よし坊のあっちこっち

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ビル・コスビーの光と影 -デジタル時代の功罪

2014年11月24日 | アメリカ通信
インターネットとソーシャルメディア。情報は瞬く間に世界中に拡散する。誤った情報や悪意での拡散で不当のバッシングやイジメを受けることがあり、正に罪作りな部分である。それが正しく機能すれば悪事をあばくことにもなる。今、アメリカの芸能界を騒がせているコメディアンの大御所、ビル・コスビーの”悪行”暴露。まさか、こんなことになるとは本人コスビーは思っても見なかっただろう。むしろディジタル時代の恐ろしさに震えているのではないか。

事の発端が面白い。先月、同業の或るコメディアンが舞台で”大御所”に関する挑戦的な発言をしたのだ。「あんたは強姦魔だ,そうだろう?」。これがソーシャルネットワークで拡散した。かくして、過去に訴えたが証拠不十分で泣き寝入りせざるを得なかった被害者達が次々とカミングアウトし、被害者の中には元スーパーモデルも居たから、騒動はますます大きくなりつつある。

日本でも人気番組だったアイ・スパイ。ロバート・カルプとのコメディタッチの相棒ドラマで、よく観たものだが、悪行によると、当時からオンナ癖が悪かった。軽いところでは、パーティで有名人の奥さんへの”無理やりキス”に始まり、シナリオ書きの女の子やタレントの卵を誘ってはオーラル・セックスを含む強姦や強姦未遂で明け暮れた感じなのである。そして今まで、示談と証拠不十分で逃げ切ってきたと言えよう。しかし、当時は今ほど情報が拡散する手段が無かったし、ユルユル芸能界の出来事には警察の取り扱いも軽かったのだろう、弁護士が工作すれば隠蔽は難しいことではない。今までラッキーだったと言うわけだ。

いずれのケースも古いので当局による犯罪立件は難しいだろうが、コスビー本人にとっての経済的痛手は相当だ。各テレビ局の番組中止が続発している。そして何よりも痛いのは、コスビーが永年築いてきた”アメリカのパパ”と言う、誰にも好かれ、やさしいパパの代名詞の虚像が一挙に破壊されたことだろう。

俳優や役者は「役」という虚像をどう本物のように演じるかが仕事だから、役者が”悪人”を演じきったら拍手喝采となる。しかし、本性が”悪”の役者が善人を演じたら、それこそ観ていられない。暴力事件を起こした役者が学校の先生役をやる?冗談じゃない。

英雄色を好む、と言うけれど 大統領編

2014年11月20日 | アメリカ通信
オトコとオンナの浮世では男女ネタには事欠かないが、知名人ともなればアレやコレやで大変である。大統領が英雄と言うわけではないが、”英雄色を好む”的に言えば、アメリカ大統領も相当お盛んで、表沙汰になれば大騒動となる。

記憶に新しいのがクリントンとモニカちゃんの事件だ。インターンのモニカ・ルインスキーとのイケナイコトが発覚し、万事休すと思ったものだが、嫁のヒラリーが凄かった。甘えん坊の坊やの不祥事を見事な差配で乗り切った。それにしても、モニカちゃんもしたたかだ。何しろ証拠物件を大事に保管していたのだから。

大統領や有名政治家がリタイアした後回顧録なるものを出すが、懺悔の気持ちでもあるのか、その中で過去の”御乱行”なるものを告白している。大統領ではないが、俳優にしてカリフォルニア知事となったシュワルツネッガーも多くの過去を告白している。

息子の方のジョージ・ブッシュやケネディ亡き後に就任したリンドン・ジョンソンでさえ浮名をはせた。変わったところでは、ゲイの大統領もいたというから、アメリカの大統領の男女ネタは賑やかだと言う他はない。

しかし、その中でもやはり横綱格は1963年に暗殺という非業の死を遂げたジョン・F・ケネディだろう。とりわけ有名なのは、当時のセックス・シンボルとうたわれてマリリン・モンローとの浮名だが、それだけではなかった。

2012年に本人には不本意な形で公になってしまったのが、ミミ・アルフォードとケネディの関係である。当時19歳のインターンとしてホワイトハウスで働き始めたミミは仕事4日目にしてケネディの目に留まり、暗殺の3ヶ月前までの18ヶ月間、密やかな時間を大統領と過ごした。彼女は、今でも当時の事は悔いていないと言うし、もし今の自分があの頃に戻ったとしても、同じ事をするだろう、と発言していることから、ケネディは相当魅力のある人間だったのだろう。世界を動かす、自信に満ちた力強い”男”ということなのだろうか。

日本でも滅多になれない首相の座に就いた途端、「蜂の一刺し」であっけなく辞任を余儀なくされたウノ某という政治家がいた。カネをケチって縁切りが下手だったという噂だ。




アメリカの三つの戦い

2014年11月13日 | アメリカ通信
今、アメリカには”三つの戦い”というのがある。これらの戦いには、人権や宗教、社会的影響等、様々な問題を抱えながら全米各州で長い論争を続けている。Death with Dignity、Gay Couple、そしてPot(Marijuana)である。

Death with Dignityが先日全米のニュースになった。新婚一年の29歳の女性が結婚直後にガンが見つかり、彼女は”安楽死”を選択した。過去の安楽死論争の中で、現在オレゴンを含む3州で安楽死が認められており、この1~2年のうちにニュージャージーが加わるものと見られている。オレゴン州の安楽死要件は、オレゴン州の住民であること、余命半年であること、医師二名の診断があること、となっている。

ワイフとよく話す。極度の痛みを伴う不治の病になった時どうするか。二人の答えは安楽死容認である。死ぬほどのたうち回っている患者に、強い薬を与えながら、それでも頑張れ、というのは無責任のような気がするからだ。どんなにのたうち回っても生きたい意志があるのであれば治療を続ければよいが、そうでなければ本人の意思を尊重するのが一番だ。安楽死ではないが、植物人間になった時どうするか。ワイフもよし坊も”外す”と決めている。安楽死問題は”死”が関わるだけに、長い道のりが続きそうだ。

同性愛者の結婚合法化問題も長い戦いだ。宗教問題も絡み、複雑である。そもそも、神がアダムとイブという異なった形態の人間を創ったのは何故か。種の保存と永続的繁栄の為に創造し、それが永続的である為には快楽が不可欠と考えたのであれば納得がいく。アダムとイブの後は、その子供達の間での近親による種の保存行為が続くわけだから、当初から近親婚は普通の事であり、むしろ歓迎されこそすれ忌み嫌われるものではなかったはずだ。医学的理由により近親婚が禁じられたのは歴史的に見て最近の事なのである。当然、太古の時代から同性同士の関係は存在したはずだが、「種の保存と繁栄」要をとするならば、種の保存に寄与しない同性同士の関係は否定こそされても、歓迎はされなかったのではないか。だから同性同士の関係は”隠れ”続けたのだと思わざるをえない。

同性同士がいかなる関係にあろうと、人権は保障されなければならないが、法律的に婚姻関係を認めろという要求は筋違いである。それを認めるならば、そもそもアダムとイブは何だったんだろうかと言うことになる。人間誕生の根幹が揺らぎ、キリスト教はひとたまりもなく崩壊するだろう。

POTの問題も厄介だ。数年前から、マリファナには医学的効果があると報じられてから嫌な予感がしていたが、合法的に買える州が出始めた。マリファナ合法化が何故問題かは簡単だ。危険なドラッグの入り口になりやすいからだ。どんなにルールで縛っても危険なドラッグの世界と紙一重の世界では必ず抜け穴が出てくるのが世の常だ。マリファナ合法化が全米に広まった時を想像するだけでゾッとする。

オバマ大敗とAmerican Politics

2014年11月06日 | アメリカ通信
注目の中間選挙でオバマ民主党が歴史的大敗を食らってしまった。大統領オバマの不人気と、対抗する共和党の体たらくと言う、両党ともに不人気の中で民主党が劣性なのは最初から分かっていたが、これほどの大敗の原因は、やはりボスであるオバマにあると言わざるを得まい。

ハト派の民主党、タカ派の共和党。そんなイメージの中で、その時々の政治経済社会的状況に左右されながら、有権者が時のボスを選ぶ。ハト派は平時に強く、タカ派は戦時に強い。タカ派は強引なところがあるから、行きすぎたりスキャンダルになったりする。そうすると国民は一挙にハト派へなびく。アメリカはいつもそんな道を辿っている。

人権をかざしたジミー・カーターはイラン革命で手が打てず、大使館人質事件で”強いアメリカ”を示すことが出来なかった。だから、強いアメリカを目指すレーガンが出てきた。民主党クリントンの時代、世界の警察を標ぼうするアメリカの大統領として手を拱いていたわけではないが、広がりつつあったテロの流れに有効な手を打てずにいた。国民は強いアメリカを欲していた。戦時の共和党、ブッシュの登場である。しかし、実質的にイラクを解体したブッシュ政権を支える熱気は次第に覚め、国民は穏やかな生活へと転換して行き、初の黒人大統領オバマを選んだのである。

オバマの大統領としての印象、イメージは薄い。今のところ、そのイメージは”初めての黒人大統領”というだけに終わりそうである。就任早々、オバマはズレた外交感覚を見せてしまった。あの、したたかな中国に「話せば分かる連中だ」とばかり、微笑み外交よろしく近づいたのだが、途中でやばいと感じたのか、突然ハードラインに転じていった。外交音痴の片鱗が見えてしまったのだ。第一期はヒラリーが外交を下支えしたが、二期目で辞退したのは、来るべき大統領選に備える為だけではあるまい。愛想をつかせたのではないか。

イラク後はどうなったか、米軍の撤収に呼応するかのように、アルカイダ以上に厄介なISISがのさばり始めている。今や世界中の大問題になりつつある。人々の意識の底には、”戦時”を予感する何かが流れているのではないか。そして、その流れが今回の大敗にも影響しているように思えるのだ。

不法滞在者問題への対応にもオバマ政権のもたつきが目立つ。一体どうケリをつけようと言うのか。

結局のところ、決して歓迎されていないオバマケアと呼ばれる医療保険制度改革だけで終わりそうである。このオバマケアも共和党が潰すべく手ぐすね引いて待っている。

アメリカはお国柄、常に強くなければならない。強力なトップダウンで引っ張る「強い大統領」でなくては持たない国である。そう考えると、今回の選挙結果は当然の流れと言えるだろう。国民は次の大統領はそうあって欲しいと言っている。政権がLame Duckのこの二年、共和党が大勝したとは言え、オバマが自滅してくれたようなものだから、共和党の動きも言うほど簡単ではない。

二年後の大統領選、アメリカの選択は難しいことになるだろう。

映画三昧 - Gone Girl

2014年11月03日 | 映画
話題の映画、Gone Girlを観た。アメリカで日常茶飯事的に発生するMissing(失踪)。そのMissingを偽装利用した妻の夫への復讐劇である。出来栄えのいい映画だ。昨年のArgoに続いての主役ベン・アフレックが良い。しかし、もう一人の主役である妻役のロザマンド・パイクが頗る良い。彼女はいい映画に巡り合えた。恐らく映画、役者共にオスカーの候補に挙げられるのではないだろうか。

5年目の結婚記念日に妻が突然失踪する。捜査が進むにつれて、数々の状況証拠が被害者であるはずの夫に疑惑の目を向けさせ、メディアがそれを加速させていく。夫に不利な状況証拠は、実は妻が用意周到に準備したものであった。妻は夫の不貞を偶然知り、妻の失踪=夫の殺人のプロットを考えだし、夫が逮捕起訴されることを目論んで家を出た。しかし、途中で夫が失踪偽装に気が付き、妻の描いたシナリオが狂い始め、自作自演がばれないようシナリオの修正を余儀なくされていく。拉致監禁被害者が脱出のために犯人を殺して血まみれで生還する、というシナリオに書き換え、見事にヒーローとなるのである。世間は夫婦に平和が訪れたとはやし立てる。夫はすべてが妻の”嘘”であることを見抜いていて、妻と別れることを選択し、妻に告げるのだが、結末は・・・。一言だけ言うと、最初のシナリオ通りになって夫が逮捕起訴されても地獄、最後の結末でも夫は生き地獄。妻は見事に復讐を果たしたと言える。

この国では、妻に無関心な夫には危険が伴う。無関心が過ぎれば、やがて離婚が見えてくる。そしてたった一つの決定的なミス(この場合、不貞)で妻を大胆な殺人者へと駆り立ててしまうかも知れぬ。オトコよりオンナの方が大胆である、そう承知しておこう。

この映画は今年必見の一作だ。