しさが伝わってきます。

ワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」の「愛と死」がピアノの生演奏で流れます。

世界初演 モーリス・ベジャールの「M」 PartⅡ

 

こうして動画で見返してみると、音楽がいかに物語の感情を伝えるのか、改めて感じます。美しければ、美しいほど悲しみは深く感じられます。

このとき(1993年)はまだベジャールも黛敏郎も存命だったのですね。カーテンコールに出てきています。

 

 

 

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