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何故FIFAは暴かれたのか (4) IRSの参戦 (ESPN報告書による)

2016年03月14日 | サッカー
カリフォルニアのIRS(米国国税局)オレンジカウンティ支所海外犯罪チームにスティーブ・ベリーマンがいた。幼少期の一時期英国に住んだことのる彼は、サッカー狂で、いまだにサッカーをフットボール(アメリカではフットボールはアメフトを指す)と呼んでいた。2011年8月、彼が購読している英国の新聞 The IndependentにFBIがブレイザーをマークしているとの記事がすっぱ抜かれていた。これを追いたい、即座に彼はそう思い、FBIマンハッタンのランドールへ電話を入れた。見も知らぬIRSの一職員からの突然の唐突な電話にランドールは面食らったが、上司のガエタと相談し、彼の話を聞くだけでも聞いてみようと、マンハッタンの事務所に来てもらうことにした。ベリーマンは捜査には金の流れの証拠を掴むことが不可欠で、IRSなら国境を越えての不正金の流れを国際金融システムで追跡出来ることをアピール、この瞬間FBIとIRSによる合同チームが誕生した。

ベリーマンは早速調査に着手した。まず、高額所得者であるにも関わらず、2005年以来税務申告をしていない事実が判明した。更に、シティーバンク、バンクオブアメリカ、メリルリンチ、バークレイ等のブレイザーが持っていた銀行口座から金の流れを追いかけ、トンネル会社を通して、過去20年間におよそ2000万ドルを不正にポケットに入れていたことを突き止めた。FBIとIRSのチームは勢い付いた。

この頃、CONCACAF内でも大きな進展があった。FIFAによるブレイザーに対する内部調査の結果、”クロ”と認定され、この年2011年11月30日に全ての役職を解かれた。

この日から数日後、ブレイザーは不意の客を迎えることになる。FBIのランドールとIRSのベリーマンである。彼らは逃れられない証拠を次々と突き付け、ブレイザーは観念した。そして、間髪入れずに、NY東部地検は司法取引に持ち込み、彼を情報提供者に仕立て上げる。FIFAの本丸に迫るには、ブレイザーはどうしても欠かせない駒だったのである。

ランドール達の捜査は既に1年半にも及んでおり、FBI内部では時間が掛り過ぎるとの批判が出始めていたが、2010年から二度目の東部地検検事長を務めていたロレッタ・リンチ(後の黒人女性初の司法長官)は、雑音に惑わされず、徹底的にFIFAを追い込むよう特殊班をバックアップしていた。もしロレッタ・リンチがこの時この場所に居なかったら、ブレイザー止まりの捜査で終わっていたかも知れない程、彼女の存在は重要な意味と持つ。

こうした力強い援護のもと、FBIはブレイザーの身体にマイクを装着させ、主だったイベントやターゲット人物との会話録音を集めていく。期近な大舞台は2012年のロンドン五輪である。主要関係者がロンドンで一堂に会するという、願ってもない機会であった。こうしてFBIは小さい情報を一つ一つ繋げて証拠固めをしていった。2011年12月の司法取引から2013年11月までの2年間で彼がFBIで極秘聴取を受けたのは19回にも及んでいた。


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