はちみつと青い花 No.2

飛び去っていく毎日の記録。

Last Day 坂本龍一 最期の日々 

2024年04月10日 | 音楽
2024/04/10


NHKスペシャルは見ごたえのある内容も多いので
前のニュースに続いて見ていたら
白髪の老人の顔が映し出されました。

酸素マスクをつけてベッドに横たわっているのは
私の知らない人でした。

きっと学者か詩人のような人で
死の床の記録なのだろうと思った次の瞬間…

「坂本龍一 最期の日々」
という字幕が画面に出て
その老人が坂本龍一(敬称略にさせていただきます)
であることがわかって
あっと息を吞みました。

全くわかりませんでした。
私はそれまで彼を老人と思ったことは
なかったのです。

でも、坂本龍一とわかって見ると
なるほどその人は坂本龍一でした。

亡くなる2日前の映像でした。

遺族が彼の日記や最期の日々の
私的な動画を提供してくれたとのことです。

こうして1年たって公開されるとは
私は思っていませんでした。




最期の様子を見せてくれたのが
ありがたいと思いました。


・・・・・・・・・・

2020年に肝臓に腫瘍が見つかり
12月11日にステージ4で余命4か月と宣告された。

〈12月12日の日記〉

現実なのか
現実感がない。

何もせずに半年過ごすか
副作用に耐えながら5年生きるか
やり残したことがあると感じるか
どうかー。  




余命4ヶ月を受け止めきれない気持ちが
日記に書かれていました。
残り短い人生をどう生きるのか。

宣告を受けたときはまだ68歳。
充分生きたとは思えない年齢だと思います。

〈バカなことをしたものだ。
恥ずかしさと勇気のなさが手遅れにした。〉

〈音楽だけが正気を保つ唯一の方法かもしれない〉


音楽に没頭するときだけが
苦しさを忘れられるのかもしれない。

音楽はやすらぎであり
作り手、送り手としての使命感もある。

がんという病は緩慢に死への準備ができる
というけれど
肉体が病み衰えていくのは
耐え難いことだったでしょう。


余命4ヶ月と言われながらも
20時間の大手術を受け
抗がん剤治療をして仕事を続ける日々でした。

時には長く生きられるかもしれないと
希望を持つ日もあって
治療の苦しさに揺れる心で過ごしていたようです。

2023年3月25日には
医師にターミナルケアを頼みました。

3月26日には東日本大震災以来関わっていた
東北ユースオーケストラの演奏会を
スマホで見ながら
ベッドで小さな指揮をしていました。

3月28日に召されました。

最期まで音楽家として全うした人だったのですね。

1年前に逝去に際して
ブログに書いたことを思い出しました。


あれからちょうど1年が過ぎたのですね。
まだずっと曲は聴いていますよ。




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呼吸音が聴こえるとは

2023年09月06日 | 音楽
2023/09/06


なにやら意味深な見出しのようですが
音楽の話なんですよ。

私がリトミックを習っていたとき
先生が教えてくださったのです。

音楽の要素として
1.アナクルーシス(準備)
2.クルーシス(行為)
3.メタクルーシス(帰着)
という一連の流れがあります。

楽器演奏でも、歌でも
演奏に入る直前には「スッ」と息を吸って
準備をしますね。

この息を吸って準備することを
アナクルーシスといいます。

次のクルーシスは力を入れるとき。
ここが1拍目の強拍です。

ふっと吐いて
徐々に弛緩していくことを
メタクルーシスといいます。

これは1小節の単位でも行われます。

アナクルーシス クルーシス メタ・・・・と
いいながら身体で感じる練習もしました。





最前列でオーケストラを聴いたことがありました。

そのとき指揮者が
「スッ」と息を吸う音が聴こえると
次の瞬間、曲が始まりました。

息を吸う音は始まる前の「用意」の
合図でもあります。
奏者の呼吸をひとつに合わせる役割も
あるんですね。







こんなことを書いたのはきっかけがあるんですよ。

フォロワーさんのブログで
前方の席が取れたという記事に
私が書き込んだコメント。

「私は呼吸音がわかるくらいの席が好き」
と書いたら
「マニアックですね」
というお返事😄 


また上のような説明をコメント欄に
書き込むのはご迷惑かも。

と思って
呼吸音がわかるくらいの席が好きというのは
こんな意味なんです、と。

リトミックを知る参考にもなるかしらと
こちらに書きました。


そういうわけでコンサートに行って
息を吸う音や、ふぅと吐く音を聴くのは
演奏者のリズムと一体になれるときでもあります。


でもこう書くと、確かにマニアックでしたね。


コメント (2)
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ピコ太郎さんの新動画

2023年06月28日 | 音楽
2023/06/28


今日は31℃、蒸し暑くなりました。

あのピコ太郎さんが
You Tubeに新しい動画をアップしてます。

ピコ太郎さんといえば古坂大魔王として
「題名のない音楽会」に出演なさってますね。


〈 古坂大魔王が 「題名のない音楽会」で出会ったクラシックピアニストで YouTubeチャンネル登録者数123万人のかてぃん(角野隼斗)・バッハ・コレギウム・ジャパン首席指揮者、音楽家鈴木優人と コラボレーションし、麻布学園 OB オーケストラを迎えて「PEEK-A-BOO feat. 鈴木優人・かてぃん ( 角野隼斗 ) with 麻布学園 OB+オーケストラ / ピコ太郎 」が完成。 〉


2年かかって完成したそうで
かなり大掛かりで凝った作りですね!

でも脱力系で楽しい😊

PEEK-A-BOO feat. Masato Suzuki & Cateen(Hayato Sumino) with Azabu Gakuen OB+Orchestra/PIKOTARO(ピコ太郎)  


この蒸し暑い日を笑って乗り切れそうだ😀 



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坂本龍一さん 逝く

2023年04月03日 | 音楽
2023/04/03



坂本龍一さん死去のニュースを
目にして思わず
「あっ」と声が出てしまいました。


今年1月に
『新潮』に連載されていた坂本龍一氏の随筆
「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」
は熱心に読みました。


それ以来、遠くない将来、その日は来るだろうと
薄々感じていましたが
実際に知らされると
近親者が亡くなったかのような
ショックを受けました。



思えば
高橋幸宏さんが1月に亡くなられたとき
坂本さんはグレーに塗りつぶされたインスタを
投稿していました。

そのグレー一色の画面から
悲しみの大きさが伝わってきました。



3月4日には『題名のない音楽会』で
坂本作品を若い音楽家たちが演奏する回を
見たのでした。

そのときには言葉を寄せていましたね。



そして数日前
J-WAVEの「RADIO SAKAMOTO」を
You Tubeで聴いたのです。

大貫妙子さんがひとりで語られていて
今日は坂本さんから託されたものを
代読させていただきますと言って
番組を進行させていました。

曲の紹介と、その曲にまつわる思い出。








71歳は若いですが
ご自分でワーカホリックと言うくらい
働いてきた方なので
(ラストエンペラーでは
映画音楽作りに6日間連続徹夜したと‥)
凝縮した時間を生きられたのではないかと
思ったりします。


「芸術は長く、人生は短し」

ほんとうに作品は長く残ります。

これからも坂本作品は演奏され続けること
でしょう。

ご冥福をお祈りいたします。




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NHK MUSIC SPECIAL 坂本龍一

2023年01月12日 | 音楽
2023/01/12


1月5日に
「坂本龍一 Playing the Piano in NHK & Behind the Scenes」
がNHKで放送されました。


お気に入りだというNHK509スタジオで
体調を考えて、8日間にわたって
1日2~3曲のペースで収録したものです。

しばらくぶりに見る坂本龍一氏は
もともと太ってはいませんでしたが
いっそう痩せていました。


でも、そのピアノ演奏は
枯淡の境地とでもいうべき
静かな清らかさに満ちていました。

「音楽をすることがこの人を生かしている」
と感じられました。

ゆっくり奏でられる演奏に
心はもう生に執着するというより
高みにいってしまっているような
感じさえ受けました。




Merry Christmas Mr. Lawrence / Ryuichi Sakamoto - From Ryuichi Sakamoto: Playing the Piano 2022  

このような演奏が聴けたことに
感謝しかありません。


彼は『新潮』に昨年7月号から
「ぼくはあと何回、満月を見るだろう」
という随筆を連載しています。


2014年に中咽頭がんが見つかり
これは治療の甲斐あって寛解しましたが
2020年に人間ドックで直腸がんが見つかりました。
  
肝臓、リンパに転移していて
2021年1月に直腸、肝臓、リンパの手術を
行なったそうです。 


 


最近、発売された2月号で
この連載は一応完結しています。

 

毎号20ページくらいある連載です。

病気がありながら
1ヶ月でこれだけのボリュームを書く
のはすごいと思ったら
鈴木正文さんと云う方が
インタビューの聞き書きをしてくれたようです。

昨年1月から6回もの大手術をして
肉体的には苦しみ
そのたびに体力が落ちながらも
仕事はずっと続けていたそうです。


「入院中、音楽に心を奪われる瞬間が訪れると、
そのときだけは病気のことは忘れられる。」
と書いてあります。


こんなことも書いてあります。

「入院中、息子がポストしていたある曲を何気なく再生したら、イントロから歌に入って何小節かで涙が止まらなくなってしまいました。アメリカのカントリー歌手ロイ・クラークの『Yesterday, When I Was Young』という曲。

 ぼくは普段、歌のある曲を聴いていても、歌詞の内容はほとんど頭に入ってこない人間です。ましてロイ・クラークは、僕とは非常に縁遠いミュージシャンですから、自分がこれほど心を動かされるだなんて思ってもみませんでした。」

この曲、You Tubeにありますから
聴いてみてください。

私もどこかで聴いたことのある曲で
しみじみとした気持ちになってしまういい曲ですね。

これは泣いてしまうな。


『新潮』の連載のほうは
2009年に出版した『音楽は自由にする』の後編として
その後を書いています。

彼は世界中で様々な仕事をしてきた人ですから
いろいろな経験もしていて
読んでいてほんとうに興味が尽きない
おもしろさがあります。



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