よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

捨てたものではない、マニュアル(手動)やローテク

2015年08月27日 | アメリカ通信
アメリカに住んで20年。良くも悪くも、この国はいまだに色々な事を教えてくれる。日本に住み続けていたら経験しなかった事や気が付きもしなかった事を教えてくれるから面白い。

アメリカに長く住むと、所謂日曜大工・ガーデニングにハマる。業者に頼めば二万円とか三万円する直しも自分でやれば材料費だけだから数百円から数千円で済む。安くつくから、ますます自分でやりたくなる。だから次第に工具の類が増えていく。アメリカ人ほどではないが、今ではガレージの中には結構工具が並んでいる。日本に居たら電動ドリルの類や映画ジェイソンに出てくるチェインソーなどには無縁だったであろう。

電動ドリルは確かに重宝する。特にネジ打ちには欠かせない。ちょっとしたテーブル作りや、大きな本棚を小さくコンパクトにやりかえるのもドリル様様である。

長らく使っていたチェーンソー。電動式だったが太い木とその根っこ部分をやってた時、とうとうチェーン部分が変形し、チェーンを支えていたプラスチック部分が破損して修復不可能となった。電動かガス式を買おうかと思ったが、思い直して大きめのマニュアル(手動)ノコギリに替えることにした。以来、直径20センチくらいまでの木は手動でやっている。手動の良さは錆の手入れをしておけば壊れることはない。よし坊の体力次第ということだ。

最近電動から手動にしたひとつに芝刈り機がある。長い間ガソリンの芝刈り機を使っているが、手動芝刈り機を購入した。これが何とも使い勝手がいい。何しろウルサイ音が出ない。粉塵が舞い上がらない。何となく芝に優しい感じがする。ガソリンの芝刈り機は長期に使わない冬場にガソリンを入れたままにしていると翌年春先に使う時、大概動かない。部品がいかれてしまい8000円くらいで修理が必要となる。手動は余程の事が無い限り修理不要だ。これもマニュアルがおススメなひとつだ。ガソリン芝刈り機は裏庭のかなり広い部分の雑草狩りに使うつもりだ。

よし坊のローテクネタの一つは携帯電話である。今やスマホ全盛だが、我が家は多機能付のスマホを使う必要性が全くない。必要なのは電話の受発信機能だけである。だから携帯機器も二昔前のモデルをいまだに使っている。プランはプリペイド方式で十分で、年間コストはたったの100ドル、約一万円である。

技術の進歩は人を裕福にするのだろうか。考え所だ。技術革新で生活が楽になるということは、機械任せになるから、頭を使わない、手足を使わない、その結果人間本来の力を益々退化させることになろう。技術の進歩で計り知れないメリットも多々あるが、その陰で見落とされているものがあることに気付く必要はありそうだ。

出来る限りマニュアルに、出来る限りローテクに。60歳過ぎたらこれに限る今日この頃である。

アメリカの病院 -多民族国家の風景 Language

2015年08月19日 | アメリカ通信
今、よし坊夫婦は75歳になる知人女性の病院通いのお世話をしている。この女性、6月に交通事故で80歳のご主人を亡くし、その2週間後には予てより決まっていた大きな手術を受ける、と言う精神的肉体的にかなりハードが環境に置かれている。ワイフ共々叱咤激励をしながらのお世話である。

我々外国人からみて、感心することが一つある。病院の通訳システムが実に良く整っている事だ。アトランタ及びその周辺をカバーしている3つの大きな病院グループの二つに通っているのだが、どちらも同じサービスである。看護師が患者の脇に来て、通訳が必要だと判断したら、その場でモニターから通訳サービスに繋ぎ、通訳を通しての会話が始まる。多民族国家アメリカならではの光景である。

病院英語は結構難しい。専門用語に加え、色々な薬の名前が飛び交うから、英語が喋れても相当戸惑う。使用する薬にも関係するから、やはり病院指定の専門通訳でないといけない。間違いがあったら取り返しがつかないからだ。

もちろん、スピーカーを通しての通訳サービスだけでなく、ベッドサイドに付き添ってくれることもある。こうした通訳サービスは”特別”なサービスではなく、必要に迫られてのサービスであり、正しく日常の風景なのだ。

一体、何か国語の通訳を用意しているのだろうか。アメリカでは日本語はマイナーである。その日本語でも直ぐ対応出来ることから想像するに、相当の言語数を用意しているのではなかろうか。なんとも羨ましい国ではある。

日本ではどうなのだろうか。日本に住む外国人にとっては、さぞかし頼りない通訳事情であろう。大きな病院と言えども、通訳サービスがなければ患者受付を拒否せざるを得ず、実際、そういう病院は受け入れを拒否していると聞く。


そういう便利な通訳システムが完備しているアメリカの病院だが、やはり病院だけは御厄介にならずに、最期を迎えたいものである。

始まるか! エアラインへの逆襲

2015年08月07日 | アメリカ通信
9・11とリーマンショックと言う大きな出来事で急激な旅行客減に見舞われた航空業界は経営難を回避すべく大型合併を行い、原油高騰を契機に燃料費代の値上げに加え、その後様々な必要経費をチケット代に転嫁してきた。そして、気が付いてみれば、航空各社とも大いに儲かっているのである。消費者の実感としては、チケット代はかつての倍に膨れ上がっている。

様々な項目でお金を取ることになっている最大項目は燃料費らしく、これがチケット代の3分の1にあたるから、確かに大きい。しかし、もっと小さい額でいろいろな名目で組み入れられているようで、その代表格が預け入れ荷物の有料化らしい。追加一個につき、20ドルとか30ドル取る。これが結構いい収入源になってると聞く。

今、世間の不満がたまり始めており、政治家はこういう時機を逃さない。エアラインに対し、逆襲が始まったのである。

まずは、燃料費に噛みついた。至極当然の第一弾だろう。最近の原油下落で燃料費名目が是正されないのは、誰が見てもオカシイと思っている。航空会社が反論出来る余地は殆どあるまい。

預け入れ荷物の問題は悩ましい。旅行者の原則は預け入れ一個、機内持ち込み一個であろう。だから、規定重量超過や、追加預け入れ荷物にはFeeを取るのは理解出来るし、現行金額も妥当のような気がする。あまり安いと歯止めにならないからだ。しかし、このFeeについても政治家が噛みついているから、どうなるか、興味深々である。

面白い動きは機内持ち込み荷物のサイズ変更だ。基準サイズを現行より小さくするらしい。背景は、On Timeの出発が飛行機会社の成績のひとつになっているようだが、このために出発直前まで座席上部のコンパートメントに荷物を収納するのに右往左往し、大きな負担になっているという。

数々ある項目のひとつにAgricultural Feeと言うのがあった。農業関連費用とは何ぞや、と思ったら、食品検査に掛かる費用らしい。

来年は夫婦揃って日本に一時帰国するので、値段が昔並みに戻ることを大いに期待したい。

KAROUSHI(過労死)と日本のExempt新制度

2015年08月04日 | ビジネス横丁こぼれ話
新しいルールや制度。作らないと前には進まぬが、さりとて、不備な環境下でやってよいものかどうか。Betterを目指した事がかえってWorstへ進むことがある。日本のExempt新制度はそんな危惧を覚えさせる。先進国の中でも日本の労働時間の長さは広く知られているが、最近のExempt新制度に関連して 今や横文字でも登場する、日本企業社会の特異な「KAROUSHI(過労死)」への影響を海外メディアでも取り上げている。

Exempt新制度は一定の高額年収以上を対象に所定の実績さえ上げれば勤務体系は自由とする代わりに残業の概念を無くす、というもの。例えばの対象はコンサルティング等となっている。どこかで聞いたような、と思ったら在る在るアメリカに。

明治維新以来、制度の導入は欧米からが習わしのようなものであり、敗戦後はとりわけアメリカが多いのは致し方あるまい。制度そのものは字面だけ読めば”良い制度”に見えるのだが、問題は、全く異なる社会的基盤で機能している制度が、果たして日本の土壌に合うのだろうか、という点である。

当然のことながら、経営者側は新制度を歓迎し、更に年収額を含めた対象のハードルを下げたい意向が見え隠れしている。 他方、専門家の間からは、ただでさえ過労死が増加している現在の社会的基盤で新制度が拡大するならば、過労死は更に増加するだろうとの懸念が出されている。

OECD(経済協力開発機構)の最新調査によれば、週当たり50時間以上の勤務者は、フランス8%、アメリカ11%、イギリス13%、日本22%と報告されており、日本の残業は他の国を圧倒している。日本独特の労働環境の中での残業は、ストレートに申請できない雰囲気を持っており、これが所謂サービス残業として蔓延っているから、超過勤務者の実態は22%では収まるまい。かかる労働環境下での新制度は「改悪」の道を辿りそうな予感が十分である。

アメリカに赴任した日本人駐在員は、アメリカ人の働き方、時間の割り切り方に感動する。ストレスも雲泥の差であることを感じ、その労働スタイルを満喫する。しかし、いずれ帰国命令が出るであろう。その時どうするか。

家族で赴任し、アメリカ生活を満喫して帰国した40代の男性が、半年後、くも膜下出血で倒れた。その原因が急激なストレスの変化だったかどうかは不明だが、考えさせられる話だ。