よし坊のあっちこっち

神出鬼没、中年オヤジ、いや、老年オヤジの何でも有りブログだ!

社会生活のルールが変わるかもしれない

2020年04月26日 | アメリカ通信
まだまだ各州とも患者数や死者数が毎日のようにニュースで報告されているが、全体としてどうやら峠は越したようである。とは言え、収束するには時間がかかりそうで、油断は出来ない。下火になるのは5月なのか、それとも6月か。この冬カムバックする可能性もあると報じられているから、今年は相当用心が必要だろう。

今回のコロナ禍は欧米社会の生活ルールを変えるのではないか。アメリカでよく見られる、挨拶のキスやハグ。これなど濃厚接触の最たるものだ。少なくともFluのシーズンになると減るかもしれない。握手も控えるかもしれぬ。その点、日本人のお辞儀の挨拶は、こういうことになると、なかなかのものだ。

旅行、特に海外旅行も考え物だ。これからは、Covid19や新型のインフルエンザが発生したら、各国とも躊躇なく空港での入国制限を即座に実施するかもしれぬ。現地に足止めを食わないためには、いち早く帰国便を押さえ帰るとなると、おちおち仕事や観光も出来ないことになる。

今回のコロナ禍は我々に、これからの生き方をどうするのか、を問うているようにも思える。今年はそのあたりをじっくり考えようではないか。

Go Big Go Now 非常時は拙速を貴ぶべし

2020年04月06日 | アメリカ通信
前稿で書いたように、ワシントン・ポストの調査報告がいかにアメリカ政府が初期情報を軽くみて初動対応を誤ったかを明らかにしてくれたが、続いて出たCNNの医療行政の面の検証によると、前回のパンデミック(2009-2010の豚インフルエンザ)時の対応と今回の対応には大きな差があることがうかがえる。多数の専門家や関係者の聞き取り調査から以下が集約されている。
① 20年以上も米国が培ってきた緊急時の政府行動要綱が実施されなかった。行動要綱とは、いち早く州政府、病院、民間研究所などを総動員して、テストの実施と患者の隔離を行いながらクラスター発生が起こるまでに時間稼ぎをして病院の患者急増体制を整える。
② 非常事態ではGo Big Go Nowが基本かつ不可欠。平時なら決められたプロトコール通りやらねばならないが、戦時でそんな悠長のことをしていたら敵にやられてしまう。平時の手続きにとらわれず早く動け、ということだ。

前回のパンデミック時はオバマ政権下だったが、パンデミック対策に携わった関係者によると、Go Big Go Nowを実践するのに何の障害も無かったという。逆に言えば、今回、政府トップの状況判断の甘さ(CIA情報をまともに取り合わなかった)が命令系統毎に非常時体制を取りにくくしてしまったようだ。その結果、非常時に動かないといけない部分が平時の規制を解除しないままに推移し、全てが後手後手に回ってしまった。

凡庸なトップを持った組織は不幸である。


コロナ禍の初動対応に失敗したアメリカ

2020年04月01日 | アメリカ通信
経済大国にして軍事大国のアメリカが優れているひとつがインテリジェンス活動にあり、国内はFBI、海外はCIAが司っていることは知られているところである。どこの国の外交官スタッフも殆どインテリジェンス、即ちスパイの世界に属する。しかし、それらの情報を最終的に判断するのは人間である。平均以上の人間ならば情報処理も適切に処理されるだろうが、平均以下ともなれば、貴重な情報は活かされない。

当初、アメリカは感染者が出ても早期に適切に対応するだろうと思っていたのだが、その後、あれよあれよと患者が急増、その慌てぶりには目を疑った。これが優秀なシステムで機能していたアメリカか。だが、よくよく考えると、どんなに優れた社会システムがあっても、それを動かすのは人間だ。最後は、決定権を持つ組織の長次第である。長の器で天と地の差が出来る。今回のアメリカがまさにそうだ。

アメリカの対コロナ戦争が山場を迎える中、ワシントン・ポストが中国武漢発生からアメリカ到着までの過程を検証した。そこからアメリカ、即ちトランプ政権が初期対応に失敗したことが浮かび上がってきた。

武漢発のコロナ禍が爆発し始めた一月、武漢駐在のアメリカ外交官がチャーター機でアメリカに帰国した。その情報をもとに、CIAは、①武漢コロナが世界的に広まり、パンデミックになる可能性が高い②早晩アメリカに上陸するのでそれまでに万全な初期対応がとれる体制を作っておくこと③中国の対外報告は矮小化されており過小評価しないこと、を関係機関に重大喚起、以後二月初めまで膨大な情報を逐次アップデートしたが、トランプ及び共和党の関係者は真面目に取り上げなかった。そして、記者会見の都度「アメリカは安全だ」をトランプは繰り返す。この重大事項の矮小化がその後、全ての局面での後手の連鎖に繋がっていく。

2月25日、CDCのがアメリカでの爆発的感染拡大とそれに伴う深刻な社会活動ダメージの予想を発表したが、トランプは「アメリカの経済活動に悪影響を与えるコメントだ」と文句を言ったことが伝えられた。この「経済=お金ファースト」のトランプがまともな道に方向転換したのは、株価乱降下という出来事で、「お金がヤバい」と知らされたからである。だが、時既に遅し、の局面に入っていた。

トランプ政権のホワイトハウスは、この4年間のトランプ流のやり方に染められ、いざという時に機能不全を起こした。War-time Presidentを称して自らを鼓舞しているが、本当の戦争になった時の資質に疑問符が付いてしまった。どんなに優秀な組織でも「頭」次第で全てがクズになる。今回の不幸はそこにある。