よし坊のあっちこっち

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何故FIFAは暴かれたのか (3) FBIの本格捜査 (ESPN報告書による)

2016年03月06日 | サッカー
サッカービジネスに魅了され、巧妙な賄賂と着服の伏魔殿をFIFAに作り上げたのがチャック・ブレイザーなら、今回のFIFAスキャンダル捜査に活躍した一人がサッカー小僧のFBI捜査官であった。

ジャレッド・ランドールは子供のころからサッカーを始め、高校、カレッジとサッカーを続け、卒業後FBIへ入局した。2010年初め、アメリカで暗躍する旧ソ連の犯罪組織の摘発を専門とするマンハッタンの特殊班へ配属される。捜査の過程で、2018年のW杯開催国がロシアがらみで札束が飛び交っているという噂があちらこちらで聞こえてくるようになり、上司のマイケル・ガエタと共に、小さい噂を一つづつ繋ぎ合わせる作業に着手した。そして、証拠は無いが、ロシアがW杯ホスト国獲得の為に賄賂攻勢をかけているのではないだろうか、との結論に達した。こうしてFIFAの内偵を始めると、FIFAの最高意思決定機関であるEXCO(24人委員会)メンバー達の並外れた高額給与、大判振る舞いの出張経費が目を引いた。更に、W杯開催国決定がEXCOメンバー達のさじ加減ひとつで決まっているらしいことや、一部のメンバーの懐には表に出せない金がひそかに入っていることを掴むにおよび、FIFAの中枢で大きな不正が行われているのは間違いないと確信する。

ひとつの大きな問題があった。全世界にまたがるFIFAを追及すると言うことは膨大な経費が必要であり、マンハッタンの特殊班だけでは到底賄えない規模であった。しかし、特殊班からの内偵報告書を手にしたNY東部地検は燃えていた。「Justice should be done」。そして、2010年12月27日、セップ・ブラッターの「2018年、開催国はロシア」のアナウンスを聞いて、東部地検は正式にFIFAに対する犯罪捜査を決定した。ターゲットは、EXCO唯一のアメリカ人メンバー、チャック・ブレイザーである。

翌2011年、FIFA内部とその周辺で起こった出来事がFBIの捜査を更に前進させるきっかけとなる。

FIFA会長選挙に関連して、立候補を表明したカタール人副会長のモハメッド・ビン・ハマムが会長選挙票の15%を牛耳るCONCACAFのジャック・ワーナーの招待を受け、ハマムが現ナマの賄賂攻勢を掛ける。身内同士の、しかも、調べれば外部にも簡単に漏れるあからさまな現ナマ取引を知ったブレイザーは激怒し、FIFA事務局長に密告した。ダーティなFIFAだが、このようなあからさまな票取引はさすがにFIFA内でも禁じ手となっていた。結局ジャック・ワーナーは役職からの辞任を余儀なくされてしまう。怒ったワーナーは仕返しに、長年ブレイザーとの間で秘密にしていたCONCACAFに絡むブレイザーの不正着服をFIFA内でぶちまけたのである。ワーナーとブレイザーの蜜月時代の終わりを告げる出来事であった。

ジャック・ワーナーがブレイザーの着服問題をぶち上げたのをきっかけに、FIFAの倫理委員会がブレイザーに対する調査を開始した。時同じくして、ブレイザーが深く関わってきたGold Cupで八百長試合が行われているとの疑惑がFIFA内に広がっていく。特にGold Cupの一件はブレイザーが直接関与していた訳ではなく、むしろ彼自身も”何故そんなことになったんだろう”と不可解に思っていたくらいであったが、この一件で、FBIは更にブレイザーの身辺に迫っていく。


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